国土交通省 中部運輸局

中部運輸局の活動

MaaS選定事業意見交換会 開催報告

2020.02.03

 

令和2年2月3日(月)に当局にて、「中部運輸局管内新モビリティサービス推進事業(MaaS)選定事業意見交換会」を開催いたしました。当局管内で「新モビリティサービス推進事業」に選定された4事業について、取組を進める上でのノウハウや課題の共有を行うものです。当日は4事業の代表者から事業の現状説明をいただくとともに、コーディネーターの(一社)グローカル交流推進機構理事長の土井勉先生を交えて、活発な意見交換が展開されました。以下で概要をご報告いたします。

【意見交換会参加者(代表者のみ。順不同)】

・近鉄グループホールディングス(株) 執行役員 南浦 彰 様
・志摩市長 竹内 千尋 様
・菰野町長 柴田 孝之 様
・静岡鉄道(株) 専務取締役 川井 敏行 様
・(株)ジェイアール東日本企画 常務取締役 高橋 敦司 様

○主催者あいさつ(坪井史憲 中部運輸局長)
・昨年、「新モビリティサービス推進事業」がスタートし、各地で実証事業に取り組んでいただいている。その上でさまざまなご苦労や課題も明らかになってきたと思うので、本日は率直にお話いただきたい。
・MaaSはそれ自体が目的ではなく、地域における課題解決のための手段。本会を通じて気づきやヒントを得て、地域の課題解決につなげていただきたい。

MaaS選定事業意見交換会 開催報告

○コーディネーターからのごあいさつ(土井勉先生)
・これまでの交通政策では、距離をいかに最小時間・コストで克服できるかということが主だったが、MaaSはそれにとどまらず、潜在需要を掘り起こし、人々のお出かけをサポートしていくもので、それを考える上では、「移動の対象」「移動ツール」「移動環境」を整えて移動のパイを拡大する視点が重要。意見交換ではこうした点についても共有したい。

MaaS選定事業意見交換会 開催報告

○意見交換
【MaaSを通じたデータの蓄積とその活用】
・アプリを活用することにより利用者の移動などのデータが蓄積している。これらを用いて、より利用者ニーズに合わせた商品開発につながることを期待している。
・目的地、利用頻度、乗合状況などを把握して既存交通との乗継利便性の向上につなげたい。
・記名式ICカードを活用すれば、パーソナルデータも含めた細かい分析が可能。個人情報の取り扱いには注意が必要だが、デマンド交通の効率的な配車などへの適用を期待している。
・今まで経験則で把握していた利用者の動きを見える化することで課題の検証につながること、蓄積されたデータを元にリピーターなどに働きかけるデジタルマーケティングといった活用を期待している。
・データを利用して最適な料金体系の組み立てやMaaSの採算性を高める課金手法についての改善が図られる。その点では、データ整理のノウハウが各地域で共有されるとよい。
・自分で運転しなくても良いなど公共交通は自動車よりも優れた点がいくつかあるが、目的地まで行くためには乗換などの不便が発生する。これをMaaSでカバーすることで公共交通全体の利用促進につながるのではないか。

【MaaS事業の継続性】
・今のところ、利用者からの手数料だけではまかないきれず、鉄道会社等からの支出で維持している。MaaSには、観光の要素と公共交通の要素があり、国・自治体からの補助も含めてどういうフレームワークとしていくか模索している。
・個別の交通事業者の不安を解消し、効用が最大化するような形で料金設計や運行管理を行いたい。ただ、利用者の希望と交通事業者の思惑は相反することもあり、答えを出すのは難しい。
・地域公共交通サービスを維持しながら行政コストを下げる仕組みとしてMaaSが機能すれば良い。
・採算度外視で事業を進めていくことはできない。ホテル・遊園地など他業種のビジネスを組み合わせていくことが重要。

【交通事業者の担い手不足の影響】
・限られたタクシーをいかに有効活用するかという点でMaaSに期待している。一方で、ある程度の担い手がいないと利便性が確保できないため、車の両輪のようなものだと考えている。
・現在はサービスの供給側がバラバラに対応することにより非効率が生じている。個別の需要を共同で受け止める仕組みができれば効率化が図られるのではないか。

【意見交換を終えて】
・MaaSによってさまざまな取組を加速化するエンジンとしたい。
・自分たちの事業ばかり気に掛けてしまうが、本会のように意見をもらったり悩みを共有できることはありがたい。
・現時点では、供給者サイドの実証実験になっている。あくまで利用者のここに行きたい、何をしたい、というニーズに焦点を当てて利用者本位のシステムを構築していかなくてはならない。
・MaaSを単なる流行に終わらせてはいけない。地域の課題を解決する取組として、今後も支援をお願いしたい。
以上

    (意見交換会の様子)
MaaS選定事業意見交換会 開催報告
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