平成25年度 中部バリアフリー連絡会議 議事概要(意見交換)

 

日時: 平成26年2月26日(水)13:3016:30(意見交換は15:30〜)

場所: 名古屋合同庁舎第1号館 11階共用大会議室

 

●情報提供について

・情報アクセシビリティの確保を求める。(聴覚障害)

・文字情報の充実は、聴覚障害者のためだけではなく全ての人にとって役に立つことである。

・災害時の避難経路について、知的障害者にも分かりやすい情報提供を求める。(知的障害)

・その他、様々な案内表示について、知的障害者にも分かりやすい情報提供を求める。

・聴覚障害者の方に対するハード整備が遅れているが、携帯端末を利用したものが今後実用化されてくることに期待が持てると思う。

 

●点字ブロックについて

・歩道に敷設する点字ブロックについて、公的建物だけでなく民間の建築物とも接続すべき。

 

●トイレについて

・多機能トイレひとつにすべての機能を盛り込むと、使用が集中してしまって占有されることが多くなるので、機能を分散させて人によって使用するトイレを選択できるようになるとよい。

・広めの多機能トイレにベッド(おむつ交換シート)を設けるのであれば、ベビーベッドではなく大人でも使える介護用ベッドが欲しい。

・ベッド(おむつ交換シート)について、使用後たたむというマナーをしっかり標記したほうがよい。

・車いすの方のトイレについて、一般のトイレでも「幅」と「手すり」さえ確保されればそれだけで使用できるようになる車いす使用者もいる。基準適合の多機能トイレを整備したうえで、一般トイレに広めのブースのトイレを作るようにしてはどうか。(簡易型多機能便房の考え方)

・最低限の大きさのトイレでよいという意見もあるが、重度障害等で使えない人のためにも、フル規格の多目的トイレはやはり必要。

 

●公共交通機関の利用について

・障害者割引の切符購入について、聴覚障害者にとって手話通訳や筆談等の窓口でのやり取りが大変なので、自動券売機で買えるようにして欲しい。

・鉄道の切符購入について、「車いす対応席」を買う際に大変手間がかかる(30分〜1時間は待たなければならない)ので改善して欲しい。

・こうした手続きのややこしさが、障害者の社会参加のバリアのひとつになっている。

・駅の無人化などによって「人の目」が少なくなっていくことは問題である。

・JRの障害者割引について、100q未満の乗車でも割引適用できるようにして欲しい。

 

●妊産婦(子育て)の立場からの意見

・公園をもっと子どもが遊べる環境にしたい。

・子ども連れの鉄道利用について、新幹線の多目的室は誰かが使っていると使えなくて不便。そこで、年末年始やお盆期間だけでも「子連れ専用車両」といったものがあれば大変助かるのではないか。

 

●知的障害者の立場からの意見

・スクランブル交差点や歩者分離交差点について、仕組みが分からず戸惑うことがある。

・鉄道の女性専用車両について、女性専用車両だということが理解できないことがある。

・知的障害者の理解を深めるためには、知的障害者に対応した環境整備をするのは当然なのだということを、しっかりと教育で行う必要がある。

 

●行政(整備側)からの意見

・行政としては、予算が限られているなか「効率性」を踏まえて施策を実行しており、バリアフリー法の基本構想制度でいう「重点整備地区」にもそうした考え方が表れている。しかし結果として、優先度をつけてバリアフリー整備を行うことが一因で、地域格差もできてしまっている。

・行政が実施しなくてはいけないのは「施設整備」と「利用モラルの向上」と「情報の提供」ということ。それに加えて市民のバリアフリー意識向上のための啓発もやっていかなければいけない。

 

●バリアフリー整備の考え方について

・バリアフリーは「障害者のため」ではなくて「みんなのため」の施策だという意識がないといけない。そうでないと採算が合わないというような話が出てきてしまう。

・バリアフリー整備は「一般の方たちとっても便利になる」ということ。

・その反面、「誰でも利用できる」ようになってきたことで、使いたいときに使えないという問題を招いており、現在それを解決するための対策が必要になってきている。

・バリアフリー整備の地域間格差は確実に広がっており、地方部では障害者・高齢者が取り残されていってしまう。行政はこうした格差の解消を考えなければならない。

 

●制度、仕組みについて

・行政と当事者が協働でやらないと解決しない。その意味でワークショップは重要。

・市民と行政が協働で「話し合いの場」を設けて、当事者・関係者が集まって協議して事業を行うことは、利用者が求める設備が作られることになるので、施設のつくり方という面でも良い結果をもたらす。ひいては、施設の「使い方」にも気を遣ってもらえることになるのでは。

・様々な障害者・利用者の立場からの意見が出るが、単純に意見を足し合わせればよいものではなく調整が必要となる。意見交換だけではなく、議論して具体的なアクションにつながる場や仕組みが重要。

・住民が行政に参画して協働でつくるという仕組みは、日本ではなかなかやりづらいのかもしれないが、基本構想の制度には「住民等の参加の促進」ということがあり、ツールとして活用できるもの。

・武器となるはずの基本構想がうまく機能していない状況だと思うので、連絡会議での議題の一つとして、基本構想がうまく機能・活用されるための議論をしてはどうか。

・福祉政策における「地域福祉計画」の策定は、策定率6割ということで進んでいる。基本構想についてそこから参考に出来ることがあるのではないか。

・行政において「縦割り」が障害になっていることがあるが、地方自治体はそれではいけないので、ハード部局とソフト部局が垣根を越えて、うまく協力・連携して自治体の総合政策に取り組んで欲しい。

・国の基準・ガイドラインは最低基準を定めているもの。自治体は各々個別の考えで、条例にそれ以上の基準を設けて強力にやるということも状況をみて行っていただきたい。

 

●その他、考え方などについて

・日本語や英語と同じように、手話も一つの「言語」であるということを理解して欲しい。(聴覚障害)

・法において「移動する権利」が明記されてはいないが、それぐらいの気持ちで考えてもらえると、施策の取り組み方が違ってくるはず。

・車いすでのバス乗車の際、乗車を待っていた乗客の方にも「ありがとう」と声を掛けていただけると、乗客の方にとっても「お手伝い」という意識になるので、声掛けをお願いしたい。

・助けてもらって「ありがとう」と言うのは当然だが、障害者にとっては「ありがとう」と言わなければならない回数も健常者と同じレベルで済ませることができるような、そういう社会を望む。