平成18年10月20日

中部運輸局海上安全環境部

 

 内航船舶を海外で運航させる際の法令の遵守について

 

 

昨今、内航運送の用に供する日本船舶を、船舶法、船舶安全法その他のわが国海事関係法令に定める手続きを適正に行うことなく、違法に海外で運航させていた事案が見受けられました。

つきましては、法令の遵守を図る観点から、下記の点の周知・徹底についてよろしくお願いいたします。

 

 

1.   日本船舶(船舶法第1条の「日本船舶」をいう。)は、売買契約の締結及び売買契約に基づく船舶の引渡しが完了することにより、所有権が外国法人等(船舶法第1条各号に掲げる所有者以外の者をいう。)に移転されない限り、船舶法その他のわが国海事関係法令において「日本船舶」としての規定が適用されます。したがって、例えば次のような場合には、引き続き「日本船舶」としての取扱いを受けることとなります。

    所有権を移転せずに、外国法人等に裸用船する場合

    海外売船に係る売買契約が締結されていない場合

    海外売船に係る売買契約は締結されているが、売買契約に基づく船舶の引渡しが完了していない場合

 

2.       「日本船舶」(上記1に例示するものを含む。)で専ら内航運送の用に供する船舶を、海外で運航させる場合には、当該船舶の航行区域変更のための臨時検査の受検や国際航海に必要な条約証書の受有が義務付けられる等船舶安全法その他わが国海事法令が引き続き適用されます。必要な手続きを怠ったときには、罰則が適用される場合がありますのでご注意ください。手続きの詳細については、知らせ」もしくは最寄りの地方運輸局へお問い合わせください。

 

3.       売買契約の締結及び売買契約に基づく船舶の引渡しが完了し、船舶の所有権が外国法人等に移転した場合には、日本の国籍は喪失することになりますので、すみやかに船舶検査証書を返納するとともに、船舶国籍証書の返還と当該船舶の引渡日より2週間内に抹消の登録手続き等を行う必要があります。必要な手続きを怠ったときには、罰則が適用される場合がありますのでご注意ください。手続きの詳細については、「お知らせ」もしくは最寄りの地方運輸局へお問い合わせください。

 

4.       売買契約に基づき、外国法人等へ引渡しが完了した船舶を航行の用に供するためには、引渡し後の船籍登録国において、船舶国籍証書の発給、船舶検査の実施その他航行に必要な手続きを受ける必要があります。引渡しを日本の港で行う場合には、あらかじめ出航前に、引渡し後の船籍登録国から船舶国籍証書(又は仮船舶国籍証書)、必要な条約証書類の発給を受けてください。

なお、海外売船に伴い、売船先の企業、条約証書発給機関等に対して、当該船舶の「国際総トン数」に関する情報をあらかじめ提供する場合には、「1969年の船舶のトン数の測度に関する国際条約」(「トン数条約」)に基づき国際的な指標として用いられる「国際総トン数」(国際トン数証書にはこの値を記載することになっています。)と、わが国独自の指標である「総トン数」(わが国の船舶国籍証書にはこの値が記載されています。)とを混同しないように注意してください。詳しくはをご覧ください。