【資料8】マスタープラン・基本構想ガイドライン     (令和2年法改正追補版) 表紙 移動等円滑化促進方針・バリアフリー基本構想作成に 関するガイドライン(令和2年5月法改正 追補版) 令和2年6月 国土交通省総合政策局安心生活政策課 1ページ目 目次 T はじめに  T−1 バリアフリー法の改正 3ページ  T−2 本ガイドライン(追補版)の位置づけ 8ページ U 移動等円滑化促進方針(マスタープラン)の作成  U−1 マスタープランに係る改正事項 10ページ  U−2 マスタープランにおける「心のバリアフリー」 11ページ V バリアフリー基本構想の作成  V−1 基本構想に係る改正事項 18ページ  V−2 基本構想における「心のバリアフリー」 19ページ  V−3 教育啓発特定事業に係る特定事業計画作成 25ページ W マスタープラン・バリアフリー基本構想作成に係る支援  W−1 地域公共交通確保維持改善事業 28ページ  W−2 移動等円滑化に係る「心のバリアフリー」に関する取組に       活用可能な各種ハンドブック等 30ページ 事例目次 1 事例の内容 「心のバリアフリー」に関する記載事例   事業主体 遠野市 15ページ 2 事例の内容 「心のバリアフリー」に関する記載事例   事業主体 奈良市 15ページ 3 事例の内容 「心のバリアフリー」に関する取組の記載事例   事業主体 宇部市 16ページ 4 事例の内容 啓発・教育活動の事例   事業主体 明石市 16ページ 5 事例の内容 車椅子使用者用駐車施設の適正な利用の推進事例   事業主体 川口市 24ページ 6 事例の内容 バリアフリー教室の開催事例   事業主体 香芝市 24ページ  本追補版は、「移動等円滑化促進方針・バリアフリー基本構想作成に 関するガイドライン」(平成31年3月国土交通省作成)の内容に、 令和2年6月のバリアフリ法改正に伴う「心のバリアフリー」に関する 拡充事項を補完したものです。 2ページ目 T はじめに 3ページ目 T−1 バリアフリー法の改正 1.移動等円滑化促進方針(マスタープラン)・基本構想制度改正の経緯  地域における高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を 確保するためには、高齢者、障害者等が日常生活又は 社会生活において 利用する旅客施設、建築物等の生活関連施設及びこれらの間の経路を 構成する道路、駅前広場、通路その他の施設について、一体的に移動等円滑化が 図られていることが重要です。  そのため、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律 (平成18年法律第91号。以下「バリアフリー法」という。)においては、 移動等円滑化基本構想(以下単に「基本構想」という。)において生活関連施設が 集積し、その間の移動が通常徒歩で行われる地区を重点整備地区として定め、 生活関連施設及び生活関連経路の移動等円滑化に係る具体的な事業を位置づけて 面的なバリアフリー化を促進する制度が位置づけられています。  また、平成30年5月のバリアフリー法改正により創設された移動等円滑化促進方針 (以下、「マスタープラン」という。)において、生活関連施設が集積し、 その間の移動が通常徒歩で行われる地区を移動等円滑化促進地区として定め、 生活関連施設及び生活関連経路の移動等円滑化に係る方針を示すことにより、 具体的な事業の予定がなくても、地域のバリアフリー化の機運醸成を図ることが 可能になりました(平成30年11月施行)。  平成30年5月の改正では、上記に加えて、マスタープラン・基本構想の作成は 市町村の努力義務として規定されることとなり、できる限り多くの市町村が、 地域の実情に応じてマスタープラン・基本構想の作成に取り組むことが重要です。  そして、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機とした 共生社会の実現に向けて、共生社会ホストタウン等を中心として「ユニバーサル デザインの街づくり」と「心のバリアフリー」といったハード・ソフト両面の バリアフリー化が進められています。  地域における真のバリアフリー化を図るためには、ハード面の整備だけでなく、 地域住民等のバリアフリーに関する理解の増進と協力の確保など移動等円滑化に 関する「心のバリアフリー」を促進するためのソフト対策も重要です。  こうしたことから、令和2年5月のバリアフリー法改正により、移動等円滑化に 関する「心のバリアフリー」を促進するための取組をマスタープランに記載する こととしたり、基本構想に具体的な事業として位置づけることが可能とすること としました(令和2年6月19日施行)。  東京オリンピック・パラリンピック競技大会のレガシーとして、共生社会実現に 向けて、それぞれの地域においてハード・ソフト両面のバリアフリー化を促進する ことが求められています。 4ページ目 2.マスタープラン制度の概要  マスタープラン制度の概要を以下に示します。  令和2年5月のバリアフリー法改正により、令和2年6月19日以降に作成する マスタープランにおいては、「移動等円滑化の促進に関する住民その他の 関係者の理解の増進及び移動等円滑化の実施に関するこれらの者の協力の 確保に関する事項」の記載が必要です。  なお、改正法の施行日(令和2年6月19日)の際に、既に策定されている マスタープランについては、令和2年6月19日以降初めて変更されるまでの間は、 「移動等円滑化の促進に関する住民その他の関係者の理解の増進及び 移動等円滑化の実施に関するこれらの者の協力の確保に関する事項」が 定められていなくても支障ありません。 旅客施設を中心とした地区や高齢者、障害者等が利用する施設が集積している 地区において、市町村が面的・一体的なバリアフリー化の方針を示すもの。 具体的な事業化の動きがなくても、市町村全域にわたる方針を示すなど、 地域におけるバリアフリー化の考え方を共有することが可能。 〇移動等円滑化に係る基本的な方針  ・マスタープランの位置づけ、マスタープラン作成の背景、   移動等円滑化促進地区の特性、マスタープランの計画期間等を記載。 〇移動等円滑化促進地区  〇移動等円滑化促進地区の位置・区域  ・移動等円滑化促進地区の位置、地区の範囲、地区の境界設定の考え方を記載。  〇生活関連施設・生活関連経路  ・生活関連施設、生活関連経路を位置づけ。  ・生活関連施設、生活関連経路に関するバリアフリー化の促進に関する事項を記載。  〇移動等円滑化の促進に関する事項  ・移動等円滑化促進地区におけるバリアフリー化の促進に関する事項を記載。  〇移動等円滑化の促進に関する住民その他の関係者の理解の増進及び移動等円滑化の   実施に関するこれらの者の協力の確保に関する事項(令和2年6月19日更新)  ・住民その他の関係者における障害の理解や協力の必要性・重要性を記載。  ・住民その他の関係者が取り組むべき「心のバリアフリー」に関する取組を記載。 〇行為の届出に関する事項  ・旅客施設、道路の新設等の際に届け出る事項を記載。 〇バリアフリーマップの作成に関する事項  ・市町村の求めに応じて提供すべき情報の内容等を記載。 マスタープランの概要・作成の目的に関する詳細な説明については、 「移動等円滑化促進方針・ バリアフリー基本構想作成に関するガイドライン」 1、2ページをご参照ください。 URL:http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/sosei_barrierfree_tk_000012.html 5ページ目 3.マスタープラン作成のメリット  マスタープラン作成のメリットを以下に示します。  令和2年度予算より、市街地整備事業における歩行空間の整備や、都市公園・ 緑地等事業において公園のユニバーサルデザイン化を図る場合にも交付金の 重点配分の対象となります。 〇事業に関する調整の容易化  ・市町村が目指すバリアフリー化の方向性を示すことにより、複数の関係者間で   認識が共有され、事業者に事業化に向けた準備期間を設けることができる。 〇バリアフリーマップ作成の円滑化  ・マスタープランにバリアフリーマップの作成について明記した場合、各施設の   管理者等から、バリアフリー化の状況等を報告させることができ、円滑な   情報収集が可能となる。   対象施設   義務:旅客施設、特定道路   努力義務:特定路外駐車場、特定公園施設、特別特定建築物   情報提供の内容    エレベーターの有無    障害者用のトイレや駐車施設の有無・数等 〇届出制度による交通結節点における施設間連携の推進  ・旅客施設と道路の境界において改修等を行う場合に、事前に改修工事の   内容等を市町村に届け出てもらうことが可能となり、連続したバリアフリー化が   確保されるよう改修内容を変更する等の要請を行うことができるなど、   施設間の連携を図ることができる。    届出対象範囲  ・生活関連施設である旅客施設   他の生活関連旅客施設   生活関連経路を構成する道路法による道路又は市町村が指定する一般交通用施設  ・生活関連経路である道路   生活関連旅客施設   市町村が指定する生活関連経路を構成する一般交通用施設  届出の流れ   改修時の計画を届出、支障がなければ工事着手   改修時の計画を届出、支障がある場合は必要な措置を要請し、計画変更したうえで   工事着手 〇道路や公園等のバリアフリー化に対する交付金の重点配分  ・道路事業や市街地整備事業・都市公園緑地事業等において歩行空間の整備や公園の   ユニバーサルデザイン化を図る場合、マスタープランに位置づけられた地区は、   社会資本整備総合交付金等の重点配分対象となる。 マスタープラン作成の効果に関する詳細な説明については、 「移動等円滑化促進方針・バリアフリー基本構想作成に関するガイドライン」 3ページをご参照ください。 URL:http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/sosei_barrierfree_tk_000012.html 6ページ目 4.基本構想制度の概要  基本構想制度の概要を以下に示します。  令和2年5月のバリアフリー法改正により、基本構想に位置づけることが できる特定事業の類型として、「教育啓発特定事業」が新たに追加されました。  旅客施設を中心とした地区や、高齢者、障害者等が利用する施設が集積している 地区において、公共交通機関、道路、路外駐車場、都市公園、建築物等のバリアフリー化を 重点的・一体的に推進するために、市町村が作成する具体的な事業を位置づけた計画。 基本構想の作成を通じて施設管理者相互の連携・調整を行い、移動の連続性の観点から 面的・一体的なバリアフリー化が可能となる。 〇移動等円滑化に係る基本的な方針  ・基本構想の位置づけ、作成の背景、重点整備地区の特性、計画期間等を記載。   〇バリアフリーマップの作成に関する事項  ・市町村の求めに応じて提供すべき情報の内容等を記載。 〇重点整備地区  ・重点整備地区の位置、地区の範囲、地区の境界設定の考え方を記載。  ・生活関連施設(3以上)、生活関連経路を位置づけ。  ・生活関連施設、生活関連経路に関するバリアフリー化に関する事項を記載。  ・実施すべき特定事業に関する事項(事業内容・対象施設・事業者・整備内容・   事業実施時期等を記載)  ・重点整備地区におけるバリアフリー化に関する事項を記載。(市街地開発事業との   調整、駐輪施設の整備等の市街地改善、交通手段の充実、ソフト施策等) 基本構想の概要・作成の目的に関する詳細な説明については、 「移動等円滑化促進方針・バリアフリー基本構想作成に関するガイドライン」 4〜6ページをご参照ください。 URL:http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/sosei_barrierfree_tk_000012.html 7ページ目 5.基本構想作成のメリット     基本構想を作成することのメリットを以下に示します。  令和2年度予算より、市街地整備事業における歩行空間の整備や、都市公園・ 緑地等事業において公園のユニバーサルデザイン化を図る場合にも交付金の 重点配分の対象となります。 〇既存施設も含めたバリアフリー整備の推進  ・特定事業を設定することにより、既存施設についてもバリアフリー整備の   義務化の対象となり、バリアフリー化を推進することが可能となる。 〇公共施設等適正管理推進事業債(ユニバーサルデザイン事業)の活用  ・基本構想に基づく公共施設等のバリアフリー改修事業等については、   一定の要件のもと、公共施設等適正管理推進事業債における   ユニバーサルデザイン事業の対象となる。   (充当率:90%、交付税措置率:30%(財政力に応じて最大50%まで引上げ))  対象事業  ・バリアフリー法に基づく公共施設等のバリアフリー改修事業やその他の   公共施設等のユニバーサルデザイン化のための改修事業        バリアフリー改修例:   車椅子使用者用トイレ等の整備、出入口の段差の解消、エレベーターの整備、   視覚障害者用ブロックの整備等        その他のユニバーサルデザイン改修例:   授乳室や託児室の整備、多言語による案内を行うための施設の整備、   観光施設等における洋式トイレの整備等 〇公共交通特定事業計画に係る地方債の特例  ・旅客施設におけるバリアフリー整備を公共交通特例事業に位置づけ、   国庫補助金の交付対象となる場合に限り当該事業に助成を行う場合に、   地方財政法第5条の規定によらず、地方債の対象経費とすることができる。   対象施設   義務:旅客施設、特定道路   努力義務:特定路外駐車場、特定公園施設、特別特定建築物   情報提供の内容   エレベーターの有無、障害者用のトイレや駐車施設の有無・数等   〇道路、公園及び鉄道駅のバリアフリー化事業に対する交付金・補助金の重点配分  ・道路事業や市街地整備事業・都市公園緑地等事業等において歩行空間の整備や   公園のユニバーサルデザイン化を図る場合、基本構想に位置づけられた   地区は、社会資本整備総合交付金等の重点配分の対象となる。  ・鉄道駅のバリアフリー化の整備に関する補助制度について、基本構想に   位置づけられた鉄道駅の事業は、補助金の重点配分の対象となる。 マスタープラン作成の効果に関する詳細な説明については、 「移動等円滑化促進方針・バリアフリー基本構想作成に関するガイドライン」 6〜8ページをご参照ください。 URL:http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/sosei_barrierfree_tk_000012.html 8ページ目 T−2本ガイドライン(追補版)位置づけ 1.本ガイドライン(追補版)の位置づけ  本ガイドライン(追補版)の本体である「移動等円滑化促進方針・バリアフリー 基本構想作成に関するガイドライン」は、マスタープランや基本構想を新規に作成 しようとする場合や、すでに作成済のマスタープランや基本構想を見直す際に活用 いただくことを目的として、平成30年のバリアフリー法改正の内容を盛り込み、 平成31年3月に作成しました。  令和2年5月のバリアフリー法改正により、移動等円滑化に関する「心のバリアフリー」を 促進するための取組をマスタープランに記載することとしたり、基本構想に具体的な 事業として位置づけることを可能とすることとしたことから、本ガイドライン(追補版)では、 上記ガイドラインを補完する内容を示しています。  よって、令和2年6月以降にマスタープランや基本構想を作成する場合には、ガイドライン (本体)と合わせて本ガイドライン(追補版)をご活用ください。 移動等円滑化促進方針・バリアフリー基本構想作成に関するガイドライン 平成31年3月 国土交通省総合政策局安心生活政策課 プラス 移動等円滑化促進方針・バリアフリー基本構想作成に関するガイドライン 令和2年6月 国土交通省総合政策局安心生活政策課  なお、旅客施設、車両、道路、路外駐車場、都市公園、建築物等の移動等円滑化基準の 技術的な基準に係る解説は行っていません。移動等円滑化基準の解説に関しては、 各基準及びガイドラインを参照してください。  マスタープランや基本構想に基づいて、バリアフリーマップを作成する場合には、 「みんなでつくるバリアフリーマップ作成マニュアル〜市町村による一元的なバリアフリー 情報提供の手引き〜」をご活用ください。 URL:http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/sosei_barrierfree_tk_000222.html 9ページ目 U 移動等円滑化促進方針(マスタープラン)の作成 10ページ目 U−1 マスタープランに係る改正事項  マスタープランにおける記載事項は、平成30年のバリアフリー法改正により、 バリアフリー法第24条の2等に記載されています。 1.移動等円滑化促進地区における移動等円滑化の促進に関する基本的な方針 2.移動等円滑化促進地区の位置及び区域 3.生活関連施設及び生活関連経路並びにこれらにおける移動等円滑化の促進に関する事項 4.行為の届出等に関する事項 5.市町村が行う移動等円滑化に関する情報収集、整理及び提供に関する事項 6.その他、移動等円滑化促進地区における移動等円滑化の促進のために必要な事項 7.移動等円滑化促進方針の評価に関する事項 項目1、5、7については任意記載事項  令和2年5月にバリアフリー法改正により、新たに、法第24条の2第2項第3号に移動等円滑化に 関する住民の理解の増進及び協力の確保が追加されました。  これにより、マスタープランを作成する場合には、これまで定められていた項目に加えて、 移動等円滑化に係る「心のバリアフリー」に関する事項を明記することが必要である。 1.移動等円滑化促進地区における移動等円滑化の促進に関する基本的な方針 2.移動等円滑化促進地区の位置及び区域 3.生活関連施設及び生活関連経路並びにこれらにおける移動等円滑化の促進に関する事項 4.移動等円滑化の促進に関する住民その他の関係者の理解の増進及び移動等円滑化の実施に関する   これらの者の協力の確保に関する事項 5.行為の届出等に関する事項 6.市町村が行う移動等円滑化に関する情報収集、整理及び提供に関する事項 7.その他、移動等円滑化促進地区における移動等円滑化の促進のために必要な事項 8.移動等円滑化促進方針の評価に関する事項 項目1、6、8については、任意記載事項    なお、これまでも「6.その他、移動等円滑化促進地区における移動等円滑化の促進のために 必要な事項」として「心のバリアフリー」に関する事項を記載することが可能であったことから、 実態としても多くのマスタープランに「心のバリアフリー」に関する事項が記載されている。  マスタープランに明示すべき事項の詳細な説明については、 「移動等円滑化促進方針・バリアフリー基本構想作成に関するガイドライン」 47〜51ページをご参照ください。 URL:http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/sosei_barrierfree_tk_000012.html 11ページ目 U−2 マスタープランにおける「心のバリアフリー」  高齢者、障害者等が安心して日常生活や社会生活が送ることができるように するためには施設整備(ハード面)だけでなく、高齢者、障害者等の特性を 理解し支え合うという「心のバリアフリー」が重要です。  マスタープランでは、移動等円滑化に関する「心のバリアフリー」の必要性や、 実施主体、取組内容等を具体的に記載することが必要です。 1.「心のバリアフリー」とは     施設のバリアフリー化に代表されるハードの整備が進んでも、高齢者や障害者等に 対して、国民ひとりひとりが高齢者、障害者等の特性を理解し、接することができなければ、 真の意味でのバリアフリー化は図れません。  「心のバリアフリー」とは、ユニバーサルデザイン2020行動計画(平成29年2月ユニバーサル デザイン2020関係閣僚会議決定)に記載されているとおり、様々な心身の特性や考え方を持つ すべての人々が相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支えあうことを意味しており、 当該行動計画においては、次の3点が「心のバリアフリー」を体現するためのポイントとして 示されています。 @障害のある人への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」を  理解すること。 A障害のある人(及びその家族)への差別(不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供)を  行わないよう徹底すること。 B自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションを取る力を養い、  すべての人が抱える困難や痛みを想像し共感する力を培うこと。 2.障害の社会モデル  障害者が日常・社会生活で受ける制限は、社会における様々な障壁と相対することによって 生ずるものという考え方を「障害の社会モデル」と言います。  この障害の社会モデルの考え方は、2006年に国連総会で採択された「障害者の権利に関する条約」に おいて提示され、日本では、条約の締結にあたり2011年に改正された「障害者基本法」で明確化され、 2013年に制定された「障害者差別解消法」で具体化されているほか、UD2020行動計画でも、 その考え方が明確に記されています。  障害者にとって社会にある障壁は、事物、制度、慣行、観念等の様々なものがあり、 日常生活や社会生活において相当な制限を受ける状態をつくっており、社会の責務として、 この障壁を取り除いていく必要があります。  このような考え方に従い、高齢者、障害者等の利用者の立場に立って、社会的障壁を取り除いて いくために何が必要か考えて必要な施策を検討することが重要です。 12ページ目 3.「心のバリアフリー」の取組の推進に当たっての関係者の基本的な役割  移動等円滑化に関する「心のバリアフリー」の取組を推進する際には、国、地方公共団体、 施設設置管理者、住民のそれぞれが、どのような役割を期待されているのか、担っていくべき なのかを理解することが重要です。  関係者の基本的な役割については、移動等円滑化の促進に関する基本方針(令和2年国家公安委員会・ 総務省・国土交通省・文部科学省告示第○号。以下「基本方針」という。)の五の二において 次のように記載されています。 《基本方針より》  移動等円滑化に関する「心のバリアフリー」の取組の推進に当たっての関係者の基本的な役割  1 国の役割   「心のバリアフリー」を推進するためには、障害の有無にかかわらず参加者全員が  バリアフリーを考える参加型イベントが効果的であることを踏まえ、国は広報活動、  啓発活動、教育活動等を通じて、移動等円滑化の促進に関する関係者の連携及び国民の  理解を深めるとともに、高齢者、障害者等の移動等円滑化のために必要となる支援  その他の移動等円滑化の実施に関する国民の協力を求めるよう努める。なお、法にいう  「高齢者、障害者等」には、高齢者、全ての障害者(身体障害者のみならず知的障害者、  精神障害者及び発達障害者を含む。)及び妊産婦等、日常生活又は社会生活において  身体の機能上の制限を受ける者は全て含まれることについても、改めて周知を行う。  2 地方公共団体の役割   地方公共団体においては、国の取組に準じ、広報活動、啓発活動、教育活動等を  通じて住民の「心のバリアフリー」の推進に努める。   とりわけ、市町村においては、基本構想に教育啓発特定事業を位置付けることを  通じ、関係者を巻き込みながら「心のバリアフリー」の取組を計画的に進めていく  ことが望ましい。  3 施設設置管理者その他高齢者、障害者等が日常生活及び社会生活において    利用する施設を設置又は管理する者の役割   施設設置管理者その他高齢者、障害者等が日常生活及び社会生活において利用する  施設を設置又は管理する者は、継続的な教育訓練を通じ、職員等に対し、高齢者、  障害者等と適切なコミュニケーションを取りながら積極的に声かけや支援を行うよう促す。  さらに、職員等関係者のみならず、施設の一般の利用者が、困っている高齢者、  障害者等を手助けすることや、車両の優先席、車椅子使用者用駐車施設等の利用について  配慮することが、高齢者、障害者等の移動等円滑化に重要であることに鑑み、  一般の利用者の「心のバリアフリー」を推進するための広報活動及び啓発活動等を  行うよう努めることが望ましい。  4 国民の役割      国民は、高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性  並びにそのために高齢者、障害者等の円滑な移動及び施設の利用を実現す 13ページ目     4 国民の役割の続き  ることの必要性について理解を深めるよう努めなければならない。その際、  外見上分かりづらい聴覚障害、内部障害、精神障害、発達障害など、障害には  多様な特性があることに留意する必要がある。   また、視覚障害者誘導用ブロック上への駐輪、車椅子使用者用駐車施設への  駐車等により高齢者、障害者等の施設の利用等を妨げないことのみならず、  鉄道駅の利用に当たり、必要に応じ高齢者、障害者等を手助けすること等、  高齢者、障害者等の移動等円滑化のために必要となる支援その他のこれらの者の  円滑な移動及び施設の利用を確保することに積極的に協力することが求められる。   加えて、「心のバリアフリー」の実践に資するため、積極的に国、地方公共団体等が  行う啓発活動等に参加することが望ましい。  なお、令和2年5月のバリアフリー法改正により、国、地方公共団体、施設設置管理者 及び国民のそれぞれの責務として、車両の優先席、車椅子使用者用駐車施設等の移動等 円滑化が図られた施設について、高齢者、障害者等の円滑な利用を確保するために必要 となる適正な配慮についての広報活動及び啓発活動を行ったり、適正な配慮を行ったり することが求められることとなります(令和3年4月施行)。  マスタープランにおいて移動等円滑化に関する「心のバリアフリー」について記載する 際には、関係者の基本的な役割や求められる責務を理解した上で、関係者間で十分認識を すり合わせながら進めることが重要です。 4. マスタープランに記載する「心のバリアフリー」に関する基本的な内容  面的なバリアフリー化を図る上では、ハード面の整備のみならず、移動等円滑化に 関する「心のバリアフリー」などのソフト対策が不可欠であるため、基本方針の3の4にも あるとおり、次の事項を記載することが重要です。  《基本方針より》  移動等円滑化に関する住民その他の関係者の理解の増進及び移動等円滑化の実施に関する  これらの者の協力の確保に関する基本的な事項  1 移動等円滑化促進地区における移動等円滑化に住民のその他の関係者の理解の増進及び    協力の確保が果たす役割   移動等円滑化促進地区における移動等円滑化に住民その他の関係者の理解の増進及び協力の  確保が果たす役割について、次に掲げる内容を記載することが望ましい。  @ 移動等円滑化促進地区の面的なバリアフリー化を実現し、高齢者、障害者等が   安心して日常生活や社会生活を送ることができる環境を整えるためには、ハード面の   整備のみならず、住民や生活関連施設の職員等の関係者が、困っている高齢者、   障害者等を手助けすることや、車両の優先席、車椅子使用者用駐車施設等の移動等円滑化が   図られた施設を高齢者、障害者等が円滑に利用できるように配慮すること等の住民その他の   関係者の理解及び協力が必要であること。  A 住民その他の関係者の理解の増進及び協力の確保を図るためには、市町村や 14ページ目   前ページの続き       移動等円滑化促進地区内の施設設置管理者等が、児童、生徒等への教育活動や、住民、   職員等に対する啓発活動等を行うことが重要であること。  2 住民その他の関係者の理解の増進及び協力の確保に関する関係者の取組   住民その他の関係者の理解の増進及び協力の確保に関する取組について、次に掲げるとおり、  市町村や生活関連施設の施設設置管理者、住民等の関係者ごとに、可能な限り具体的に記載する  ことが望ましい。なお、移動等円滑化促進地区の移動等円滑化に資する取組であれば、  移動等円滑化促進地区外で行うものや、生活関連施設の職員や通勤者等移動等円滑化促進地区の  住民以外の者を対象としたものを記載することが可能である。  @児童、生徒等に対するバリアフリー教室や住民向けのバリアフリーに関するセミナーの開催等、   住民その他の関係者の理解の増進及び協力の確保に関する市町村の取組の内容  A施設や車両等の利用者に対する優先席、車椅子使用者用駐車施設等の利用に係る適正な配慮に   ついての啓発活動の実施等、住民その他の関係者の理解の増進及び協力の確保に関する   施設設置管理者の取組の内容  Bバリアフリー教室への参加等、住民、施設及び車両等の利用者等の取組の内容 5. 「心のバリアフリー」に関する施策     マスタープランに記載する具体的な「心のバリアフリー」に関する施策については、 基本方針に定めるほか、以下のような多様な広報・啓発・教育活動を、地域の実情に 応じて選定して位置づけていくことが重要です。  なお、移動等円滑化促進地区の移動等円滑化に資する取組であれば、移動等円滑化促進地区外で 行うものや、生活関連施設の職員や通勤者等移動等円滑化促進地区の住民以外の者を対象としたものを 記載することができますので、施策の検討の際の参考としてください。  1 理解を深めるための啓発・広報活動の推進  ・バリアフリー・ユニバーサルデザインの推進に関する功績のあった者に対する表彰等による   優れた取組の普及・啓発の促進  ・障害者が利活用する用具や補助犬に加えて、各種障害を対象としたマーク・高齢運転者標識・   マタニティマーク等の普及を通じた、障害者、高齢者、妊婦や子ども連れの人等の抱える   困難やそのニーズの理解の促進  ・国民の正しい理解を深めるための啓発・広報活動の実施  2 実際に行動につなげるための支援となる幅広い教育活動の推進  ・支援を必要とする方を実際に誰もが手助けできるようにするため、その方法等を解説した   一般国民向けのマニュアルの作成・普及  ・児童生徒と障害者、高齢者や幼児等との交流の促進や、車いす、アイマスクを用いた   体験活動等の小学校・中学校・高等学校における教育活動の推進  ・実際に公共交通機関等を活用しながら、障害者や高齢者等の移動の困難さを擬似体験すると   ともに、サポートの方法等について学ぶ「バリアフリー教室」の開催 15ページ目   前ページの続き  ・障害者、高齢者や子ども連れの人の移動や切符購入のサポート等を行うボランティア活動に   対する取組の支援  ・当事者参加型の教育プログラム(ブラインドサッカーやフロアバレー等)等を通して、   健常者が当事者と関わりを持つことで障害者の特性を得られる取組の推進  ・マニュアルや教育プログラムの普及・啓発等を通じて、行政機関や企業等の職員が様々な人の   多様なニーズに対応したきめ細やかな配慮と応対をできるように取組を推進  「心のバリアフリー」に関する記載事例 <遠野市>  【基本方針1】ともに支え合う心のバリアフリーの推進       高齢者や障がい者が安心して日常生活や社会生活が遅れるようにするため、施設整備(ハード面)  だけではなく、市民一人ひとりがバリアフリーに対して正しく理解し、互いに協力し合う  地域社会づくりが重要です。   東京2020オリンピック・パラリンピック協議遺体海を契機として、パラスポーツをはじめ、  障がいのある人との触れ合い等の体験活動を通じて、「心のバリアフリー」を身につけ、  すべての人が助け合い、共に生きていく社会(共生社会)を重点的に推進します。  <方向性>  ・パラスポーツの体験により、障がい者への理解を深めるとともに、パラスポーツを通じて   障がいのある人との交流を図り、心の障壁を取り払うように努めます。  ・市民に幅広くバリアフリーへの意識を高めるための「障がい理解教室(研修)」開催するほか、   関係団体等の活動紹介などを市広報・HP等を通じて行い、市民に対する教育活動・学習機会を   提供していきます。取組の実施に向けては関係機関との密接な連携を図ります。  ・妊産婦への気配りを促す「マタニティマーク」や障がい者に関するマークなど各種取組の紹介や   市広報・HP等を通じて周知することにより、マナーの向上、日常的に困っている人に自然と   手を差しのべる意識啓発に努めます。   遠野市のマスタープランでは、マスタープランの根幹となる「基本方針」において「ともに支え合う  心のバリアフリーの推進」を最初に位置づけて、理解や協力の重要性や取組の方向性を明示しています。  「心のバリアフリー」に関する記載事例 <奈良市>      Bこころのバリアフリーを実現するひとづくり   個人がその心身の特性や考え方にとらわれることなく、人格と個性が尊重される、多様性のある  共生社会を目指し、年齢や障害の有無などに関わらず、だれもが我がこととして支えていく意識の  醸成や教育を推進します。  こころのバリアフリーのポイント  ・心の中にある差別や偏見、理解不足といった心の障壁(バリア)を取り除き、適切な意識と   正しい知識を持つことで、自分が何をすべきかわかります。  ・ひとりひとりが他者を理解し、まごころをもって配慮や行動をすることが重要です。  〇配慮の必要性を示すマークの普及啓発   その人の状況を伝えるさまざまなマークの意味を周囲が正しく理解し、必要な援助を受けたり、   行ったりできるよう普及啓発に取り組みます。   例:マタニティマーク・ヘルプマーク・窓口での対応表示例  〇認知症施策   認知症について正しく理解し、認知症の方やその家族をサポートできるような資質を保持し、   自分のできる範囲で活動することを目的とした「認知症サポーター養成講座」の開催や、   認知症の人やその家族、地域住民、専門職など、誰もが集える場として「認知症カフェ」が   開催されています。   (認知症の人を支援する目的として、ブレスレット(オレンジリング)を    認知症サポーター養成講座受講修了者にお渡ししています。)  〇こころのバリアフリー教育   奈良市内の小中学校等さまざまな教育機関で実施する学習を通して、高齢者や障害者、   外国人等に関する問題について、自信の課題として考える機会を持ち、当事者の立場に   立つことの大切さを理解し、人権と共生のまちづくりに向けて行動する意欲や行動力を   養うとともに、違いを個性として捉えられる豊かな心を培います。  奈良市のマスタープランでも、移動等円滑化の促進に向けて、奈良市が目指す姿とこれを 実現するための3つの指針を掲げており、3つのうち1つとして、「こころのバリアフリーを 実現するひとづくり」を位置づけ、マークの普及啓発やこころのバリアフリー教育、認知症施策などを 関係する取組を記載しています。 16ページ目  「こころのバリアフリー」に関する取組の記載事例 <宇部市>   1 心のバリアフリーの取り組み    高齢者、障害者、外国人等が安心して日常生活や社会生活を行うためには、   施設設備(ハード面)だけではなく、市民一人ひとりが心のバリアを取り除き、   お互いに理解を深め支えあう「心のバリアフリー」が重要です。    そのためには、地域での取り組みや学校等における福祉教育を充実する必要があり、   市民、事業者、行政がそれぞれの立場で協力して取り組むことが大切です。   @市民による心のバリアフリー    多機能トイレの利用マナーや自動車・自転車の運転マナー、障害者用駐車施設の   利用等についても思いやりのある行動が必要です。    市民一人ひとりが高齢者や障害者、外国人等の立場に立った心のバリアフリーに   向けて、意識を醸成していくため、「自分ができること」を考え、行動できるような   取り組みを推進します。   【取り組み内容】    〇障害者理解講座やふれあい活動への参加、手話・点字等の養成講座に参加するなど、     自分にできる支援を行います。    〇駅やバス停、ショッピングセンターなどで、支援を必要としている人がいたら、     「何かお手伝いすることはありますか」と声をかけます。   A事業者による心のバリアフリー    公共交通施設での高齢者、障害者、外国人等への配慮ある対応や介助の充実、また、   店舗や職場などの事業者による高齢者、障害者、外国人等への配慮など、社員・職員教育を   はじめ、利用者の立場に立った心のバリアフリーに向けた意識を醸成するための取り組みを   推進します。   【取り組み内容】    〇障害や認知症についての知識や接遇の配慮を学ぶことにより、職場における接遇や     周囲への啓発に活かします。    〇点字や多言語メニューの作成、筆談、手話でのコミュニケーションなど障害者、     外国人等が利用しやすいサービスの提供に努めます。   B行政による心のバリアフリー    市民一人ひとりがバリアフリーへの理解を深め、お互いが相手を理解し、尊重することが   できる「心のバリアフリー」を推進するため、市広報紙や市ホームページ等を通じて、   高齢者や障害者に対する知識や理解を促すなど、広報・啓発活動を行います。また、   移動等円滑化のための事業に対する支援措置の充実を図ります。    児童、生徒等にバリアフリーの必要性やバリアフリーの心を育てる教育の推進を行うなど、   広く市民に心のバリアフリーの意識を醸成するための取り組みを推進します。   【取り組み内容】    〇市の広報紙やホームページをはじめ、テレビや新聞など各種メディアを活用して配慮の     取り組みを紹介するなど、共生社会のまちづくりに向け広報活動を展開します。    〇点字メニューの作成や手話通訳の設置費用など、コミュニケーション支援に要する     費用を助成します。    〇保育所、幼稚園、小・中学校、高等学校、および高等教育機関での講演やふれあい活動を     実施し、若い世代に対する障害者理解を推進します。    〇「情報バリアフリー化の手引き」に基づき、高齢者、障害者への情報保障に取り組むと     ともに、窓口業務、会議、イベント等においても、障害の特性に応じた適切な     コミュニケーション支援を実施します。    〇「登録バリアフリー施設」「コミュニケーションボード」「ヘルプカード」「ヘルプマーク」等の     活用を奨励します。    〇市の広報など行政情報の多言語化に取り組むとともに、外国人向けの相談窓口を設置します。    〇公共交通事業者を対象としたバリアフリー研修を実施します。   宇部市が令和元年度に作成したマスタープランでは、「心のバリアフリー」の取組について、  @市民A事業者B行政のそれぞれが取り組みを行うべきスタンスや、具体的な取組内容を主体ごとに  明確にかき分けて示しています。  啓発・教育活動の事例 <明石市>  1.4 心のバリアフリーの推進   多様な市民が交流するイベントとうの開催   障害当事者等も含めた多様な市民が共に参加し、楽しむことができるイベント等の交流の機会を設け、  様々な障害への理解を深めるとともに、市民の交流やまちの賑わいを創出します。  例:アートシップ明石(障害当事者の作品展示)、ユニバーサルフットサル、ストリートピアノ   後援会やフォーラム等の開催   市民がユニバーサルデザインや障害特性について学び、これからのまちづくりについて自主的に考え、  行動するための気づきの場を提供するため、後援会やフォーラム等を開催します。  例:あかしユニバーサル交流会(フォーラム・パネルディスカッション)   多様な人々の特徴や接し方の理解促進   本市ではこれまで、市職員、民間事業者、高校生等を対象に、障害者や高齢者など、多様な人々の  特徴を理解し、接し方や配慮を身につけるため、「ユニバーサルマナー検定」の受講機会を提供して  きました。より多くの方々に理解が広がるよう、対象者を検討しながら、今後も受講機会を提供して  いきます。   また、民間事業者の「ユニバーサルマナー検定」の受講機会を増やし、利用者がまちを楽しむことが  できる接遇スキルの向上を図ります。  例:特別授業I'm POSSIBLEプログラム(車椅子スポーツ体験)、手話体験教室   先導的共生社会ホストタウンに認定されていたり、国連のSDGs(持続可能な開発目標)の理念に基づき  「SDGs未来安心都市・明石」を掲げて様々な取組を先進的に進めている明石市では、令和元年度に作成した  マスタープランの中に、市民の理解を深めるための啓発活動として、交流イベントの開催、講演会や  フォーラム等の開催を行ったり、実際の行動につなげるための気づきの機会を創出するために、  バリアフリー教室の開催やユニバーサルマナー検定の受講機会の創出、市職員による出前講座など、  多種多様な取組が記載されています。      「心のバリアフリー」の施策のその他の具体的な事例については、 「移動等円滑化促進方針・バリアフリー基本構想作成に関するガイドライン」 68〜70ページをご参照ください。 URL:http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/sosei_barrierfree_tk_000012.html 17ページ目 V バリアフリー基本構想の作成 18ページ目 V−1 基本構想に係る改正事項 基本構想にかかる記載事項は、バリアフリー法第25条等に記載されています。 1.重点整備地区における移動等円滑化に関する基本的な方針 2.重点整備地区の位置及び区域 3.生活関連施設及び生活関連経路並びにこれらにおける移動等円滑化に関する事項 4.市町村が行う移動等円滑化に関する情報の収集、整理及び提供に関する事項 5.実施すべき特定事業その他の事業に関する事項 6.@5.と併せて実施する市街地開発事業において移動等円滑化のために考慮すべき事項   A自転車等の駐車施設の整備等移動等円滑化に資する市街地の整備   Bその他重点整備地区における移動等円滑化のために必要な事項 7.基本構想の評価に関する事項 ※項目1、4、7については、任意記載事項  このうち、「5.特定事業」の類型には、「公共交通特定事業」、「道路特定事業」、 「路外駐車場特定事業」、「都市公園特定事業」、「建築物特定事業」及び「交通安全 特定事業」という、いずれも主として施設等のハード整備を中心とした事業が法律上位置 づけられていますが、令和2年5月のバリアフリー法改正により、新たにソフト対策を 中心とした「教育啓発特定事業」が創設されました。  これにより、基本構想を作成する際、ハード整備中心の事業計画に加えて、ソフト面で カバーすることが必要な住民等の理解の増進や協力の確保に関する具体的な事業を一体的 に位置づけることができ、地域におけるハード・ソフト一体的なバリアフリー化の促進が 可能となります。 教育啓発特定事業とは・・・市町村又は施設設置管理者が実施する次に掲げる事業を言う。  イ 移動等円滑化の促進に関する児童、生徒又は学生の理解を深めるために学校と    連携して行う教育活動の実施に関する事業  ロ 移動等円滑化の促進に関する住民その他の関係者の理解の増進又は移動等円滑化の    実施に関するこれらの者の協力の確保のために必要な啓発活動の実施に関する事業    (イに掲げる事業を除く。)     基本構想に明示すべき事項の詳細な説明、「教育啓発特定事業」以外の特定事業の内容に ついては、「移動等円滑化促進方針・バリアフリー基本構想作成に関するガイドライン」 81〜84ページ、96ページをご参照ください。 URL:http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/sosei_barrierfree_tk_000012.html 19ページ目 V−2 基本構想における「心のバリアフリー」  高齢者、障害者等が安心して日常生活や社会生活が送ることができるようにするためには、 施設整備(ハード面)だけでなく、高齢者、障害者等の特性を理解し支え合うという「心の バリアフリー」が重要です。  基本構想では、移動等円滑化に関する「心のバリアフリー」の必要性のみならず、実施主体、 取組内容、実施時期を明記した具体的な特定事業を位置づけて、ハード・ソフト一体的な バリアフリー化を促進することが重要です。 1.「心のバリアフリー」とは   施設のバリアフリー化に代表されるハードの整備が進んでも、高齢者や障害者等に対して、  国民ひとりひとりが高齢者、障害者等の特性を理解し、接することができなければ、  真の意味でのバリアフリー化は図れません。   「心のバリアフリー」とは、ユニバーサルデザイン2020行動計画(平成29年2月ユニバーサル  デザイン2020関係閣僚会議決定)に記載されているとおり、様々な心身の特性や考え方を  持つすべての人々が相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支えあうことを  意味しており、当該行動計画においては、次の3点が「心のバリアフリー」を体現するための  ポイントとして示されています。  @障害のある人への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」を   理解すること。  A障害のある人(及びその家族)への差別(不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供)を   行わないよう徹底すること。  B自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションを取る力を養い、すべての人が抱える   困難や痛みを想像し共感する力を培うこと。 2.障害の社会モデル   障害者が日常・社会生活で受ける制限は、社会における様々な障壁と相対することによって  生ずるものという考え方を「障害の社会モデル」と言います。   この障害の社会モデルの考え方は、2006年に国連総会で採択された「障害者の権利に関する条約」に  おいて提示され、日本では、条約の締結にあたり2011年に改正された「障害者基本法」で明確化され、  2013年に制定された「障害者差別解消法」で具体化されているほか、UD2020行動計画でも、その考え方が  明確に記されています。   障害者にとって社会にある障壁は、事物、制度、慣行、観念等の様々なものがあり、日常生活や  社会生活において相当な制限を受ける状態をつくっており、社会の責務として、この障壁を取り除いていく  必要があります。   このような考え方に従い、高齢者、障害者等の利用者の立場に立って、社会的障壁を取り除いていく  ために何が必要か考えて必要な施策を検討することが重要です。 20ページ目  3.「心のバリアフリー」の取組の推進に当たっての関係者の基本的な役割   移動等円滑化に関する「心のバリアフリー」の取組を推進する際には、国、地方公共団体、  施設設置管理者、住民のそれぞれが、どのような役割を期待されているのか、担っていくべき  なのかを理解することが重要です。   関係者の基本的な役割については、基本方針の五の2において次のように記載されています。  《基本方針より》   移動等円滑化に関する「心のバリアフリー」の取組の推進に当たっての関係者の基本的な役割  1 国の役割       「心のバリアフリー」を推進するためには、障害の有無にかかわらず参加者全員がバリアフリーを  考える参加型イベントが効果的であることを踏まえ、国は広報活動、啓発活動、教育活動等を通じて、  移動等円滑化の促進に関する関係者の連携及び国民の理解を深めるとともに、高齢者、障害者等の  移動等円滑化のために必要となる支援その他の移動等円滑化の実施に関する国民の協力を求めるよう  努める。なお、法にいう「高齢者、障害者等」には、高齢者、全ての障害者(身体障害者のみならず  知的障害者、精神障害者及び発達障害者を含む。)及び妊産婦等、日常生活又は社会生活において  身体の機能上の制限を受ける者は全て含まれることについても、改めて周知を行う。  2 地方公共団体の役割   地方公共団体においては、国の取組に準じ、広報活動、啓発活動、教育活動等を通じて住民の  「心のバリアフリー」の推進に努める。   とりわけ、市町村においては、基本構想に教育啓発特定事業を位置付けることを通じ、関係者を  巻き込みながら「心のバリアフリー」の取組を計画的に進めていくことが望ましい。  3 施設の設置管理者その他高齢者、障害者等が日常生活及び社会生活において利用する施設を   設置又は管理する者の役割   施設設置管理者その他高齢者、障害者等が日常生活及び社会生活において利用する施設を設置  又は管理する者は、継続的な教育訓練を通じ、職員等に対し、高齢者、障害者等と適切な  コミュニケーションを取りながら積極的に声かけや支援を行うよう促す。さらに、職員等関係者  のみならず、施設の一般の利用者が、困っている高齢者、障害者等を手助けすることや、車両の  優先席、車椅子使用者用駐車施設等の利用について配慮することが、高齢者、障害者等の  移動等円滑化に重要であることに鑑み、一般の利用者の「心のバリアフリー」を推進するための  広報活動及び啓発活動等を行うよう努めることが望ましい。  4 国民の役割   国民は、高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性並びに  そのために高齢者、障害者等の円滑な移動及び施設の利用を実現することの必要性について  理解を深めるよう努めなければならない。   その際、外見 21ページ目  国民の役割の続き  上分かりづらい聴覚障害、内部障害、精神障害、発達障害など、障害には多様な特性があることに  留意する必要がある。   また、視覚障害者誘導用ブロック上への駐輪、車椅子使用者用駐車施設への駐車等により高齢者、  障害者等の施設の利用等を妨げないことのみならず、鉄道駅の利用に当たり、必要に応じ高齢者、  障害者等を手助けすること等、高齢者、障害者等の移動等円滑化のために必要となる支援その他の  これらの者の円滑な移動及び施設の利用を確保することに積極的に協力することが求められる。   加えて、「心のバリアフリー」の実践に資するため、積極的に国、地方公共団体等が行う  啓発活動等に参加することが望ましい。   なお、令和2年5月のバリアフリー法改正により、国、地方公共団体、施設設置管理者及び  国民のそれぞれの責務として、車両の優先席、車椅子使用者用駐車施設等の移動等円滑化が  図られた施設について、高齢者、障害者等の円滑な利用を確保するために必要となる適正な  配慮についての広報活動及び啓発活動を行ったり、適正な配慮を行ったりすることが求められる  こととなります(令和3年4月施行)。   基本構想において移動等円滑化に関する「心のバリアフリー」に関する具体的な事業を  位置づける際には、関係者の基本的な役割や求められる責務を理解した上で、関係者間で  十分協議を行い、望ましい事業の在り方を検討することが重要です。 4.基本構想に「教育啓発特定事業」を位置づける際の留意事項  1 特定事業の関係者に対して十分な協議が必要   基本構想に特定事業を位置づける場合、市町村は、関係する施設設置管理者、都道府県公安委員会等と  十分に事前に協議することが必要です。   教育啓発特定事業のうち、「移動等円滑化の促進に関する児童、生徒又は学生の理解を深めるために  学校と連携して行う教育活動の実施に関する事業」を位置づけようとする場合は、学校の教育活動との  調和や教職員への過大な業務負担の防止を図るため、事業主体のみならず、(教育委員会等の)  学校関係者とも十分に事前に協議を行い、関係者の意向等を踏まえることが重要です。  2 特定事業計画の作成・事業計画に基づく事業の実施が必要   基本構想に特定事業を位置づけた場合、事業を実施する者には、特定事業計画の作成とこれに基づく  事業実施の義務が課せられます。   教育啓発特定事業についても、基本構想に位置づけられた場合、事業を実施する市町村又は  施設設置管理者は、あらかじめ、関係する市町村及び施設設置管理者(学校と連携する事業について  定める場合には、関係する市町村、施設設置管理者および学校)に意見を聴いた上で  教育啓発特定事業計画を作成し、作成した計画を関係者に送付する必要があります。   事業を実施する者は、定められた教育啓発特定事業計画に基づき事業を実施する必要がありますが、  特に学校と連携する場合には、計画作成段階で学校の意見を十分に聞くことが円滑かつ確実な事業の  実施につながります。 22ページ目  3 教育啓発特定事業の実施範囲   原則として、特定事業は重点整備地区内で実施するものを基本構想に位置づけることができますが、  教育啓発特定事業については、重点整備地区の移動等円滑化に資する取組であれば、重点整備地区外で  行うものや、生活関連施設の職員や通勤者等重点整備地区の住民以外の者を対象としたものを記載する  ことが可能です。  4 市町村が取り組んでいる地域福祉関係事業との連携   基本構想の内容は、市町村が定めている移動等円滑化に関する条例、計画、構想等との調和が  保たれていることが必要ですが、教育啓発特定事業についても、市町村が有している上記の計画等に  基づく事業と連携して実施することが重要です。   なお、教育啓発特定事業の実施に際しては、市町村が開催する障害者の理解を深めるための教室や  講演会等に対して厚生労働省が実施している支援スキーム※を活用することが可能です。  ※障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)   第77条第1項第1号の規定に基づき市町村が実施する地域生活支援事業(理解促進研修・啓発事業)  5 教育啓発特定事業に関する記載事項   特定時事業の内容の詳細は、基本構想作成後に各事業実施者が作成する特定事業計画に委ねられて  いますが、基本構想に特定事業を定めた場合、各事業実施者には事業実施の義務が課されることを  勘案すると、事業実施に当たって疑問が生じないよう、次の事項についてできる限り具体的かつ  明確に記載することが重要です。   1 実施する特定事業の種類の記載     実施する事業について、「教育啓発特定事業」として実施する旨を記載します。    「心のバリアフリー」などのソフト対策に係る事業については、これまで特定事業としてではなく、    その他の関係する事業として基本構想に位置づけられるものも存在しますが、新たに特定事業として    実施する場合や、見直しにより特定事業として位置づける場合には、当該事業が「教育啓発特定事業」    として実施されることを明記しましょう。   2 特定事業の実施者を記載     教育啓発特定事業を実施する主体(市町村又は施設設置管理者)や関係者を記載します。    なお、施設設置管理者には、公共交通事業者等だけではなく、道路管理者、路外駐車場管理者等、    公園管理者等及び建築主等が含まれることから、例えば、重点整備地区内に事務所や施設を有する    企業等が実施する取組を教育啓発特定事業として記載することも可能です。   3 特定事業の内容・対象地区(場所等)を記載     教育啓発特定事業として実施する具体的な事業内容を記載します。    教育啓発特定事業を実施する地区や場所等については、具体的には特定事業計画に記載されますが、    主として重点整備地区内で実施するのか、重点整備地区内外に渡って実施するのか、実施する    教育啓発特定事業に求められる効果を勘案してあらかじめ明確にしておくとよいでしょう。 23ページ目   4 特定事業の実施予定期間を記載     事業の着手予定時期、完了予定期間を記載します。基本構想に記載する事業の実施予定期間    としては、基本構想の目標年次の期間中、どの時期に実施するのか、必要に応じて継続して    実施していくものなのかを記載しましょう。    5 その他特定事業の実施に際し配慮すべき重要事項    教育啓発特定事業を実施する際に配慮が必要な重要事項を記載します。特に、事業実施に当たって、    関係者があらかじめ理解しておくべき共通事項を記載しておくことが重要です。   6 教育啓発特定事業の内容     教育啓発特定事業の内容は、バリアフリー法において、以下のように定められていますが、    具体的に想定される事業は様々です。また、事業の効果を高める観点から、内容に応じ、企画及び    実施段階において、高齢者、障害者等の当事者参画を得ながら進めていくことが望ましいです。    @移動等円滑化の促進に関する児童、生徒又は学生の理解を深めるために学校と連携して行う     教育活動の実施に関する事業    <想定される内容>    ・学校の場を活用した市町村等によるバリアフリー教室(障害当事者によるセミナーや     車椅子サポート体験、高齢者疑似体験等)の開催    ・旅客施設等におけるバリアフリー教室の開催 等    <留意事項>     教育啓発特定事業のうち@の事業を基本構想に記載するにあたっては、学校の教育活動との調和や、     教職員への過大な業務負担の防止を図るため、事業主体のみならず、連携対象である学校と十分に     事前に協議することが重要です。     また、事業の実施計画である教育啓発特定事業計画を事業主体が定めようとする場合も、関係する     市町村及び施設設置管理者に加え学校の意見を聴かなければならないことが、法第36条の2第3項に     おいて規定されています。    A移動等円滑化の促進に関する住民その他の関係者の理解の増進又は移動等円滑化の実施に関する     これらの者の協力の確保のために必要な啓発活動の実施に関する事業(@に掲げる事業を除く。)    <想定される内容>    ・障害当事者を講師とした住民向けバリアフリー講演会やセミナーの開催    ・公共交通事業者等の従業員を対象とした接遇研修の実施    ・優先席や車椅子使用者用駐車施設の適正利用に関するポスターの掲示 等 24ページ目  車椅子使用者用駐車施設の適正な利用の推進事例 <川口市>   車椅子使用者用駐車施設の適正な利用の促進<川口市おもいやり駐車場制度>   駐車場等に設けられている車椅子使用者用駐車施設の不適正な利用により、真に必要とする人が  駐車できない場合があります。   本市では、平成22年1月から「川口市おもいやり駐車場制度」として、対象となる方へ利用証を  発行することにより、車椅子使用者用駐車施設の適正な利用を促進する取組を行っています。   また、平成27年1月からは、「パーキングパーミット制度」を導入する自治体間での相互利用が  可能となっています。   なお、今後も同制度の普及による意識の向上と協力施設の維持拡大に努めます。  例:駐車場案内看板(令和2年6月現在使用されているデザインのもの)、利用証   川口市の基本構想では、平成22年1月から始まっている「川口市おもいやり駐車場制度」による  車椅子使用者用駐車施設の適正な利用を促進する取組を行っており、同制度の普及による意識の  向上と協力施設の維持拡大に取り組むこととしています。    バリアフリー教室の開催事例 <香芝市>  バリアフリー教室(香芝市立関屋小学校)アンケート集計結果   日時:令和元年11月8日(金)9時35分〜11時半   場所:香芝市関屋小学校 体育館等   対象者:小学3年生 70名(2クラス)   アンケート回答数:    問1 今日の授業でお話しした内容はわかりやすかったですか?      わかりやすかった 50名      ふつう 14名      むずかしかった 5名      無回答 0名            むずかしかったと答えた理由(むずかしかったところ)     ・車椅子の人や目の不自由な人はとてもたいへんだな、と思った。     ・目が見えない体験が、こわかったから。   問2 今日の授業を受けてみて感じたことはどんなことかな?(複数回答可)      障害のある人の気持ちになって考えたい。 44名      困っている人を見かけた時には「お手伝いしましょうか?」と声をかけたい。 54名      今日学んだお手伝いの方法やバスのバリアフリーの工夫等を家族やお友達に伝えたい。 52名            その他(自由記入)     ・もし自分が体が不自由だったら、助けてくれたらうれしいと思う。     ・障害のある人は大変だなと思いました。   問3 今日のバリアフリー体験授業全体の感想(自由記入)※一部抜粋     ・「おてつだいしましょうか」という言葉を大切にして、高齢者の人たちに声をかけたいです。     ・目が見えなくても大丈夫です。私たちがいたら助けてあげるから心配しないでね。   香芝市の基本構想には、平成30年度と令和元年度に開催したバリアフリー教室が記載されており、  小学生の参加者にアンケートを実施し、障害に対する理解や気づきが深まったとしています。 25ページ目 V−3 教育啓発特定事業にかかる特定事業計画の作成  基本構想に示した特定事業については、特定事業計画を作成し、これに基づいて事業を実施することが バリアフリー法において義務づけられています。このため、各特定事業の実施者は、基本構想作成後、 速やかに特定事業計画を作成する必要があります。  教育啓発特定事業計画の作成にあたっては、事業実施主体である市町村又は施設設置管理者とその他の 関係者が相互に調整を図る必要があることから、円滑な調整を図ることができる体制づくりが必要です。 1.特定事業計画の作成時期  特定事業計画の作成時期については、早期の事業実施に向けて、基本構想作成後可能な限り速やか (おおむね一年以内)に作成することが望ましいと考えられます。 2.特定事業計画の作成手順と必要な調整  基本構想作成と同様、特定事業計画の作成にあたっても、市町村、関係事業者及び利用者間の協議・ 調整や合意形成を円滑に行う必要があります。このため、市町村のリーダーシップのもと、基本構想 作成時の協議会を活用することも有効です。  特定事業計画作成主体(市町村又は施設設置管理者) 特定事業計画(素案)作成  作成主体以外の関係者(市町村・施設設置管理者・学校) 必要に応じて協議会を活用した  協議・調整・合意形成  特定事業計画作成主体(市町村又は施設設置管理者) 関係者への意見の聴取   作成主体以外の関係者(市町村・施設設置管理者・学校) 特定事業計画(素案)に対する意見   特定事業計画作成主体(市町村又は施設設置管理者) 特定事業計画(案)へ関係者意見の反映   特定事業計画作成主体(市町村又は施設設置管理者) 特定事業計画の作成   特定事業計画作成主体(市町村又は施設設置管理者) 関係者へ特定事業計画の送付   作成主体以外の関係者(市町村・施設設置管理者・学校) 受領   特定事業計画作成主体(市町村又は施設設置管理者) 特定事業計画に基づく事業の実施   作成主体以外の関係者(市町村・施設設置管理者・学校) 協力 26ページ目 3.教育啓発特定事業計画の記載例  特定事業計画の様式に特に決まりはありませんが、関係者が特定事業計画に基づき円滑に事業を 実施することができるよう、V-2の5.の記載事項を明確に示すことが重要です。  以下に、教育啓発特定事業計画の作成例を示します。なお、具体的な事業の内容ごとに、実施者や 実施場所が異なる場合には、それぞれ特定事業計画を作成することも可能です。  教育啓発特定事業計画例  作成年月日 令和〇年〇月〇日(令和〇年〇月〇日第1回変更)  基本構想名 〇〇市〇〇地区移動津円滑化基本構想  事業名称  〇〇市〇〇地区教育啓発特定事業  事業実施者 〇〇市〇〇局〇〇課  主な関係者 〇〇地区内の小学校、〇〇鉄道事業者、〇〇バス等  特定事業内容 トイレ利用マナーキャンペーン 実施場所 公共施設・旅客施設 事業費〇〇〇千円  事業予定期間 着手 令和2年度 完了 令和7年度  特定事業内容 パーキングパーミット制度 実施場所 市内の公共施設・民間協力施設の駐車場         事業費〇〇〇千円  事業予定期間 着手 令和3年度 完了 令和7年度  特定事業内容 バリアフリー教室(高齢者、障害者等の疑似体験・サポート体験)  実施場所 市内の小学校や〇〇市民センター  事業費 〇〇〇千円 事業予定期間 着手 令和3年1月以降順次  特定事業内容 「心のバリアフリー」シンポジウム 実施場所 〇〇公民館 事業費〇〇千円  事業予定期間 着手 令和3年度 完了 令和7年度  特定事業内容 児童・生徒を対象としたまち歩きを通じたバリアフリーマップ  実施場所 〇〇重点整備地区内  事業費 〇〇千円 事業予定期間 着手 令和2年度 完了 令和3年度   特定事業内容 公共交通事業者向け接遇研修 実施場所 〇〇市民センター 事業費〇〇千円  事業予定期間 着手 令和3年度 完了 令和7年度  資金調達の方法  事業実施に際して配慮すべき重要事項  ・バリアフリー教室の実施に際しては、毎年度あらかじめ〇〇市教育委員会に事前に相談した上で、   対象となる小学校を特定する。具体的なバリアフリー教室を計画する際には、当該小学校の教職員に   過度な負担が生じないよう、実施主体側で十分な人員を確保したり、準備段階で必要な配慮を行う。  ・バリアフリーマップ作成体験においては、障害当事者等の講話やともにまち歩きを実施する   こと等により、障害の社会モデルの理解が促進されるよう取組を進める。  事業実施箇所図、写真等 27ページ目 W マスタープラン・バリアフリー基本構想作成にかかる支援 28ページ目 W−1 地域公共交通確保維持改善事業(地域公共交通バリアフリー化調査事業)  1. マスタープラン作成経費の支援(移動等円滑化促進方針策定事業)  「地域公共交通バリアフリー化調査事業(移動等円滑化促進方針策定事業)」とは、バリアフリー法 第24条の2第1項に規定する移動等円滑化促進方針を策定するために必要な調査の経費に対して 支援するものです。  令和2年度予算より、移動等円滑化基本構想策定事業が創設されたことに伴い、名称が変更されています。  1 補助対象者   補助対象事業者は、バリアフリー法第24条の4第1項に規定する協議会の構成員である市町村とする。  2 補助対象経費   地域におけるバリアフリー化の促進を図るための移動等円滑化促進方針の策定に必要な経費とする。   ・協議会開催等の事務費 ・地域のデータの収集及び分析の費用   ・専門家の招聘費用 ・住民や利用者アンケートの実施費用 ・短期間の実証調査のための費用 等  3 補助率   2分の1 (上限額500万円)  4 交付要綱・実施要領   下記のURLにて掲載しています。   http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_tk_000041.html 29ページ目  2. バリアフリー基本構想作成経費の支援(移動等円滑化基本構想策定事業)   「地域公共交通バリアフリー化調査事業(移動等円滑化基本構想策定事業)」とは、  バリアフリー法第25条第1項に規定する移動等円滑化基本構想を策定するために必要な調査の  経費に対して支援するものです。   令和2年5月のバリアフリー法改正により、新たに創設された教育啓発特定事業を含み、  ハード・ソフト一体となった基本構想を作成する場合に、令和2年度予算より、  作成経費を支援することとしています。  1 補助対象者   補助対象事業者は、バリアフリー法第26条第1項に規定する協議会の構成員である市町村とする。  2 補助対象経費   地域におけるハード・ソフト一体的なバリアフリー化の促進を図るための移動等円滑化基本構想   (「公共交通特定事業」及び「教育啓発特定事業」が位置づけられる予定のものに限る。)の策定に   必要な経費とする。   ・協議会開催等の事務費 ・地域のデータの収集及び分析の費用   ・専門家の招聘費用 ・住民や利用者アンケートの実施費用 ・短期間の実証調査のための費用 等  3 補助率   2分の1 (上限額500万円)  4 交付要綱・実施要領   下記のURLにて掲載しています。   http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_tk_000041.html 30ページ目 W−2 移動等円滑化に係る「心のバリアフリー」に関する取組に活用可能なハンドブック等  1.「心のバリアフリー」に関する取組に活用可能なハンドブック等   「心のバリアフリー」に関し、国土交通省では下記のようなハンドブックやガイドラインを  発行しています。   移動等円滑化促進方針において「移動等円滑化に関する住民の理解の増進及び協力の確保」に  関する事項を記載する際、基本構想において「教育啓発特定事業」を位置付ける際又は実際に取組を  行う際には、これらのハンドブック等をぜひご活用ください。  ・障害ってどこにあるの?こころと社会のバリアフリーハンドブック   http://www.mlit.go.jp/common/001250069.pdf  (教師用解説書)   http://www.mlit.go.jp/common/001250068.pdf  ・発達障害、知的障害、精神障害のある方とのコミュニケーションハンドブック   http://www.mlit.go.jp/common/001130223.pdf  ・公共交通事業者に向けた接遇ガイドライン   http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/sosei_barrierfree_tk_000143.html  ・交通事業者向け接遇研修モデルプログラム   http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/sosei_barrierfree_tk_000176.html  ・観光関係者向け「高齢の方・障害のある方などをお迎えするための接遇マニュアル」(ホテル/旅館等)   http://www.mlit.go.jp/kankocho/news06_000352.html   31ページ目  2.「心のバリアフリー」の推進に関するキャンペーン等   国土交通省のホームページ上には、各種キャンペーンに関するポスター等を掲載しています。   (国土交通省総合政策局安心生活政策課ホームページ)   http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/sosei_barrierfree_tk_000011.html   ベビーカーマーク普及啓発キャンペーンについて   キャンペーン概要    公共交通機関等でベビーカーを利用しやすい環境作りに向け、ベビーカー使用者及び周囲の方の   お互いの理解を深めるため、ベビーカー協議会とりまとめ(平成26年3月26日公表)に基づき、   普及・啓発活動の一環として、関係事業者と連携しつつ、平成26年度から「ベビーカーマーク   普及啓発キャンペーン」を実施。   ベビーカー協議会(平成25年6月設置)    公共交通機関等におけるベビーカー使用者の利便性・安全性を向上させる観点から   「公共交通機関等におけるベビーカー利用に関する協議会」(略称:ベビーカー協議会)を設置。   さらに子ども連れの方々の移動の利便性・安全性を向上させるために、ベビーカー協議会を   発展的解消し、「子育てにやさしい移動に関する協議会(略称:こそモビ協議会)」を   平成30年11月に設置した。   ベビーカー協議会とりまとめ(平成26年3月26日公表)(抜粋)   W.今後の普及・啓発   1.関係者の役割    本協議会で作成した「ベビーカー利用に当たってのお願い」を実効性のあるものとするためには、   ベビーカー使用者や周囲の方に対して、この「ベビーカーの安全な使用」及び「ベビーカー利用への   理解・配慮」の内容を十分に周知し、浸透させていくことが極めて重要である。    このため、本協議会の構成員である国や交通事業者・施設管理者、ベビーカーメーカーは、広く国民や   それぞれが提供するサービスを利用する者に対し、広報・周知活動を行う。    さらに、子育て団体等その他の協議会構成員についても、広く普及啓発活動等行うよう努める。    「ベビーカーマーク」     ベビーカー使用者が安心して利用できる場所や設備(選れバーター、鉄道や車両スペース等)を    表しています。ベビーカーマークは平成27年5月にJIS化されました。   令和元年度実績   〇実施期間 令和元年5月1日(水)〜5月31日(金)   〇ポスター・チラシ配布枚数    駅、車両等 ポスター 約51880枚 チラシ配布 約41500枚    建築物 ポスター 約680枚 チラシ配布 約3100枚    その他、アナウンスを実施するなど滋養者独自の取り組みを実施。   〇協力団体、機関等    鉄道:45事業者、バス:206事業者・団体をはじめ、旅客船、旅客船ターミナル、空港ターミナル、    商業施設等において実施。   〇SNSを活用したマナー啓発    国土交通省公式ツイッター ヤフーバナー広告(政府広報)    地方運輸局等が実施するバリアフリー教室におけるベビーカー利用及びベビーカーマークの普及・    啓発 等   トイレ利用マナー啓発キャンペーンについて   キャンペーン概要    東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として、ハード整備と合わせた   「心のバリアフリー」を推進。   その取組のひとつとして、平成29年度から「トイレの利用マナー啓発キャンペーン」を実施。   <参考>   【ユニバーサルデザイン2020行動計画】(平成29年2月関係閣僚会議決定)抜粋   「多機能トイレをはじめとするトイレの利用に係るマナー改善に向けて、公共交通事業者や   障がい者団体等と連携しながら、利用マナーの啓発を行うポスターやチラシを作成し配布する   などのキャンペーンを実施するとともに、高齢者、障害者等の移動等円滑化に対する国民の   理解増進を図る取組である「バリアフリー教室」においてトイレ利用のマナー改善に取り組む等、   「心のバリアフリー」を意識しつつ、多様な利用者がそれぞれのニーズに応じたトイレを円滑に   利用できるようトイレ環境の整備を図る。」   ポスター トイレの利用に心のバリアフリーを!   チラシ 2カ国語表記   令和元年度実績   〇実施期間 令和元年11月10日(日)〜12月9日(月)   ・11月10日(日)いいトイレの日   ・11月19日(火)世界トイレの日   ・12月3日(火)〜12月9日(月)障害者週間   〇ポスター・チラシ配布枚数   ・ポスター 約6500枚   ・チラシ 約86000枚   〇協力団体、機関等(令和元年度は約1700団体)    公共交通事業者、空港ターミナルビル会社、道の駅、高速道路会社、地方公共団体、    ショッピングセンター、行政機関。また、ホテル、百貨店、ビルは紙媒体の配布は行っていないが、    電子データ提供により適宜活用   〇SNSを活用したマナー啓発   ・国土交通省公式ツイッター   〇トイレの利用マナー啓発講座の開催   ・運輸局主催のバリアフリー教室の1コマ 32ページ目  移動等円滑化促進方針・バリアフリー基本構想作成に関するガイドライン(令和2年5月法改正 追補版)   令和2年6月 国土交通省総合政策局安心生活政策課