海事振興部長 青柳 孝次
令和8年 年頭の辞
令和8年の新しい年を迎え、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
海事関係事業者におかれましては、日頃より海事行政の推進に格別のご理解とご協力を賜り厚く御礼申し上げますとともに、燃油価格の高止まり、あらゆる物価の高騰、人件費の上昇、各業界の労働力のなり手不足といった厳しい経営環境の中、国民生活と経済活動を支えていただき心より感謝を申し上げます。
さて、九州の旅客船は、重要な生活インフラである離島航路や、都市圏の人流・物流を支える長距離・湾内フェリー航路、魅力ある観光コンテンツを提供する遊覧航路など、多様な航路を日々運航されています。令和4年に発生した知床遊覧船事故を踏まえた改正海上運送法等の段階的な施行は、本年4月にほぼ完了し、その経過措置期間も順次満了を迎えます。旅客船事業者の皆様におかれましては、人命は何事にも変えられないものとの強いご認識のもと、確実な対応をお願いいたします。国土交通省は、国庫補助航路の確保維持への支援や増加するインバウンド需要を支えるクルーズ振興等に、地域の皆様とともに引き続き取り組んでまいります。
また、内航海運は言うまでもなく物流の大動脈であり、環境に優しい輸送機関で、災害時の被災地への物資輸送等においても重要な役割を果たしております。国土交通省は、内航海運業者と荷主の遵守すべき事項及び望ましい協力のあり方を示すため、これまでのガイドラインを改訂し、新たに「内航海運における船員の働き方改革・取引環境改善・生産性向上に向けた改善事例集」を公表しました。併せて、航路開設、混載輸送、空荷防止等の新規需要創出に関する実証運航の支援等を行うことにより、災害時を含めた安定的な物流網の確保や環境負荷低減の支援に務めてまいります。
港湾運送事業は、労働者不足の顕在化に伴い、新たに「港湾労働者不足対策等アクションプラン2025」を策定し、取組みを進めているところです。なかでも、働き方改革推進のための環境整備や処遇改善には、運賃・料金の適正収受が重要ですので、取引慣行の改善に向けて引き続き港湾関係者と連携しながら、必要な取組みを推進してまいります。
造船・舶用工業は、国民生活や経済活動に必要不可欠な海上輸送を支える社会基盤であり、裾野の広い産業として地域経済や雇用にも貢献している重要な産業です。さらに、政府は、造船を総合経済対策における戦略的分野のひとつとして位置付け、再生・強化に向けた取組みを強力に推進することとしています。九州運輸局としても、これらの取組みを積極的に支援し、造船・舶用業界の更なる発展のため取組みを進めてまいります。
一層深刻化する船員不足の対応策としては、今年度開始した公共職業安定所との連携強化事業に加え、来年度からは地方公共団体による無料船員職業紹介事業が可能となるところ、これらを活用し海技人材確保の間口拡充を図ってまいります。
以上、新しい年を迎えるにあたり各分野における施策、所信の一端を申し上げましたが、海事産業における人材の確保・育成をはじめとするこれら施策の実効性を高めるには、関係者の皆様と一体的な取組を進めることが必要不可欠であります。
今後とも、海事行政の推進に関し、皆様のご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
