第3回移動等円滑化評価会議四国分科会 日時 令和3年7月20日(火)14時から16時10分 場所 高松サンポート合同庁舎 南館4階 四国運輸局会議室 開催方法 オンライン(一部対面者含む) 出席者 藤澤 正一郎 徳島文理大学 理工学部 機械創造工学科 教授 柳原 崇男 近畿大学 理工学部 社会環境工学科 准教授 西原 靖司 (公財)香川県老人クラブ連合会 常務理事 浅見 裕一郎 (公財)香川県視覚障害者福祉協会 会長 田村 治仁 全国脊髄損傷者連合会 香川県支部 副支部長 香川県障害者スポーツ指導者協議会 副会長 岡村 隆次 (公財)香川県身体障害者団体連合会 会長 近藤 龍治 四国ろうあ連盟 事務局長 高尾 早苗 (社福)香川県手をつなぐ育成会 理事長 横田 敬一郎 (一社)日本発達障害ネットワーク 四国地区代表 吉村 美登利 香川県精神障害者家族連合会 会長 井谷 重人 CIL星空 代表 門田 千春 NPO法人わをん 笹岡 和泉 NPO法人福祉住環境ネットワークこうち 近藤 光司 四国旅客鉄道株式会社 お客様サービス推進室長 清原 昭彦 四国鉄道協会 事務局長 今西 照章 四国バス協会 専務理事 大矢 浩一 四国旅客船協会 専務理事 岡 千人志 四国ハイタク協議会 専務理事 土方 秀行 高松空港ビル株式会社 企画管理部 空港総務グループリーダー 墨田 千里 高松空港ビル株式会社 企画管理部 空港総務グループマネージャー 中野 奈緒子 徳島県県土整備部次世代交通課 主任主事 喜田 陽彦 徳島県県土整備部建設管理課 課長補佐 阿部 暉 徳島県県土整備部建設管理課 主事 三野 ちずる 香川県交流推進部交通政策課 主任 中村 早希 香川県土木部技術企画課 主任 古川 由賀 香川県健康福祉部健康福祉課総務課 主事 岡本 剛志 愛媛県企画振興部政策企画局地域政策課 主任 曽我部 蓮 愛媛県土木部土木管理局土木管理課技術企画室 主任 中澤 智英 高知県中山間振興・交通部交通運輸政策課 主事 加藤 文章 高松市都市整備局都市計画課 技師 今井 真衣子 高松市健康福祉局障がい福祉課 主査 前田 聡子 高松市市民政策局政策課 ユニバーサルデザイン推進室 企画員 厚地 明人 大阪航空局高松空港事務所 広域空港管理官 松田 邦泰 四国地方整備局企画部 環境調整官  宇都宮 正明 四国地方整備局企画部企画課 課長補佐 庄野 秀 四国地方整備局企画部企画課 係長 桑原 健悟 四国地方整備局企画部企画課 係員 久保 雅寛 四国運輸局交通政策部 部長 近藤 浩志 四国運輸局交通政策部 部次長 加藤 克久 四国運輸局交通政策部バリアフリー推進課 課長 廣瀬 繭子 四国運輸局交通政策部バリアフリー推進課 課長補佐 横山 英司 四国運輸局交通政策部バリアフリー推進課 係員 戸田 花音 四国運輸局交通政策部バリアフリー推進課 係員 1 開会 2 開会挨拶 四国運輸局 久保交通政策部長 3 議題 @ 四国における移動等円滑化の進展状況・基本構想の作成状況等について 事務局より資料1:四国における移動等円滑化の進展状況、基本構想の作成状況 資料1-2:四国における移動等円滑化の進展状況(県別)に基づき説明。 A 事業者団体、自治体、運輸局、地方整備局の主な取組について 事業者団体等、自治体より資料2:事業者団体等、自治体の取組に基づき説明。 四国地方整備局より資料3:四国地方整備局におけるバリアフリーの取組に基づき説明。 四国運輸局より資料4:四国運輸局におけるバリアフリーの取組に基づき説明。 【香川県視覚障害者福祉協会 浅見委員】 UDタクシーの話です。 四国では2パーセントの導入率で全国の基準からするとかなり低いというお話でしたが、 私の記憶違いでなければ、福祉タクシーを導入する際に国から 確か補助が出ていたかと思うのですが、それを活用してもやはり四国では なかなか導入は難しいということでしょうか。 【四国ハイタク協議会 岡専務理事】 国の補助制度は事業者も知っておりまして、 それを活用して導入できるところは実施しておりますが、 UDタクシーは現在大体360万円から380万円、 国の補助は60万円ということなので、差額を事業者が負担するのは なかなか難しい状況になっております。 B ハード・ソフト取組計画の作成状況等について 事務局より資料6:ハード・ソフト取組計画について 資料7:移動等円滑化に関する好事例・先進事例の共有 資料8:令和2年バリアフリー法改正 資料9:バリアフリー法に基づく基本方針における次期目標 資料10:ユニバーサルデザイン推進本部の立ち上げに基づき説明。 C 意見交換 意見交換に先立ち、事務局より資料5:意見・要望等の内容及び回答・方針に基づき、 事前意見・回答について報告した後、意見交換を実施。 (内容は下記のとおり。) 【藤澤分科会長】 これから時間を取りまして、意見交換をしていきたいと思います。 これまでご報告、あるいは今のご意見に対する回答などに関連した ご意見ご質問がありましたら、よろしくお願いします。 どなたかいらっしゃいませんか。 【香川県視覚障害者福祉協会 浅見委員】 先ほど、四国運輸局の取組の中で、心のバリアフリーとか疑似体験という言葉が 何度も出てきているんですけれども、「社会モデル」という考え方に立つと、 そこで止まってはいけないのではないか、むしろ疑似体験というのは、 症状に対してどう緩和し何を援助すればいいかという 医学モデル的な考え方なのではないかと思います。 事前意見にも書きましたが、自分らしく生きるために 担保されるものが恩恵であってはいけない、 権利であることを主張するために、障害を障害たらしめているものは 社会だということを、当事者が声を出していく。 そういった視点の勉強会や研修会がこれから増えていくといいと思います。 これまで、これだけの疑似体験が行われていますという報告が毎年行われているが、 もう一歩進めてほしいと感じます。 【事務局】 バリアフリー教室等の内容について、障害の社会モデルという考え方を 正しく理解し広めていくという内容で取り組んでいくことを、 今後検討していきたいと思います。 ご意見ありがとうございました。 【NPO法人福祉住環境ネットワークこうち 笹岡委員】 先ほど浅見委員から研修会のお話がありましたが、 私たちNPOが県から依頼を受けて、高知県内の 観光宿泊施設や交通機関向けの障害者サポート研修を 行っているんですけれども、参加した施設の方たちから、 障害のある方に接したことが無い、盲導犬も見たことがないという声を聞きます。 私たちも座学や体験講習の際に、当事者講習を必ず入れて、 当事者の方の意見を話していただくようにしています。 仕事の場面ではそういった機会がなかなかないので参考になった、 通常の場面では聞けないことも講習の場では聞ける、という意見をもらっています。 大事なことですので、これからもこういった研修を続けていきたいと考えているところです。 また、今年度も充実した資料をありがとうございます。 各地でバリアフリーサイトや冊子を作っていらっしゃって、 なかなかそういったものを知る機会がなかったので、 良い情報をいただいたと思っております。 私たちのNPOも高知市中心部の商店街で、タウンモビリティという取組をしています。 高知市中心部100店舗ほどのバリアフリー情報を、冊子や、 高知市商工振興課のホームページにアップしています。 また、高知県内の観光宿泊施設・交通機関現在219施設ほどのバリアフリー状況、 宿泊施設はトイレやお風呂、バリアフリールームの写真入りで掲載しております。 他県の情報も知りたいですし、私たちの取組も是非知ってほしいのですが、 探しに行かないと情報が集められないという現状です。 課の名称もバリアフリー推進課に変わったことですし、 何かそういった情報を集約したサイト、そこに見に行くと 全国の取組を見つけられるような場所があればありがたいなと思いました。 【藤澤分科会長】 わたくしも3月に高知で開催された意見交換会に参加させていただきましたが、 やはり地域の特性が色々あるのだなということを実感しましたし、 四国4県だけでなく全国を含めて情報交換する必要といいますか、 せっかくこういった良い情報があるのだから 共有できたらいいということは感じました。 どうやって広げていくかというのは、今後の課題ですね。 香川や以前おりました徳島のことは大体事情は把握しており、 皆さんのおっしゃることはわかりますが、高知は高知の取組、 問題意識があるんだということを改めて確認しました。 今年は徳島で開催ということですので、 是非また情報交換・共有できるようにしたいと思います。 【CIL星空 井谷委員】 バリアフリーの推進、資料の用意ありがとうございます。 基本構想の働きかけを行っていらっしゃるということで、 既に作成済みの四国内の6市については、作成するにあたって 情報提供や助言をされていると思うのですが、 できたものに対する評価はどうなっていますか。 先ほどから心のバリアフリーと繰り返されていると思うのですが、 自治体のホームページで、心のバリアフリーのページを見ると 思いやりとか譲り合いの心を持って助け合うことが大切と書いてあります。 バリアフリーでいうと、思いやりとか譲り合いという言葉は、 使ってしまうと全くバリアフリーが進まなくなってしまう代表的な言葉なんですね。 心のバリアフリーとはどういうものかということをちゃんと定義づけして 伝えていかないといけない、そもそも心のバリアフリーという名前のせいで 誤解されているというか。浅見委員のおっしゃるように、 思いやりで片づけてはいけないのではないでしょうか。 もうひとつ、3月に行われた高知の意見交換会について教えて下さい。 意見交換会は年に1回だけの開催と決まっているのですか。 年に1回の開催であるのなら、開催地の高知県内だけでなく、 愛媛にも声をかけてほしかった。 四国の分科会の委員をさせてもらっていますので、是非参加させていただきたいなと思います。 せっかく四国でつながっているのに、高知は高知、愛媛は愛媛と分けてしまうのはもったいない。 四国で力を合わせていい形を作っていけたらと考えています。 【事務局】 先に意見交換会についてですが、この分科会とは別に、四国各県の 固有の問題などを話し合うために最低年に1回は開催することとなっております。 複数開催については、難しい面もあるかもしれませんが検討させていただきたいと思います。 今年度は徳島での開催予定ですが、その際は、徳島在住の方だけではなく、 各県の委員の方にもお声がけをさせていただきたいと考えておりますので、 よろしくお願いします。 基本構想の評価に関して、四国運輸局では、市が基本構想を作成する際には 何らかの形で関わっておりますが、その後の評価等につきましては、 基本的には現在行っておりません。 今後必要になってくる状況がございましたら、 一緒に評価していくようになるのかという認識でございます。 【CIL星空 井谷委員】 当事者の参画といいますか、この評価会議のように基本構想の評価を 当事者も一緒にやっていく機会を持つことができたらありがたいです。 障害の社会モデルや心のバリアフリーに関しては、当事者が話して、 自分のこととして理解していただくのが一番効果的ですし、 理解してもらいやすい部分がありますので。 自治体のバリアフリーのホームページのところを読むと、 これは理解してもらえていないのかなと寂しい感じがして、 読んだ人はこういうものなのかなで終わりかもしれないので、 そういった面についても当事者として評価できればと思います。 【藤澤分科会長】 私はものづくりに携わっておりますが、福祉機器を作る際に基本的な設計指針があります。 支援を前提としない設計、誰かに助けてもらうために作るのではなくて、 その障害者の方が自ら使えるものを、というのが設計指針なんですね。 自立するための手立て、そういう気持ちが入っていると思います。 製品についても誰かに助けてもらって使える製品というのは簡単に作れてしまうわけですけれども。 ちょっと言い方は悪いですけど、思いやりとか助け合いといったことで 誤魔化してしまうと問題じゃないかということを 井谷さんはおっしゃっているのではないかなと思っています。 皆さんが豊かな心を持って互いに接する社会になっていくのが当然でしょうし、 また、皆さんが自立していくための支援や社会システムを 作っていくのもやはり必要だと、私がものづくりの視点から常々感じていることです。  【CIL星空 井谷委員】 ものづくりの視点ということになると、おっしゃるようなことが非常に当てはまると思うんですが、 僕の話している内容とは、あてはまる所もあれば少し違う部分もあります。 思いやりで片づけてしまうと、例えば、音響信号のない横断歩道があって、 視覚障害の方が信号の色がわからず渡れない。 通りかかった人が助けてあげなさいそれが思いやりです。 それで片づけてしまうと、音響式信号は多分増えていかない。 誰も通りかからなくても命が守られる横断歩道が増えていくことが大事なので、 思いやりとは違うところでバリアフリーを考えていかないと進んでいかないと思います。 心のバリアフリーというのは、社会モデルと差別解消法にある合理的配慮、 あと色々な方がいらっしゃる中でコミュニケーションを取っていく、 これが大事な3つのポイントだと思います。 思いやりは道徳的な部分になってしまう。 大事だとは思うんですけど、その言葉を出してしまうと誤解されるというか、 一般の方が心のバリアフリーと聞くと優しくすればいいのかな、 思いやりを持たないといけないなで終わってしまうので、 思いやりに依存しないものですよということを行政のホームページで 書いていただけたらというのが、当事者としては求めるところです。 【日本発達障害ネットワーク四国地区 横田委員】 気になることがあります。 この委員の中にろうあ連盟の方がいらっしゃいます。 近藤さんに情報は届いているのかということと、近藤さんの意見も伺いたい。 【事務局】 近藤委員は、通訳の方が2名横にいらしゃる状態です。 近藤委員の通訳の方、お呼びしてもよろしいでしょうか。 マイクをオンにしていただいてもよろしいでしょうか。 【四国ろうあ連盟 近藤委員】 資料を拝見しました。バリアフリーが進んでいるのだなと感じましたが、 コミュニケーション支援、情報支援についてはあまり記載されていないのが気になりました。 今後、情報支援についての研修会や資料などを載せていただけたらと思います。 私自身はまず手話が必要です。しかし手話はまだまだ広がってはいません。 手話ができない時のコミュニケーション方法としては、 こういったことがあると紹介してほしいです。 先ほど紹介されていた切符自動販売機を利用したことがあります。 説明を見ながら筆談をして切符を買うことができ、 コミュニケーションも取れて良かったと思いますが、時間がかかりました。 書く時間と読んで理解する時間が必要ですから。 後ろに並んでいる人もいたので、尚更気を使ってあわててしまいました。 1台だけの設置だったので、2台あったら良かったですね。 強いて要望を出すならば、手話でのやりとりがカメラを通してできればいいなということ。 オペレーターの方が丁寧な言葉を使って書いてくれるのですが、 余計理解しにくい状況になりました。 研修をして使い方のポイントなどを皆で学習するのが大切かなと思いました。 それもあわせて検討していただけたらと思います。よろしくお願いします。 【日本発達障害ネットワーク四国地区 横田委員】 近藤さんは、手話と筆談という二つのコミュニケーションチャンネルをお持ちです。 ところが発達障害の子供たちは、そのどれも持っていない。 高知新聞6月24日の記事に、自閉症・情緒障害の子供が急増しているとありました。 本当にもの凄い割合で増えておりまして。 私が以前在籍しておりました学校でも、言葉は悪いかもしれませんが 純粋な知的障害の生徒は少なくなっていて、半数以上が自閉症です。 これはコミュニケーションチャンネルを持ち得ない人の増加を示している。 井谷さんがおっしゃっているように、思いやりだけでは片づけられないのです。 思いやりはね、みなさん持っているんですよ。 思いやりのその次、具体的な解決策、ハウツー本のようなものが無いんです、 特に発達障害や自閉症には。無いというのは、 手話や筆談といったコミュニケーション手段がないということです。 岡崎市で7月5日に自閉症のお子さんが施設からエスケープして行方不明になり、 警察が300人態勢で捜索ということがありました。 我々関係者も、その子にとって何が必要な情報なのか検討して、 みなさんにご理解いただけるようなチャンネルを開設していかないといけないと思っています。 自閉症は、聴覚情報が処理できず、論理の整理ができない。 世の中のルールを理解することも困難です。 そういった子供さんが増えているということは家族も増えているということ。 日本だけでなく世界的にそうなのです。 私も五十数年発達障害・自閉症に関わってきましたが、 それぞれに合うやり方をもう一度検討していきたいと思っております。 心のバリアフリーを超えるという井谷さんの提言、 我々皆共に生活する者として大事に考えていきたいものです。 【CIL星空 井谷委員】 四国ハイタク協議会の方に質問です。先ほどの発表の中で、 UDタクシーがコロナの影響もあり四国でなかなか増えない、 福祉タクシーのほうは全国平均より多いというお話がありました。 私達は車いすなので、福祉タクシーより広いUDタクシーが理想で、 道でUDタクシーが通っており、手を挙げて車いすで乗れる車社会に なっていくのがいいなと思っています。 UDタクシーの使い方、スロープを出したりですとか、 車いすをどう乗せて固定するかといった研修はされているのかなと気になりました。 タクシー運転手の方の中には、手間に感じたり、 使い方わからず困ってしまう方がいるかもしれない、 そうなると乗車拒否につながることがあるかもかもしれない。 せっかくある車、技能を円滑に使えるように講習会などを行ってほしいなと思います。 今、現状はどうなっているでしょうか。 【四国ハイタク協議会 岡専務理事】 現状ですが、UDタクシーを保有する事業者は、 年に2回は実車研修を実施することになっています。 それに基づいて事業者は研修等を行っているかと思います。 現在使用されているジャパンタクシーについては、 スロープ等の組み立てが難しいと聞きますので、 普段からできるだけいつでも使えるような形でとお願いしているところです。 【CIL星空 井谷委員】 利用した際、運転手さんが困っていたりとか、 ちょっと時間がかかるんですよねと言われたり。 他県では、組み立てなど準備の時間も料金が発生して、 1メータ分もらいますといったこともあったようなので。 そのあたりが少し気になりましたので、 今後注意して見ていただければと思います。 【近畿大学 柳原先生】 ご意見を色々と聞かせていただいてありがとうございました。 私も話したいことが沢山あります。 特に、浅見委員や井谷委員からお話のあった心のバリアフリーについて、 私もどういう風に教えていけばいいのか非常に悩ましいところだなと感じておりました。 というのも、バリアフリー法の中で心のバリアフリーを語ろうとすると、 若干矛盾があるんじゃないかという気がするのです。 バリアフリー法はどちらかというと、1日利用客数3千人以上とか、 ホームドア設置は1日十万人以上といった数値が出てきて、 数の多いところから優先的にやりましょうというような理念があります。 要するに沢山の人が便利になるところからやりましょうということです。 効率性ということを考えているので仕方ないかもしれませんが、 でもそれを言ってしまうと心のバリアフリーに関しては、若干矛盾があるかなと思います。 沢山の人が使いやすくなるならば、一部の人はちょっと我慢してねという論理がまかり通ってしまう。 政治哲学的には功利主義といって、最大多数の最大幸福、 社会として何が最も正義かということを考えた時、多くの人がより幸せになるのが 正しいことですよというような考え方です。 一部の人が多少犠牲になったとしても、多くの人が幸せになれば それはそれでいいじゃないかという考えですね。 どちらかというとバリアフリー法も、多くの人が使いやすく 便利になればそれで良いというような考え方です。 しかし心のバリアフリーにおいては、一人一人の権利や自由を損なってまで、 多くの人の利益を求めることは良くない、やはりそこは保証しつつ そのうえでより良い方法を考えるべきであろうというような考え方じゃないと、 心のバリアフリーというものは正確には伝わらないのかなと思っています。 このように、バリアフリー法の説明をした後で心のバリアフリーの説明をする際、 何かしら矛盾を感じるので、多くの人が少数の人に対して 思いやりを持ちましょうねというようなことになってしまいがちなのかなと思っています。 一人一人の権利とか自由とかを阻害してまで多くの人が利益を得るというような考え方ではないですよ、 ということをはっきりと示さないとなかなか伝わらないかと思います。 これに関係して、都市部と地方部ではこれからバリアフリーの差が どんどん広がってくるのではないでしょうか。 関西に住んでいますが、きっかけがあったらこんなに進むのかというくらい、 関西の主要な駅へのホームドアの設置がここ3〜4年で一気に加速しました。 四国ではおそらく一つもないのでは、そしてこれから先なかなか予定もないかと思います。 都心部との格差がどんどん広がってくると危惧しています。 やはり地方の考え方、地方の声をいかに東京などに伝えていくか、 沢山の人がいるところが便利になることは、それはそれで良いのですが、 人が少ないところもちゃんと考えていくという枠組みを国の方でも是非とも考えて、 地方の声を吸い上げるような仕組みを作っていただきたい。 あとは、市町村の職員の方にいかにバリアフリー・ユニバーサルデザイン・マスタープランの 必要性を伝えていくかというところですよね。近畿でも難しいところですが。 運輸局さんは、市町村をひとつずつ回っておられるということなので、 市町村の職員の方に必要性をどうやって説いていくかというところの枠組みを 運輸局さんと整備局さんで考えていただいて、四国のような地方部で、 いかに基本構想やマスタープランの数を増やせるかが大きな課題かなと感じています。 【藤澤分科会長】 一番肝心なのは、やはりこういった場を多く持つということだと思います。 情報交換を定期的にしていく必要があるというのは当然感じるところでございます。 高知県で意見交換会を開催してみて、数や量といったことだけでなく、 これからはもっと地域の特性、障害の特性に目をむけていくことが大切ではないか思います。 四国4県私達住んでいるわけですから、それぞれの地域をいかに良くしていくか、 そこはしっかり工夫を重ね手立てを講じていけたらいいのではないかと思っています。 施策を進めるということでは、一定の法律に従ってということになるのでしょうけども、 我々としては、もっと楽しく、生き生きとわくわくと生活できるような 取り組みができればいいのかなと。 まとめになっていないかもしれませんが、ここにおられる皆さんと、 今後とも継続的に意見交換をしていければと思っている次第でございます。 本日はどうもありがとうございました。 4.閉会挨拶 【四国地方整備局 松田環境調整官】 5.閉会 以上です。