平成19年度公共交通活性化総合プログラム案件

案 件 名
概 要
1.南阿蘇における新交通システム(DMV)導入による公共交通活性化に関する調査業務(平成18年度から継続) [平成18年度に実施・検討した事項]
 南阿蘇地域におけるDMV導入の条件や問題点の整理・検討を行うとともに、実証実験の実施に向けた計画を策定しました。

[平成19年度に実施・検討した事項]
 実証実験に関する技術的・広報的課題への対応方法を検討した後、実証実験を実施し、安全や技術上の問題点や観光及び地域ニーズを洗い出し、DMV導入時の同地域の地域振興の視点も踏まえた公共交通のあり方と諸課題を整理・検討しました。
2.地域住民のニーズ把握等による肥薩おれんじ鉄道の二次アクセス調査に関する調査業務  肥薩おれんじ鉄道は、平成16年の開業以来、地域住民の通勤、通学など日常生活に欠かせない地域の期間的公共交通機関として、また、観光をはじめとする地域産業の振興や地域活性化に寄与するものとして、重要な役割を担ってきています。
 しかし、利用者の伸び悩みもあり大変厳しい経営環境に置かれています。利用者伸び悩みにはさまざまな要因が指摘されていますが、鉄道の駅と市街地もしくは観光地との地理的課題が需要な要因として挙げられています。
 したがって、駅から主要施設までの交通二次アクセスの現況を調査し、沿線住民及び沿線外からの観光客の動向調査を実施し、地域ニーズに即した鉄道・二次交通一体となった利用促進方策を検討し、利用促進と沿線地域の活性化ならびに経営環境の改善に資することとしました。
3.陸上交通空白地域の解消による新上五島町の交通体系再構築に関する検討  九州の西端、五島列島の北部に位置する上五島町は、平成16年8月に5町が合併して誕生した町です。
 この地域での公共交通は、地域の多様な行動・交流・社会経済活動などを支える重要な社会基盤ですが、離島という地理的、地形的ハンディキャップにより多くの交通空白地帯が生じています。
 このような状況の中、交通利便性の維持向上と経費増加の抑制を図るべく、利便性と経済性の調和が取れ、かつ、将来的な地域交通の安定的な維持に資する適切な交通体系再構築案を検討しました。
4.本土最南端の山川・根占航路における利用促進と物流活性化調査  山川・根占航路は本土最南端にある定期フェリー航路であり、平成14年9月末から廃止されていましたが、平成18年11月から、市町村が保有する船舶を運行委託する方式により、安定的な運行に向けた環境が整備されたところです。
 しかしながら、乗客数や乗用車航送台数が伸び悩み、将来にわたって安定的な運行を確保していくためには、積極的に利用促進に取り組む必要があります。
 そこで、地域住民や観光・物流関係事業者等の利用実態調査や意向調査等を行い、潜在的なニーズの把握や航路利用の可能性、航路利用の課題の抽出を行なった上で、半島間の地域交流、観光、物流の活性化を通じた同航路の利用促進策を取りまとめました。
5.小城市におけるコミュニティバスを中心とした交通体系の構築  小城市は平成17年3月に4町が合併して誕生した町であり、合併前の旧町による乗合タクシーや福祉バス及び合併後の分庁舎間を巡回する無料巡回バスの運行の他、県や市の補助による路線バスも維持されており、民間と行政による複雑な運行が行なわれています。
 そのため、利用者の減少による財政負担や交通機関相互の連携など多くの課題を解決しなければならない状況になっています。
 これらの諸問題を解決し、更に高齢化社会の到来を見据えた上で、市民に利用しやすい公共交通のあり方を検討するため、市内巡回バスの有料化による行財政負担の縮減、路線の整理統合によるわかりやすい路線設定及び時刻設定等を市民の理解・協力を得ながら実施することを計画しています。
 そのため、市民のニーズにあったコミュニティバスを中心とする総合的な公共交通システムを構築する計画を策定するために、市民の利用実態やニーズを把握し、同市の公共交通のあり方について検討を行いました。
6.壱岐市と唐津市における地域の魅力を活かした公共交通活性化  壱岐市と唐津市を結ぶ旅客定期航路について、平成19年4月より唐津市側の帰終点を呼子港から唐津港へシフトするとともに、バリアフリー対応の新船を就航させたところです。
 しかしながら、周辺地域を合わせても人口規模がそれほど大きくない唐津市から壱岐島への誘客はおのずと限界があることから、近隣の大都市である福岡市(博多)への旅行客を壱岐島に誘客する方策を検討することは欠かすことはできません。
 よって、両地区の観光資源を活かした観光誘致方策を調査し、併せて地場産業の活性化、博多〜壱岐〜唐津〜博多の動線づくり、海上と陸上の交通結節等利用促進策を検討しました。
7.地域公共交通の活性化・再生マニュアル(九州版)の作成  市町村においては、自ら地域公共交通のあり方について検討すること、又はその基礎となるノウハウや情報、組織や人材が不十分であることが多い。
 これらのことを踏まえ、九州運輸局としても、地域公共交通の活性化及び再生に必要な「人材育成や情報提供の充実・強化」を図るため、地域公共交通活性化・再生を担当する市町村職員(初心者から経験者まで幅広く対象)が必要とするノウハウや情報を集約したマニュアル集を作成しました。
8.熊本・本土航路航路の利用促進策及び交通網を活かした観光振興策  熊本・本土航路を結ぶ高速船「マリンビュー」を運航する熊本フェリーは、ここ数年の利用者減少、燃料費高騰等理由により平成19年度末までに同航路を廃止したい意向がありました。
 熊本・本渡間は地域高規格道路の整備が進められてはいるものの、現状において幹線道路が1本しかないことから、土日を中心に慢性的な交通渋滞が発生しており、天草エアラインとともに、上記航路が横断的期間交通網として利用されてきました。
 同航路の廃止は、県内有数の観光地である天草地域の振興に大きな影響を及ぼすため、平成23年春の九州新幹線全線開通を見据えた新幹線からのアクセス手段として、熊本・本渡航路の利用促進策を検討するとともに、その他の交通網を活かした天草地域の観光振興策の調査検討を実施しました。
9.獅子島を中心とする航路の活性化  鹿児島県獅子島を結ぶ航路は、現在4航路あるが、うち2航路は民間による県単独補助航路、1航路は第三セクターが運航する航路、残るもう1航路については、民間による町単独補助航路でしたが、平成18年8月末に廃止されたことを受け、地元貸切船協会により設立された新たな有限会社により運航が開始されました。
 ついては、航路の利用実態を把握するとともに、地方自治体の財政が厳しい中、地域の輸送ニーズを踏まえたより効率的な航路のあり方を含め、航路利用促進策を検討し当該地域の活性化策の提案を行いました。
10.北薩地域における公共交通を活用した地域振興の方策  北薩地域の阿久根市、薩摩川内市は豊かな地域資源を有するものの、過疎化が進行する中、他地域との交流の要となる公共交通機関の利便性が低下してきていることなどを背景に、地域の活力が損なわれてきている。
 このため、新幹線の開業により分離された並行在来線の肥薩おれんじ鉄道の沿線市に当たる両市において同鉄道を含めた地域における公共交通の課題を抽出し、利便性の改善方策を検討することにより、公共交通の利用促進を図るとともに、コミュニティバスや肥薩おれんじ鉄道等の情報を掲載した公共交通マップを作成しました。

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