TOPICS

第3回観光交流促進における九州の物語の活用に関する検討委員会 議事概要

【日 時】
  平成20年3月13日(木) 14:00〜16:00

【場 所】
  博多都ホテル3階 孔雀の間

【出席者】
 [委員]田中委員長、煌竏マ員、古川委員、石田委員(代理・工藤)、梶尾委員、
橋口委員、納富委員、砂田委員、町委員、内藤委員(代理・湯本)、
秋山委員、中島委員(代理・横江)、丸山委員、水嶋委員、吉村委員(代理・中春)、大黒委員

【議事概要】
 1.開    会
 2.委員長挨拶
 3.議   事
 (1)「魅力ある九州物語100選」とデータベースの活用について(事務局より資料説明)
 (2)提言「九州の物語を活用した観光交流促進に向けて」(事務局より資料説明)
 (3)自由討議


     委員の発言概要は以下のとおり

1〜100までの番号には何か意味があるのか。100選というのがこういう形でまとまって発表になるときに、いの一番に出てくる「小泉八雲」というのが、九州の旅というイメージから見たときにどうなのか。漱石、鴎外、白秋、清張は非常にイメージがわかりやすいのだが。発表する際には、まとめ方について考えたほうが良い。


作家の中では時代順になっているところがある。小泉八雲をどうするかという問題はあるので、順番を考えたい。


旅のジャンルの分け方は深く考えられていて、このジャンルは大変参考になる。ただ、42番の「サザエさん」を「博多っ子純情」に集約するとあるのは違和感を覚える。「サザエさん」は今も放映されているし、影響力とかインパクト、知名度では上だと思うので、「サザエさん」を表に出してほしい。


「サザエさん」は、最初は夕刊「フクニチ」に掲載されたと思うが、早い段階で東京へ移って東京の物語のような形でやっているので、100選の中に入れるにおいてどっちに集約するかというのはなかなか難しい。


「佐賀のがばいばあちゃん」は、初出については小説という形だが、幾つかメディアミックスでやられている部分があって、その紹介のスタートをどこで基準をとっているのかが若干わかりづらい。どっちが有名か、どこでブレイクしたかという点で選ばれたのか、あるいは原点を尊重するのか、非常に曖昧なのでお考えを伺いたい。


325の物語の中には「がばいばあちゃん」のようにジャンルをまたがって両方に出ているものがあり、当初は基本的にどのジャンルが初出かを記載をしていた。ただ、基本のジャンルをどこにするかという判断が難しいということで、100選にした段階ではあまりジャンルにこだわらないほうがいいという議論をしたところだ。


こだわらないのはいいが、どういうふうな考え方で整理をしているのかということは説明できるようにしておいたほうが良いのではないか。


「関連する物語」というところがあるので、そこで明確に整理できるかどうか検討してみたい。


委員推薦があった物語のうち100選に入らなかったもので、138点の「西郷隆盛」があるが、100選に入った物語で一番下の点数は何点か。


1点のものもあったが、なるべく委員の支持のあったものを生かそうという発想のもとでやっているので、点数だけでやったということでもない。統合できるものはなるべく統合し、生かそうという感じで整理した。


22番の「風のハルカ」と「走らんか」と「まんてん」は、それぞれ舞台が違う。NHKの朝の連続ドラマという一つのくくりになっているが、観光の観点からは無理がある感じもする。


NHKの朝のテレビ小説を調べてみたら十何件あったが、一番新しくて投票で高いのが「風のハルカ」だった。「風のハルカ」は、こういうNHKのテレビ小説があったということをどこかでまた言わせていただく入口になるということでとらえている。100にこだわる形で無理やり整理をした部分があり、物語を統合したということではちょっと無理があろうかと思う。


35番の「点と線」は5番の「松本清張」に統合することも考えられるが、ほかの作品でいろいろ統合されているものがある中で、この「点と線」だけが独立して出ているのはなぜか。


最近放映されて、アンケート調査でも非常に高い数字が出たので残ったということだ。


「点と線」は繰り返しドラマ化されていて、不変のテーマみたいになっていることが大きいと思う。影響力の大きさということで言えば、「松本清張」と「点と線」が並んで入っているというのは、さほどおかしいことではないと感じる。


先ほど小泉八雲と夏目漱石の話があったが、二人とも熊本の第五高等学校で同時に先生をしていて、校長先生が柔道家の嘉納治五郎だった。総理大臣では池田勇人と佐藤栄作が出ているし、そういった点からも、五高とか熊本だけでも縦にしたらものすごくおもしろい物語が出るのではないかと思う。やはり全部関連があるわけで、つなげないと意味がない。点だけではだめで、線で、さらにそれを面に広げていただくと非常におもしろい構成ができるし、横の流れもうまくいくのではないか。


篤姫は久しぶりに当たりの大河ドラマで、鹿児島はさることながら東京でも25%を超える視聴率をいただいており、ありがたいことだ。女性の視点で描いたドラマということで、教科書にある歴史だけでなく、その背景にある人々の日常の暮らしや社会の中でのあり方が強く出てくるため、そういうところが、いつも大河ドラマを見ていない女性の方々に支持されていると勝手に考えている。 今回の提言も、単に行って観光地をなぞるだけでなく、生活との結びつきや地元の方々の日常の暮らしとのつながりなども考えていらっしゃるようなので、非常に良い 。


提言の7ページで、観光客に十分な満足感を与えることのできる専門知識、ホスピタリティを兼ね備えた観光ガイドの数が不十分で、研修会などの実施が必要ということだが、その前に、ガイド養成のための指導者の充実を早急に行ったほうが良い。お客様目線で考えることについてガイドに指導ができる人たちの選出、育成が先だと思う。  もう一つ、前回のアンケート調査の結果で「旅の目的や動機となり得るジャンルは何ですか」という質問に対して、映画やテレビドラマと回答した人が非常に多かったが、実際現地に来てみて、「やっぱりイメージどおりだ」と言う方もあれば、逆にがっかりして帰る方もある。そういうギャップをいかになくしていくか、どうやってギャップを埋めていったらいいかを考える必要があると思う。


これだけの物語がピックアップされているが、それぞれの物語にかかわる場のピックアップをもう少し細かくやる必要がある。この物語に関してはこういう場所があるということが子細にわかるようなデータベースをつくっていただきたい。それがないとボランティアも生かせない。  今日は午前中に五木村に寄ったのだが、ご存じのとおり五木村はダムの関係で集落が全部壊されている。あるいは島原鉄道は、今回の映画があるにもかかわらず南半分が廃止される。失われては元も子もないので、場と物語をよくリンケージさせるとともに、それが守られ、利用されて、また盛り上がっていくような仕組みにしていただきたいと思う。



先日東北に行ったら、東北や北海道から見ると九州は神話から近代に至るまですごいものを持っていて、物語としてもすごいと言われ、そういう意味では私たちはまだ生かし切っていないなという感じがした。 考えてみればもともと九州は観光王国であったので、もう一度こういったものを具現化し、それぞれに全国発信できたらすばらしいことになるのではないか。



今回は物語を100に絞り、9つの提言を示していただいて、内容のあるものになったと思っている。ただ問題は、どう具体化していくか、何から手をつけるかということだ。この100選の中身を見ると、現地の状況にばらつきがあるので、そのあたりをどう働きかけていくかということが非常に大事だと思う。また、具体化する上で、物語に基づいて現地に行ったときに、現地で説明文の中に物語のシンボルマークがあると、もう少しイメージが明確になるのではないか。 それから、ぜひ一過性にならないように工夫をしていただきたい。そのためには、まちづくりに生かすとか、ボランティアをしっかり養成をしてその人たちが力になるとか、イベントを開催するといったことが必要になる。 最後に、九州内の交通が便利でないということで前回ご指摘を受けた。東京などで話を聞くとそういうイメージになっているようだ。これは我々が反省をしないといけないところで、鉄道やバスの路線情報などがうまく発信できていない。九州のバス事業者が連携した「SUNQパス」や九州の鉄道事業者が連携したの「九州満喫きっぷ」などをうまく発信をしていけば、交通の便が悪いというイメージも変わってくるのではないか。データベース化される中に、ぜひこのあたりの情報も一緒に入れていただきたい。 。



こうやって100選にうまくまとめて、いいデータベースとしてできたのではないかと思っている。あとは活用するときに、さっきから出ているボランティアガイドを活用した旅などの整備状況、窓口がどうなっているかとか、どこにあるかとか、あるいはその地域に関するグルメ・温泉などの情報もネットのデータベースに一緒にリンクして入れたりすれば、一過性で終わらないものになると思う。



今から旅行商品等を販売していく上で、ロゴの作成も含めて、まず「九州物語100選」という言葉自体を徹底的にブランド化してPRし、強い売り込みをすることが大切だ。そうすれば東名阪の旅行会社等も乗ってきて、商品造成していただけるのではないか。



このように100の物語が出てきても、例えば九州観光推進機構がやっている「うんちくの旅」のようにはまだつながっていない。先ほどお話の中にあったように連続性を持たせたルートができるのが一番良いが、同じテーマでくくられるようなものがなければ、100選の中の一つと既存の観光地を組み合わせてビジネスとして成り立たせていかなければいけない。したがって、この一つ一つの素材にどういう宿泊施設や食事を結びつけ、どのような名産品を売っていくか、運輸機関をどうしたらいいかということを考えていく宿題をいただいたと思っている。 また、今言われたようにブランド化するのは非常に大事なことで、100選ができた場合に、人は幾つか行くと必ず全部踏破したくなるものなので、それを巧みに利用して、スタンプラリーじゃないが、一つ一つ消し込みをさせるぐらいやればおもしろい 。



千幾つから100の素材まで、10分の1ぐらいまで縮めて残ったものは価値があるものだと認識している。そういう中で九州物語ライブラリーをいかに充実して、なおかつ継続的なメンテナンスができるかというのが一つのポイントだ。 あとは、皆さんがおっしゃるとおりこういった素材をルート化することが大きな課題だと思う。そういう意味では「あご・あし・まくら」というのがこれにくっついた形、特に2次交通を含めたもろもろの情報提供をやっていかない限り動機づけができない。素材を見て「行きたいな」という興味の動機づけまではできても、自分でほんとうに体を動かして行こうというときにはルート化の情報が大きなポイントになると思うので、ここら辺をさらにフォローアップしていく必要がある 。



非常によく勉強されて、いいものができ上がったと思う。ただ、こういったものを見て動機づけして旅行されるのは多分高齢者の団塊の世代の方で、若い人たちにはまだ理解できない部分もあると思うので、もっと若い人たちにも動機づけできるような、先ほど言われた泊まりであるとか温泉であるとか、そういったものの組み合わせをして、より魅力あるものにしていくことが大きな課題だと思う。もう一つ、実際には伝記とか歴史というのは形のない場合もあるので、ものすごく夢を膨らませて来た客に対して、受け地のほうでそれをフォローするガイドさんや、住民の方も相当勉強していかなければ対応ができないのではないか。実際の商品となると、そういったものが加味されてくると思う 。



九州・邪馬台国をめぐるルート開発というのは、これだけ九州説だと熱くみんなが言っているわりには、これをルートにした商品というのはあまり思い浮かばない。いろいろな切り口があると思うので、ちょっと長旅になるかもしれないが、映画化を機会に早急に商品化してほしい。
 専門ガイドの養成ということでどういうシステムがあるのか私はよくわからないが、観光立国を言うのであれば、ガイド育成のシステムづくりをここでかちっとやったほうがいいと思う。もう一つ、私が今やっているのは共通のテーマや物語に関してイベントなどを行う仕事だが、それがまちおこしや保存運動につながっている。私たちは、一つの付加価値をつける仕事もできていると思う。



私が自分で肝に銘じているのは、娯楽に関する情報というのは消耗品であるということだ。この100選も2年後に選んだときには3分の1ぐらい消えているのではないかと思う。ただ、あえてその100選のメンテナンスに力を入れるよりは、先ほど提言のあった九州・邪馬台国伝説キャンペーンにパワーをかけて、そういう総合的なプロジェクトをこの九州物語委員会がベースとなってどこまで成功できるかという実例をつくることのほうが全体に及ぼす効果は高いと思う。このプロジェクトをどこまで具体的なものとしてお考えになっているかわからないが、これを実現するためには、中途半端な形ではなく、徹底した形で「まぼろしの邪馬台国」キャンペーンをやっていただきたい 。



「九州物語100選」だが、これは数字の「100選」ではなく、漢字の「百選」にしてほしい。そうなれば、さっきおっしゃっていたように、まさにこの100選というのが一つのブランドになっていくのではないか。 また、確かに完成度という点ではばらばらだが、いい素材を与えていただいたので、あとはこれを受け取った側がどれだけきちんと磨き上げていくかということだ。それと、一過性ではいけないという議論があったが、私は一過性でいいと思っている部分もある。篤姫は今非常にブームだが、数年前の風林火山が今皆さんの意識に上っているかといえば違うと思う。でも、あのときあそこが非常ににぎわったことは事実だし、何より、かつてそういったものがあったことを地域の人たちはよく覚えている。それで、それはまたもう一遍何かああいったものがあったほうがいいのではないかということになり、情報発信だとか観光が持つものの意味をいろいろな形で反復しておられるのではないかという気がする。九州人の性格からしても、一つのことを粘り強くというのは似合わない。連続立体花火とでも言うべき何かで、ぱーっとやって盛り上がって終わってというのをいろいろなところでやったほうが、「何か九州って元気だよね」という感じになるのではないか。最近NHKの大河ドラマは、高校の日本史の教科書に太文字で出てきてた人たちを主人公にしていないと思うが、それでもすごく視聴率をとっている。この100選で取り上げてもらったものもいろいろな人に書いてもらって、それをベースにしていいドラマとかをつくってもらうことによって、それが結果的には九州観光にとっても良いことになると思う。



この100選は委員の推薦に基づいてこういう形でまとめたが、委員会で問題提起をするという部分が非常に大きいので、これをまたご提案いただいた地域の方々に返して情報をやりとりして、もう一回整理する必要があると思う。 九州はいろいろな交流の歴史もあるし、北海道や沖縄と違って歴史・文化が豊かなことが大きな強みだと思う。そういう中でこの新しい観光素材、切り口をもとに今後の九州観光の発展ために我々としても努力をしたい。


4.その他

5.閉会

【主な配付資料】
 ○議事次第  
 ○配席図  
 ○出席委員名簿  
 ○オブザーバー出席者名簿  
 ○「魅力ある九州物語100選」 ……資料1
 ○提言「九州の物語を活用した観光交流促進に向けて……資料2
 ○「魅力ある九州物語100選」(案)の物語概要……参考資料1
 ○九州の物語を活用した観光交流促進に向けて……参考資料2
 ○物語に関する新聞記事 ……参考資料3

ページのトップヘ