資料7 移動等円滑化に関する好事例・先進事例の共有 全二十三ページ 1ページ目 資料7 移動等円滑化に関する好事例・先進事例の共有 令和四年三月二十五日開催 第7回移動等円滑化評価会議資料 2ページ目 北海道分科会 話せる券売機体験会 北海道旅客鉄道株式会社 全国のJRで導入が進められているアシストマルスについて、北海道では 話せる券売機として、現在は札幌近郊の駅に設置されている。 聴覚、視覚障害を有する利用客は、切符を購入する際に窓口利用が多く、 話せる券売機の利用が少ないため、オペレーターも障害を有する利用客への 対応の経験が少ないのが現状。 今般、話せる券売機の周知及びオペレーターの対応の向上、また、付随する 筆談プレートの実用性の検証を目的として、実際に障害を有する利用客に 話せる券売機を操作していただく体験会を開催。 日時 令和三年十月十九日 火曜日 午後二時から 場所 札幌駅東口 話せる券売機 主催 北海道旅客鉄道株式会社 協力 北星学園大学 鈴木教授、聴覚障害1名、視覚障害1名 北海道運輸局交通政策部バリアフリー推進課 体験者の感想 話せる券売機があるということ自体知らなかったので、今回の体験会で 知ることができてとても良かったです。 また、支払いをする際に受話器からハンズフリーに切り替えてくれたのは とても良い対応だと感じました。 今日感じたことを同じ障害を持っている方にも伝えたいと思います。 話せる券売機については知っていましたが、利用したことがなかったので、 今回を通して利用方法が学べてよかったです。 話せる券売機のイメージ カメラモニター 耳の不自由なお客様はモニターを使用してご案内します。 オペレーター呼出ボタン タッチパネル画面のボタンから呼出 テンキー 目の不自由なお客様はテンキーでオペレーターを呼出しすると、 受話器なしで通話できます。 筆談プレートの写真 ○ OK × NG  体験会の様子の写真 実際に話せる券売機を使用 3ページ目 東北分科会 仙台市営地下鉄南北線新型車両のバリアフリー設備説明会の実施 仙台市交通局では、令和6年度から運用開始を予定している、地下鉄南北線新型車両の バリアフリー設備説明会を、令和三年十一月二十九日に開催しました。 障害当事者団体が出席し、新型車両のバリアフリー設備の説明を受けるとともに、 新型車両の段差や手すりを模擬的に再現したものを実際に体験して意見交換を行いました。 新型車両のバリアフリー設備の概要 車椅子ベビーカースペース 現行車両では1編成4両あたり、2ないし3個所の車いすスペースとなっていたが、 新型車両では各車両に1個所設置。 低身長者、ベビーカー使用者等の利用を考慮し、2段横手すりを設置。 上記2段横手すりの下段は、ベビーカー使用者や車いす補助者等の 一時的な腰置きに使用出来るようにクッションを設置。 優先席 3人掛けのシートを全て優先席としたことにより、現行車両より優先席数が増加。 三十二席から三十六席に増加 着席者の左右どちらかに手すりがあることで、立ち座りしやすいよう考慮し、 2席毎に縦手すりを1本設置。(一般席も同様) ホームの段差、隙間の縮小 現行車両ではホームとの最大段差が約6センチメートルあるが、新型車両では 車体の低床化により段差を約3センチメートルに縮小。 地下鉄東西線でも採用されている隙間調整材を使用して、 現状で約7センチメートルの隙間を約3センチメートルまで縮小。 乗降口周りの設備 端部を認識しやすくするため、乗降口部分に黄色床敷物を設置。 扉の位置や動作状況を認識しやすくするため、各乗降口の上部に扉の開閉動作を示す ドア開閉ランプとチャイムを設置。 液晶の車内案内表示装置により、次停車駅の扉開方向や運行等に関する異常時の 情報提供を実施。 当日の主な意見 ホームとの段差が3センチメートルでも車いす利用者の単独乗車は難しい。 車内案内表示は黒背景に白文字の方が見やすい。 車いす用の固定ベルト収納場所には蓋があり、ベルトが外から見えづらく、 隠されているようで使いづらい。 4ページ目 関東分科会 東京都主催によるMP・基本構想の勉強会・相談会等について 東京都では、従来より、市区町村向けに、マスタープラン(MP)・基本構想の 策定経費について、国と協調して補助を行っているところ。 一方、都内のMP・基本構想の策定に伸び悩みが見られることから、各自治体の バリアフリーへの取組や課題等について意見交換、既にMPを作成した自治体の 取組状況の共有などを通じて、策定に向けた取組を促すため勉強会を開催。 国(運輸局・整備局)もこれに参加し、バリアフリープロモーターの先生を 紹介したほか、制度に係る自治体からの相談にも対応した。 1 日時等 第1回目 七月十五日から十六日 オンライン開催 小グループ勉強会、相談会 各回2時間 類似の事業進捗、課題を抱える自治体について、事前アンケートや相談内容に基づき、 グルーピングし、ディスカッションを実施。 日時 七月十五日午後 テーマ 基本構想策定後のPDCA(その1) 主な意見交換 特定事業計画、特定道路 ハード整備の当事者参画、補助金 参加数 1区3市 日時 七月十六日午前 テーマ 基本構想策定後のPDCA(その2) 主な意見交換 生活関連施設 コロナ禍の進め方 促進方針策定後の基本構想改定 参加数 2区1市 日時 七月十六日午後 テーマ 基本構想策定エリア拡大 促進方針の策定 主な意見交換 庁内調整、協議会の立ち上げ 住民、障害当事者の意見聴取、まちあるき 地区範囲の設定 基本構想策定の成果の定量的評価  参加数 4区 第2回目 十月十二日 オンライン開催 参加自治体数 九区十市 全体講演 全体会議として多くの参加者と意見交換等をしたい、 立ち上げ時の詳細が知りたいとの要望が多数あったため開催。 大田区より事例紹介 令和2年3月 マスタープラン策定 新宿区より事例紹介 令和3年十一月 マスタープラン策定 BFプロモーター 中央大学研究開発機構 助教 丹羽先生より事例紹介 2 参加した自治体からの感想等 策定にあたっての流れや地区の設定など、実務上のお話しを聞くことが出来て、 庁内検討を進めるイメージづくりにつながった。 他の区市の状況を聞ける場があり大変参考になったので、 引き続き、この場があるとありがたい。 実際の策定事例などを踏まえ、ポイントや気を付けた方がいい内容等、 こうした情報共有の機会があるとレベルアップにつながる。 5ページ目 北陸信越分科会 直江津港ターミナル バリアフリー施設見学会1 日時 令和三年十月二十八日木曜日 十二時四十五分から十五時 場所 直江津港ターミナル 新潟県上越市 内容 ジェットフォイル船内及び直江津港ターミナル内の施設見学、意見交換 参加者 移動等円滑化評価会議北陸信越分科会委員等 十四名 協力 佐渡汽船株式会社、佐渡汽船シップマネジメント株式会社、古川海運株式会社 主催 移動等円滑化評価会議北陸信越分科会事務局 参加者からの意見等 ジェットフォイルについての意見 スロープについては、黒色だと視覚的に傾きを感じづらいので、ラインを引いて変化が 分かるようにするとか、段差がありますなどのメッセージによる案内があるとよいと思う。 船内では車いす使用者が進行方法を向いて座れない(横向きで車いすが固定される)ことは 残念なので、例えば、座席を外して車いすスペースを広げるとか、荷物置き場の一部を 専用スペースとして活用するとか、車いす固定用のフックを何カ所かに付けて 座席を選べるような環境にするなど、解消に向けて検討してほしい。 やはり、長時間の運航であることを考慮すると、開放感がある場所にいたいと感じる。 車いす使用者に限らず、高齢者、ベビーカー等を利用した乗船も想定されることから、 多様な使い勝手の良いスペースが一つできるとよいと感じた。 ターミナルについての意見 障害者手帳をお持ちの方は窓口へという案内になっているが、小柄な方や車いす利用者は 窓口の高さが一定のため、やりとりが大変ではないかと感じたので、ボタンを押すと 係員が出てきてくれるとか、 1カ所低いカウンターを設置するといった対応があるとよいと思う。 耳が聞こえない方への対応として、窓口に筆談希望の方はお声かけください等の 案内があるとよいと思う。 女子トイレにも一室でいいので、車いすで入れる個室があるとよいと思う。 エレベーターは重量的にも、広さ的にも、付き添いが一緒に乗ることができなかった点で、 不安感があった。 車いすでのエスカレーターの上り下りを初めて体験したが、非常に安心して乗り降りができた。 車いす使用者が来たらどこから案内してくれるのか、イメージがつかみにくいので、 もう少し丁寧な案内があるとよいと感じた。 事業者より スロープの安全対策や筆談の窓口案内については、すぐに対応していきたいと思う。 費用がかかる部分については、すぐに改善することは難しい。 もともとバリアフリーに適合していない船舶をバリアフリー化させており、 座席の取り外しも簡単にはできないため、ジェットフォイルの進行方向を 向けない座席の問題については対応が難しい。 また、固定用フックの取り付けは可能かもしれないが、車いすを置くスペースや、 他のお客さんの座席との兼ね合い等も考慮する必要があるため、 実施にあたっては検討する必要がある。 いただいた意見は、社内で共有を図りながら対応を検討していきたい。 6ページ目 北陸信越分科会 直江津港ターミナル バリアフリー施設見学会2 ジェットフォイル船内 車椅子利用者が座席に移って座る写真 車椅子を固定具で止める写真(進行方向に対して横向き) 船内のバリアフリートイレの写真 直江津港ターミナル内 チケット券売機で購入する写真 エレベーターを利用する写真 バリアフリートイレを利用する写真 エスカレーターを利用する写真 (エスカレーターを3枚連結させたところに車椅子利用者が乗り、 連結部最後尾に車輪止めを着け、安全確保のため従業員が後ろに付く。) 7ページ目 中部分科会 UDタクシーの乗車トラブル防止に向けた意見交換会 第6回 障害者団体とタクシー業界 意見交換会 仮 第6回UDタクシーの乗車トラブル防止に向けた意見交換会 改正障害者差別解消法への対応について 実施時期 令和三年十一月二日火曜日 参加者 名古屋市身体障害者福祉連合会、愛知県重度障害者の生活をよくする会、 社会福祉法人AJU自立の家、愛知県障害フォーラム事務局、 愛知県重度障害者団体連絡協議会、名古屋市障害者差別相談センター、 名古屋市、名古屋タクシー協会 オブザーバー 放送大学学園、中部運輸局 内容 放送大学生涯学習支援番組の企画で、社会福祉と法 求められる合理的配慮とは と題して、意見交換会の模様を撮影。今後、放送大学の授業として、放映される予定 JPNタクシー車いす乗車ガイド関係について 1ガイドの活用状況 2体験乗車会等の今後の活用方法について 3ガイドの見直し、改良の必要性について  4国土交通省事務連絡 UDタクシーにおける料金の適正な取扱いについて JPNタクシー車いす乗車ガイド以外の障害者向けガイドの作成について ミライロID本人確認アプリの導入環境、UDタクシーの導入状況について 8ページ目 近畿分科会 大阪・関西万博UDガイドライン検討会への参画について 経緯 二千二十一年七月に公益社団法人二千二十五年日本国際博覧会協会より 施設整備に関するUDガイドラインが公表されたが、来場者が、 より一層利用しやすい博覧会会場となるよう、様々な障害当事者の意見を 踏まえたUDガイドラインの改定に向けて検討することとなった。 概要 委員構成 移動等円滑化評価会議近畿分科会委員、近畿分科会長 座長が推薦する学識者、障害当事者等 スケジュール 二千二十二年三月までに、日本語版、英語版、仏語版完成予定。 運営方法 検討会を3回、個別テーマ(トイレ、エレベーター・エスカレーター、 カームダウンクールダウン、車椅子対応観客席)ごとに分科会各1回ずつ実施。 現行のユニバーサルデザインガイドラインの項目について、個別に意見出しを することに加えて、項目に追加した方がよいもの、万博のようなイベントで困ること、 万博に対する要望等、自由記述していただく表を作成し、意見集約を行った。 意見の内容は、UDガイドラインの内容のみならず、展示や催事などソフト面に 対する意見なども含めて千七百五十件に及び、ガイドライン改定版に反映できるもの、 できないものに精査され、第3回検討会(最終回)でガイドライン案が報告された。 改定版完成後も、継続的にバリアフリー整備の促進に向けて、主要施設における モックアップ検証等ワークショップに参画していく予定。 9ページ目 近畿分科会 エレベーター モックアップ検証実施まとめ1 趣旨 障害者団体主催によるモックアップ検証を通じ、交通事業者が多様なニーズを 正確に捉え、利便性の高いエレベーター導入の契機とする。 実施日 令和三年十月二十七日 十四時から十六時五十分 主催者 自立生活センター リングリング 中尾代表、寺田事務局長、石地氏 参加者 神戸市交通局 高速鉄道部施設課 丸田設備更新担当課長、上田氏 神戸市 福祉局 障害福祉課 星島課長、亀徳担当係長 近畿分科会 三星会長、新田委員(学識者)、 六條委員、鈴木委員、尾上委員(障害者団体) 近畿運輸局 鉄道部 技術・防災課 平山専門官、 バリアフリー推進課 清良井課長、大當課長補佐、清水専門官 協力 検証者 脳性麻痺・電動車椅子使用者、脳性麻痺・電動車椅子顎操作者、 頸椎損傷・手動車椅子使用者、視覚障害弱視者、視覚障害全盲者、知的障害者 備品提供 EV事業者 東芝エレベーター(ミラー、乗降ロビー操作盤)、 フジテック(ボタン)、日本エレベーター製造(ボタン) 概要 神戸市交の三宮駅EV改修後のサイズに合わせてモックアップを作り、 入口幅の伸縮、凸面鏡の角度や壁面鏡の設置位置、ボタンの高さや大きさ、 浮き出しによる触知比較など使いやすさを障害当事者(脳性まひ、脊髄損傷、 視覚障害全盲、弱視、知的障害)に体験してもらい、使いやすさのニーズを検証する。 十ページ目 近畿分科会 エレベーター モックアップ検証実施まとめ2 袖部を二十センチ、十センチ、0センチと調節し入口幅を変化させ EV内への入りやすさを検証 袖部五十センチ(入口幅九十センチ)、奥行き百三十五センチ=現行三宮EVに合わせ検証 気づき EV使用時、入口操作盤は扉より手前に出ていると車椅子を切り返さずに入れる。 利便性向上 十一ページ目 近畿分科会 エレベーター モックアップ検証実施まとめ3 袖部を十センチ、二十センチと変化させ車椅子横並びを検証 袖部を十センチ、二十センチ、から五十センチと変化させ、物理的、精神的な 車椅子使用における負担を検証 気づき 車椅子使用者はEV内に入る時は袖無し側ではなく有り側に停車させる傾向にある。 開口部が八十五センチから九十センチ程度だと狭いため、他の利用者が入りやすくするためには 袖部側に移動せざるを得ない。 十二ページ目 近畿分科会 エレベーター モックアップ検証実施まとめ4 壁面鏡の床からの高さを変化させ、後方にいる他の利用者の視認性を検証 凸面鏡の高さ、角度、位置(真正面、側面)を変化させ入口までの距離感や 後方にいる利用者の視認性を検証 十三ページ目 近畿分科会 エレベーター モックアップ検証実施まとめ5 頸椎損傷 手の感覚が無い為、手の甲でボタンを押下しなければならない当事者に対し、 大きさの異なるボタンを並べ、押しやすさ、見やすさを検証 視覚障害 全盲 視覚障害者がEVに入る際にどのようにボタンを探すのか、 ボタンはどのタイプが押しやすいかを検証 十四ページ目 近畿分科会 エレベーター モックアップ検証実施まとめ6 知的障害ピクト、数字、平仮名等様々な種類のボタンを投影しわかりやすさを検証 大きさの異なるボタンを並べ、押しやすさ、見やすさを検証 気づき 知的障害者にとって音声ガイダンスは必要、不安軽減に繋がる。 十五ページ目 近畿分科会 エレベーター モックアップ検証実施まとめ7 講評 事業者、学識者、近畿分科会委員、自治体 まとめ 今回実施した各項目の検証を通し、多様な障害者のニーズを知る 貴重且つ有効な機会となった。一例を挙げると車椅子使用者にとって エレベーター入口開口部は袖無しが最も入りやすく、片袖二十センチまでであれば 多少個人差はあるが極端な負担無く出入りができること、脳性麻痺や頸椎損傷による 上肢機能障害者や視覚障害者、知的障害者にとって操作ボタンは、厚く浮き出していて、 出来るだけサイズの大きなボタンが最も使用しやすいこと、エレベーター内カゴサイズは 車椅子が2台並べる横幅を重視した十七人乗り以上が使いやすいなどの結果が見えてきた。 今後エレベーター設備の在り方を考えるにあたり有益な知見を得ることができた。 十六ページ目 中国分科会 ファジアーノ岡山と連携した発達障害、障害者週間啓発イベント 発達障害啓発メッセージを動画でPR ファジアーノ岡山と連携した啓発イベント 日時 令和三年十二月五日日曜日 十時から十三時 対ジェフユナイテッド千葉戦キックオフ前 会場 岡山県総合グラウンド陸上競技場前広場 特設ブース 岡山市北区いずみ町二−一−十一 内容 障害に関するポスター、パネルの展示。啓発チラシ入りのポケットティッシュの配布。 障害に関するマークを活用したダーツゲーム。東京2020パラリンピック聖火リレー岡山県聖火。 フェスティバルで使用した聖火トーチ及び公式ランタンの展示。 発達障害啓発メッセージ動画の作成、放映 概要 ファジアーノ岡山マスコットのファジ丸と発達障害理解促進を 目指すアスのワニプロジェクトのシンボルキャラクターを活用した 啓発メッセージ動画を作成しファジアーノ岡山ホームゲームのハーフタイムで放映 日時 令和三年十二月五日 日曜日 対ジェフユナイテッド千葉戦ハーフタイム 十七ページ目 四国分科会 公共交通機関における知的・発達障害者等を対象とした アシストガイド活用の実証実験 香川大学の坂井聡教授・宮崎英一教授はソフトバンク株式会社(以下ソフトバンク)と共同で、 アシストガイドを用いて公共交通機関における知的・発達障害者等を対象とした アシストガイド活用の実証実験 利用体験=当事者の不安を払拭する成功体験を目指してを行った。 本実証実験の狙い 知的・発達障害のある人の中には、外出時にはいつもと違う環境になるため全体の見通しが持てず、 不安を感じたり、パニックになってしまったりする人がいる。 このため、これらの人が安心して公共交通機関が利用できる環境構築が求められている。 現在、多くの公共交通機関は車椅子の利用者等、身体障害のある人へのサポートは、 既にある程度の対応ノウハウを有している。 しかし知的・発達障害のある人は、外見からはその困難さが分かりにくい上、 公共交通機関側も対応サポートが未経験な部分を含めてまだ不十分な場合が多い。 そのため、知的・発達障害のある人の中には、一人で公共交通機関を利用して外出することをためらう人もいる。 しかし、坂井研究室・宮崎研究室のアドバイスの下、ソフトバンクが開発したアシストガイ*を用いる事で、 公共交通機関側のサポートが可能であれば、公共交通機関を利用して出かけることができるようになるなど 知的・発達障害のある人の自立支援を促し、就学、就職、余暇における生活の質を向上させる事が期待できる。 当事者の感想 知らない駅に行くとき、写真で行きかたが見られるとシミュレーションができているので安心。 次はバスでやってみたい。 支援者(当事者の親)の感想 本人は一人で移動したことはなく、今回の実験は冒険。乗車する以外は一人でできないと思っていたので驚いた。 こういった取組はとても心強く、発達障害支援の明るい未来が見えました。 アシストガイドとは ソフトバンクが提供している、困りごとを抱える人(例として知的・発達障害のある人)のためのアプリケーション。 やることややり方を可視化することで、困りごとを抱える人がひとりで行動し、本来の力を発揮できるようにアシストする。 香川大学は、ソフトバンクと共同研究を行い、アシストガイドの利便性向上や利用拡大に取り組み、 具体的な支援の在り方や活用方法の調査、普及活動などを実施している。 十八ページ目 九州分科会 別府港UDターミナル推進協議会1 取組概要 二千二十二年十月に完成予定の別府港フェリーターミナルの建設において、実施主体の株式会社フェリーさんふらわあ、 別府市内の障害当事者団体のNPO法人自立支援センターおおいた等と協働し、計画の段階から障害当事者の参画を行い、 別府港UDターミナル推進協議会を開催して、二千二十一年七月に旅客船ターミナル等における高齢者、 障害者等の移動円滑化に係る提言書を取りまとめ、二千二十一年十一月三十日に本提言書の手交式を行った。 本取組は、日本財団の支援による公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団の 共生社会実現に向けた移動円滑化基金により実施。 ヒアリングの実施 1 フェリー乗船までに想定される、乗船計画の立案からターミナルの施設利用〜乗船までのアクションと、 場面や施設、設備の導線を整理し、ヒアリングテーマの設定を行った。 2 ヒアリングテーマについて、様々な障害特性のある障害当事者にヒアリングを実施し、 旅客船ターミナルにおける利用者ニーズの把握と現状の課題抽出を行い、 新ターミナルの各所の設計における、配慮のポイントを整理した。 3 ヒアリング障害者団体と障害特性 主に肢体不自由 肢体不自由(医療的ケア児・者) 内部障害(オストメイト) 聴覚障害(難聴) 視覚障害 精神障害、発達障害 十九ページ目 九州分科会 別府港UDターミナル推進協議会2 今後の取組 今後、設計、工事の各段階において、機能の評価を実施していくとともに、継続的な課題の共有と改善に向けた 検討を行うことで、より良いターミナルの実現を目指すこととしている。 また、合わせて情報媒体(WEB、パンフレット等)の整備、情報発信の仕組み、 現地におけるコミュニケーションツールの開発、スタッフの接遇に関する教育プログラムの実施についても、 関係各所との連携を図りながら継続的に取り組むこととしている。 二十ページ目 近畿・九州分科会協働事業 フェリーさんふらわあ乗船体験1 目的 障害当事者が船旅を体験することにより、移動時のバリアの実態を確認するとともに、 事業者との意見交換をすることにより、非日常的な空間である船旅をより楽しめる方法を学ぶ。 評価会議九州分科会、別府港UDターミナル推進協議会 協働事業 令和三年十一月十六日 一日目 神戸港から大分港 令和三年十一月十七日 二日目 大分港から別府港 意見交換会 海地獄から大分空港 令和四年一月二十六日 乗船体験報告会 近畿、九州分科会合同WEB会議 二十一ページ目 近畿・九州分科会協働事業 フェリーさんふらわあ乗船体験2 一日目 フェリーさんふらわあ船内編 車椅子ユーザー(介助者なし)にスタンダードシングルルームをご用意。 スタッフが事前にドアの幅等を確認していたが、実は以下の問題がありました。 ドアが内開きで重く、一人で入室できない。ドアのストッパーがない。 バリアフリールームは普通より多少広めだが、電動車椅子では回転できない。 上記の問題があったので、最終的には、フェリーさんふらわあ様のご厚意及び柔軟なご対応により、 ツーリストルームへ部屋移動できたことで問題を解消することができた。 聴覚障害者にとって緊急時のことを考えると不安なのでのぞき穴が欲しい。 またフラッシュライト等、音声以外の情報が欲しいといったお話も聞きました。 デラックスルームでは、ドアの角にあるクローゼットがバリアとなっている。 バルコニーへの出入り幅が狭めである。 バリアフリートイレ・シャワーにも課題有り。 トイレを使用している人がいたら、他の方がシャワーを使えない。逆も同様。 男女だと特に気を遣うことになる。 二日目 別府港ターミナル見学 二十二ページ目 近畿・九州分科会協働事業 フェリーさんふらわあ乗船体験3 二日目 意見交換会 別府亀の井ホテル由布の間で総勢三十一名にて意見交換会を実施。 フェリーさんふらわあ様からの新造船計画、新しい別府港ターミナルの説明や、 さんふらわあに乗船した障害当事者からの様々な視点からの感想、 九州分科会からは、別府港UDターミナルに向けた当事者参画などの発表がありました。 意見交換後、昼食場所へ移動のためバスに乗ろうとするとリフトが動かず、 急遽、UDタクシー乗車体験が追加されました。 二日目 大分空港見学 トイレの広さやゴミ箱の配置一つとっても車椅子ユーザーにとっては重要。 カウンターの蹴込みもチェック(蹴込みが無ければ、近づけない) 搭乗手続きでは、安全上の理由のため、航空会社による車椅子預入れ前のチェック 特に電動車椅子のバッテリーチェックと機内乗り込み用車椅子への乗り換えに時間がかかる。 車椅子ユーザーにとっては過度な負担となっている。 空港に早めに到着する必要がある 車椅子を乗り換えることにより、出発までの行動が制限される。(体勢保持が難しかったりなど) 二十三ページ目 沖縄分科会 第十四期バリアフリー障害担当者リーダー養成研修イン沖縄 今後地方も含めたバリアフリー化等の課題を解消するため、行政、事業者、 運動の先輩、地域で活動している多様な講師の方々から学び、 参加者同士のディスカッションを通じて、地域で発言する障害者の養成することを目的に開催。 日時 令和三年十一月三十日火曜日、十二月十四日火曜日、十二月十七日金曜日 場所 オンライン 対象者 障がいのある方 主催 特定非営利活動法人DPI日本会議 第十四期バリアフリー障害担当者リーダー養成研修イン沖縄実行委員会 共催 公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団 概要 一日目 沖縄のバリアフリー運動 沖縄の交通アクセスの過去の状況、当事者が参画した接遇研修。 グループワーク それぞれの地域での課題、新型コロナ感染拡大の影響。 小中学生向けバリアフリー教材の学校の使用例。 二日目 当事者参画の下での研修について。 シンポジウム バス運転手の接遇研修について、当事者参画の交通計画づくりについて。 グループワーク 地元の交通事業者の接遇研修。 三日目 バリアフリー法改正と行政への働きかけ。観光とバリアフリー。 グループワーク どう解決していくか。 以上です。