資料9 当事者目線に立ったバリアフリー環境の課題等に関する中間的な整理案について 全二十ページ 国土交通省総合政策局バリアフリー政策課 令和5年3月 1ページ目 目次 1.検討の経緯 2.中間整理の特徴・性質 3.バリアフリー環境の課題等について (1)インターネットやICTによる情報提供やコミュニケーション等 ・インターネット等における駅構内の構造やルート等の事前把握 ・バリアフリー関係施設の有無等に関する情報提供 ・オンライン予約・決済 (2)駅構内での案内図等による移動経路の分かりやすさ ・バリアフリールートの把握のしやすさ ・経路誘導に関するサインシステム等 ・車両内の情報提供 (3)駅構内設備等に関する情報保障等 ・改札口・改札窓口、券売機 ・運行情報 ・音声案内等の聞こえやすさ ・駅名表示 ・ホームにおける乗車位置等 ・ホームや移動経路における障害物、インターホン等へのアクセス性 (4)輸送障害や施設不具合等の事態が発生した際の情報提供等 (5)その他のバリアフリー環境の向上について頂いた御意見 4.今後の進め方 2ページ目 1.検討の経緯 アンケート調査の実施 目的 ・当事者目線での施設等の評価指標を把握・検討するため、プレ調査も含めて、 都内2カ所の鉄道駅におけるバリアフリー化の状況の現地調査と意見交換会を実施。 ・上記の現地調査等の結果を踏まえて、ガイドライン等の改正や当事者参画の あり方の検討等も見据え、様々な特性を有するより多くの当事者の意見を 得るために、本アンケート調査を実施。 ・アンケートの実施にあたっては、現在の基準やガイドラインに 記載されていない困りごと等を把握するため、バリアフリー整備が 相当程度行われている鉄道駅を対象として、当事者の回答を依頼した。 アンケートの概要 ・実施期間 令和4年11月10日〜11月25日 ・協力団体 移動等円滑化評価会議の当事者委員の所属団体及び関係団体 ・テーマ設定 これまでに実施した現地調査や意見交換会における意見を踏まえ、 横断的なテーマを設定し、各テーマに沿った形で当事者の困りごと等の回答を依頼。 テーマ内容 ・インターネット(ウェブサイト等)の情報提供に関する困りごと等 ・電車の運行情報の案内に関する困りごと等 ・一連のバリアフリールートや施設全体の観点での動線の設計、 移動経路の連続的な案内、デザイン等に関する困りごと等 ・設備等のアクセシビリティ(使いやすさ、わかりやすさ等) に関する困りごと等 ・設備等の利用に当たっての情報保障に関する困りごと等 ・緊急時の情報提供に関する困りごと等 ・その他、個別の設備等に関する困りごと等 3ページ目 1.検討の経緯 特性に応じたテーマ別意見交換会の開催について ・アンケートで得られた当事者の意見について、それぞれの困りごとの 状況や原因・解決策等についてより詳しく知るために、意見交換会を開催。 ・異なる特性間の相互理解や共通のニーズを把握するため、 複数の特性の当事者団体に参加頂き実施。 (従来は、それぞれの特性ごとに分けて開催していたところ。) ※複数回参加している団体については、特性ごとに異なる方に参加頂いている。 テーマ別意見交換会@ ・実施日時 令和4年12月9日(金) ・特性 視覚障害及び聴覚障害 ・参加団体 DPI日本会議、日本視覚障害者団体連合、 日本身体障害者団体連合会、全日本ろうあ連盟、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会 テーマ別意見交換会A ・実施日時 令和4年12月21日(水) ・特性 知的・発達・精神、認知症及び高齢者 ・参加団体 DPI日本会議、全国手をつなぐ育成会連合会、 日本発達障害ネットワーク、全国精神保健福祉会連合会、 認知症の人と家族の会、全国老人クラブ連合会 テーマ別意見交換会B ・実施日時 令和5年1月6日(金) ・特性 肢体不自由及び妊産婦・乳幼児連れ ・参加団体 DPI日本会議、日本身体障害者団体連合会、 全国脊髄損傷者連合会、全国自立生活センター協議会、 子育てひろば全国連絡協議会、びーのびーの、主婦連合会 特性の違いによる様々な意見があったが、意見を集約・整理する中で、 様々な特性の当事者が共通の場面で困りごと等が多くあった。 4ページ目 1.検討の経緯・背景(本中間整理案の位置付け) バリアフリー政策の展開 バリアフリー法制定(2006年) ・バリアフリー法に基づく移動円滑化基準やガイドラインを策定 ・国として目指すべきバリアフリー整備目標の策定 ・施設設置管理者等への財政支援 第1・2次バリフリ目標(2020年度まで) 一定規模以上の旅客施設や車両のバリアフリー整備が進捗 例えば利用者数が3千人以上の旅客施設の段差はほぼ全て解消、 視覚障害者誘導用ブロックの整備も バリアフリー法改正 (2018年・2020年) 東京2020大会の開催(2021年) コロナ禍と公共交通事業者の利用者減少 ・移動等円滑化評価会議の設置 ・バリアフリー関係施設の適正利用の責務の創設 ・役務提供基準(ソフト基準)の創設 ・当事者参画の重要性の高まり 第3次バリフリ目標(2021年度から) ・旅客施設や車両等の更なるバリアフリー整備の推進 ・地方部も含めたバリアフリーの推進 ・外側から見えにくい障害に係るバリアフリー整備の進捗状況の見える化 ・心のバリアフリーの推進  等 新たなバリアフリー環境の課題に対応が必要 次期バリアフリー整備目標の策定の検討 今後の主な課題 本中間整理案では主に@Aの課題を整理 @ 当事者目線でのハード面のアクセス性や使い勝手の向上 A 情報面でのバリアフリー B 当事者参画の推進 C 心のバリアフリーの更なる推進 5ページ目 2.中間整理の特徴・性質 中間整理の特徴・性質 ○ 今回の中間的な整理では、今後のガイドライン等の改定も見据え、 日常利用の多い鉄道駅を題材として、関係者に分かりやすいように 当事者の施設利用の場面ごとにバリアフリー環境の課題を記載。 ○ これらのバリアフリー環境の課題については、事例の横展開により 運用面での工夫で対応可能なものもある一方、早期の対応が容易ではない項目も含まれる。 ○ 課題の性質によっては、個別施設における当事者参画による 改善が望ましいものも存在。今後、更なるサービス改善や心の バリアフリーとの役割分担なども議論していく必要。 ○ 当事者、事業者、国、地方自治体等のバリアフリー政策や 整備に係る関係者の認識の共有を図る契機として提示。 当事者の施設利用の場面等ごとに横断的なテーマで整理 1.インターネットやICTによる情報提供やコミュニケーション等 2.駅構内での案内図等による移動経路の分かりやすさ 3.駅構内設備等に関する情報保障等 4.輸送障害や施設不具合等の事態が発生した際の情報提供等 5.その他のバリアフリー環境の向上等(バリアフリールートの 複数化・拡充、施設スペックの向上等) 6ページ目 3.(1)インターネットやICTによる情報提供やコミュニケーション ・インターネット等における駅構内の構造やルート等の事前把握 バリアフリー環境の課題 ○ 当事者にとっても、乗換アプリを含めインターネットやICTは 欠かせないインフラ。インターネット等で提供される情報を頼りに 事前にルートの確認等を実施。 ○ 当事者からは、インターネット等における一般的な駅構内図の 複雑性や情報量の多さ、情報の断片的な掲載等による分かりにくさ、 構内図が音声読み上げへの非対応等の状況が指摘。 また、スマホ等のアプリや2次元バーコード、備え付けのタブレット端末等を 活用したルート案内や問い合わせのニーズ等も存在。 <移動円滑化基準・ガイドラインにおける記載> ○ ガイドラインでは、インターネットによる情報提供等については、 障害者等がウェブサイト等で必要な情報を得られるようにするため、 JIS基準に基づきウェブアクセシビリティを確保するべきことを定めている状況。 <情報収集・調査等が必要と考えられる主な事項> ○ ウェブアクセシビリティの面も含めたインターネットにおける 案内図やルート表示等による経路案内に係る状況、考え方 ○ 情報のアクセシビリティに配慮したウェブデザインや 新技術による案内サービス等の事例や知見、これらに係る課題等 <留意すべき事項等> ○ 精神障害者、知的障害者、高齢者の人からは、ICTを活用したサービスの 使いにくさも指摘。対面による対応など人的支援が必要な場面に留意。 7ページ目 3.(1)インターネットやICTによる情報提供やコミュニケーション ・バリアフリー関係施設の有無等に関する情報提供 バリアフリー環境の課題 ○ 当事者は、その特性に応じたバリアフリー関係設備の有無等により、 利用する駅や行動の範囲が決まるため、当該鉄道駅におけるホームドアの 有無や無人駅・有人駅の別、トイレ内の設備等の施設情報について ホームページ等における情報提供のニーズがある。 <移動円滑化基準・ガイドラインにおける記載> ○ ガイドラインでは、インターネットによる情報提供等については、 障害者等がウェブサイト等で必要な情報を得られるようにするため、 JIS基準に基づきウェブアクセシビリティを確保するべきことを定めている状況。 <情報収集・調査等が必要と考えられる主な事項> ○ バリアフリー関係施設等に関する情報提供の状況、 考え方、参考事例や情報提供に関する課題 ○ 参考事例や課題等も踏まえたバリアフリー関係施設の有無等に 関する適切な情報提供の内容 8ページ目 3.(1)インターネットやICTによる情報提供やコミュニケーション ・オンライン予約・決済 バリアフリー環境の課題 ○ 障害当事者からは、指定席特急等をウェブ予約しても、 駅で支払いや受取り等を行う必要があることから、 決済まで含めたシステムの利便性向上が求められている。 ○ 指定席特急券のウェブ予約・決済については、 令和3年4月より東海道・山陽新幹線のぞみの車椅子対応座席において 試行が開始されており、また令和4年5月より車椅子用フリースペースについても 試行が開始されたところ。また、一部の民鉄事業者においても 車椅子対応座席のウェブ予約・決済を実施。引き続き、導入拡大を促進。 ○ 障害者割引乗車券のウェブ予約・決済については、鉄道事業者に対し、 導入に向けた働きかけを引き続き実施していく。 ○ また、令和5年3月18日に、関東圏において「Suica」・「PASMO」を 活用した障害者割引が適用されるICカードサービスが、 さらに令和6年春を目途にJR東海の「TOICA」を活用した同サービスが開始される予定。 9ページ目 3.(2)駅構内での案内図等による移動経路の分かりやすさ ・バリアフリールートの把握のしやすさ バリアフリー環境の課題 ○ 駅構内の経路案内の情報では、バリアフリールートの 把握がしにくいとの声が多い。  (駅構内に様々な形態の構内案内図等が分散しており、 どこで何を見ればよいのかが分かりにくい、 触知案内図も含め構内図が施設全体の構造を表示するなど情報量が多すぎて分かりにくいなど) ○ 全体の経路の中でのエレベーターやトイレと現在地との 位置関係を把握する必要性が改めて指摘。 <移動円滑化基準及びガイドラインの記載> ○ ガイドラインでは案内設備について、出入口における構内案内図を起点として、 誘導サイン等のサインシステムなどから構成される全体の中で、 経路の案内や誘導を行うこととされているが、バリアフリールートの 分かりやすい表示方法に関するポイントや具体的な記載、好事例の掲載はない。 <情報収集・調査等が必要と考えられる主な事項> ○ 構内図等によるバリアフリールートの表示方法、掲出位置等の状況、考え方 ○ シンプルにバリアフリールートを把握できる方法等に関する参考事例、 分かりやすい経路表示に係るデザインのポイント、課題 ○ インターネットによる情報提供との適切な役割分担 十ページ目 3.(2)駅構内での案内図等による移動経路の分かりやすさ ・経路誘導に関するサインシステム等 バリアフリー環境の課題 ○ 誘導サイン等については、複数の特性の当事者から、乗継ぎ時をはじめとして、 途中で見失ったり、複雑でわからなくなるとの声が聞かれている。 また、頭上、床下、壁面におけるサインやルート表示を望む意見の一方で、 混雑により、床下、壁面は見えにくくなるなどの意見も存在。 また、混雑に伴う人の流れにより、視覚障害者誘導用ブロックに沿って進めなくなる等 動線の交錯について不安が聞かれる。 発達障害の人からは、困りごと等の対応が可能な有人の場所の案内表記が少ないのではないかとの声も聞かれている。 <移動円滑化基準及びガイドラインの状況> ○ サイン表示の設置位置等について諸外国に比較して詳しく規定。 視覚障害者誘導用ブロックは一般旅客の動線と交錯しないことへの配慮、 エレベーター前は、当該設備の利用者以外の旅客動線との交錯に配慮が記載。 ○ 実際のサインや誘導用ブロックの配置等については、 旅客施設の規模・構造、利用者数、障害者等の状況など個別具体の要因により適切な配置が決定。 <基本的な考え方> ○ 個別具体の施設毎に、当事者の声を踏まえつつ、 専門家等も交えてサイン等の表示や掲出位置等について、 適切な整備や改修を行っていくことが基本。 <情報収集・調査等が必要と考えられる主な事項> ○ 事業者のサイン掲出位置等とガイドラインの適合状況、掲出の考え方 ○ 参考事例、分かりやすいサインの表示内容や掲出位置等のポイントや課題 <留意すべき事項等> ○ 混雑時の一般利用者による障害者の動線への交錯については、一般利用者に対する注意喚起等も重要。 十一ぺージ目 3.(2)駅構内での案内図等による移動経路の分かりやすさ ・車両内の情報提供 バリアフリー環境の課題 ○ 当事者は、車両内において、特性毎に降車や降車後の移動を円滑にできるように準備をしており、車両内の事前の情報取得のニーズが伺われる。車椅子使用者からは扉の開閉方向、精神障害者や高齢者からは駅間の必要時間や降車駅の情報など、情報提供の内容の充実の声が聞かれている。 <移動円滑基準及びガイドラインの記載> ○ 客室には次に停車する鉄道駅、行先、種別等について文字等により表示する設備を整備することを義務付け。標準的な整備内容として、次停車駅に加え、乗換情報、次停車駅で開く扉の方向等を表示することが記載。他方、駅間の時間や降車後の改札口等の情報までは記載されていない。 ○ 車椅子スペースに関して、当該スペースの識別や一般利用者の協力を得るための車椅子マークを車内外に掲出すること等の記載があるが、その他の車両内の情報提供については記載がない。 <情報収集・調査等が必要と考えられる主な事項> ○ 乗客の利便性向上の観点から、車両内の情報提供を充実している事業者も存在 ○ 車両内における情報提供の内容等に関する状況、考え方、情報提供の工夫に関する参考事例、車内の情報提供の課題 十二ページ目 3.(3)駅構内設備等に関する情報保障等に関する課題 ・改札口・改札窓口、券売機 バリアフリー環境の課題 ○ 複数路線の結節点である大規模な駅等では、乗継経路や改札口の複数設置も多いため、視覚障害者や聴覚障害者が通過するべき改札の特定や、経路改札のインターホン等での問い合わせに不安があり、特に聴覚障害者の方からは、文字や手話通訳による意思疎通が望まれている。 ○ 券売機の使い方の案内については、聴覚障害者にとって音声情報による対応が多いため、使い方が分からない場合に理解しにくい状況であり、文字や手話通訳による意思疎通が望まれている。 <移動円滑化基準及びガイドラインの記載> ○ (改札における案内)ガイドラインにおいては、乗換専用改札を除いて、改札口の位置を知らせるための音響案内装置を設置することが基本。付近の出口や路線情報等に関する情報の案内までは求めていない。なお、改札付近の案内に類する規定として、旅客施設周辺案内図を設ける場合、改札口など出入口に向かう動線が分岐する箇所での設置が望ましいとされている。 ○ (改札での問い合わせ)無人の改札口等については、視覚障害者、聴覚障害者等からの問い合わせに対応できるように措置を講ずる旨記載。具体的な方法や望ましい方法等は記載されていない状況。なお、触知案内図等の項目に、主に視覚障害者向けの観点で、時間帯無人の改札口や無人の旅客施設においては、職員とやりとりができるように通話装置を設置する旨記載。 ○ (改札種別の識別)ICカード専用改札、幅広の改札や乗換専用改札など改札口の種別や位置の判別については、昨今の改札種別の増加に伴う新たな課題であり、ガイドライン上の記載はない状況である。 ○ (券売機)問い合わせが必要な際に駅係員に連絡ができるようにインターホン等を整備することが望ましいとされているが、聴覚障害者の利便性の観点からの具体的な記載はない状況。なお、乗車券等販売所等の項目については、文字により意思疎通を図るための設備を備えることなど聴覚障害者とのコミュニケーションへの配慮を記載。 <情報収集・調査等が必要と考えられる主な事項> ○ 事業者の改札口や券売機の案内等に関する状況、考え方、改札の特定等に資する情報提供や案内の参考事例、案内等に係る課題 ○ 参考事例や課題等も踏まえた当事者の特性に応じた望ましい案内や問い合わせの方法 十三ページ目 3.(3)駅構内設備等に関する情報保障等に関する課題 運行情報 バリアフリー環境の課題 ○ 視覚障害者や聴覚障害者の人は、限定された音声や文字の情報を収集し、状況を予測して、次の行動の準備を行っており、運行情報は目的地に到達するために必要な情報であり、音声・文字による情報の充実のニーズがある。 ○ 発車前、列車の接近情報など連続的な情報提供に加えて、編成数等必要な情報提供が望まれている。移動経路全体にも関わる可能性もあるが、精神障害者の人からは、商業広告や注意喚起など様々な情報と運行情報が混ざり、必要な情報が分かりにくいとの声がある。 <移動円滑化基準及びガイドラインの規定> ○ 可変式情報表示装置(以下「表示装置」)や音声・音響案内により、発車番線、発車時刻、車両種別、行先をはじめとした運行情報を表示・アナウンスすること等を規定。(列車の接近情報等の記載はない)。 ○ 他方で、プラットホームにおける情報提供の内容として、文字や光による列車の接近の警告を義務付け。停止、通過、乗車可否、編成数、行き先、次停車駅名の情報について、音声や音響、文字・光で知らせることを標準的内容として規定(編成数は音声・音響案内のみ)。 ○ 結果として、表示装置の表示内容とプラットホームにおける情報提供の内容との整合が図られていないことなどにより、運行情報として伝達すべき情報が分かりにくくなっている可能性がある。 ○ また、表示装置の設置は、各乗降場に分流する位置のほか、改札口付近や乗降場、待合室など視覚情報を得て行動するのに判断するのに適当な位置に配置するとされているなど、プラットホーム上というよりも、乗降場より前段階での設置が基本的に想定されているものと思料。 <情報収集・調査等が必要と考えられる主な事項> ○ 運行情報の内容や情報提供のタイミング等に関する状況、考え方、運行情報の提供の工夫に関する参考事例、情報提供に係る課題 ○ 参考事例や課題等も踏まえた適切な運行情報の内容やタイミング 十四ページ目 3.(3)駅構内設備等に関する情報保障等に関する課題 ・音声案内等の聞こえやすさ バリアフリー環境の課題 ○ 複数の特性の当事者から、ホームや列車内の音声案内について、担当する駅職員によって音量や明瞭度、スピード等が異なるため聞こえにくいという意見や、列車の行先等の音声案内に別の音声案内等が重なり、聞こえないという意見が多く聞かれた。 <移動円滑化基準及びガイドラインの記載> ○ 運行情報の音声案内については、聞き取りやすい音量、音質、早さで繰り返して放送すること、音声・音響案内の干渉・錯綜を回避して、必要な情報が把握しやすくなるような計画が望ましい旨が記載されている。 ○ このほか、駅のホームにおける案内や音響計画に関する項目において、スピーカーの設置に当たっての注意事項や参考情報としての音案内を行う際の基礎知識等の記載がある。 ○ 音声案内の聞こえやすさの観点から具体的な指針となる内容にまでは至っていない。 <情報収集・調査等が必要と考えられる主な事項> ○ 音声案内等に関する教育・研修も含めた状況、考え方、分かりやすい音声案内に関する参考事例 ○ 望ましい音声案内の方法等に関するポイント、課題 <留意すべき事項等> ○ 音声・音響相互の干渉等の問題について留意する必要がある。 十五ページ目 3.(3)駅構内設備等に関する情報保障等に関する課題 ・駅名表示 バリアフリー環境の課題 ○ 車椅子使用者や聴覚障害者から、ホームドア設置等による環境変化もあり、車両内から停車時に駅名表示が見えにくいとの声が聞かれている。 <移動円滑化基準及びガイドラインの記載> ○ 駅名表示については、車両内の案内表示装置により、次に停車する駅名を表示することとされているが、停車時に当該駅の駅名表示をすることの記載はない状況。 ○ また、車内で到着駅を表示する場合を除き、駅ホームにおいて、車内から視認できる高さに駅名を表示し、その際は、どの位置からも視認できるよう配置に配慮するとあれている。 ○ 車両の案内表示装置がない場合、停車駅名が表示されない場合等に、ホーム上の適切な位置に駅名表示がなければ、駅名が視認できない可能性があると考えられる。 <情報収集・調査等が必要と考えられる主な事項> ○ 車両内表示装置の停車時の駅名表示に関する状況や考え方、望ましい事例、望ましい事例等を踏まえた表示装置における適切な駅名表示 ○ ホーム上の駅名表示の視認性については、視認できない具体的な状況や発生頻度等を含めて、当事者の声をさらに把握 <留意すべき事項等> ○ 駅名表示の見えやすさは、ホームの構造、車両位置、乗車位置によって、様々な組み合わせがあり、駅構内の表示の視認を確実にすることは難しい面が存在 十六ページ目 3.(3)駅構内設備等に関する情報保障等に関する課題 ・ホームにおける乗車位置等 バリアフリー環境の課題 ○ ロービジョンの視覚障害者や、知的障害者にとって、ホーム上で、様々な種別の列車の乗車位置を色分け等で表示する方法は分かりにくいという意見が聞かれているところである。 <移動円滑化基準及びガイドラインの記載> ○ 誘導ブロックについて、可能な限り、旅客の動線と交錯しないような配慮をしながら、シンプルな道筋、最短経路で敷設することが基本。 ○ 誘導ブロックの敷設については、歩行スペースの確保にも留意しつつ、階段やエレベーターの出口から最短の乗車位置へ誘導されることが一般的。また、ホームドア等が設置されている場合は、乗車位置番号等について点字等で開口部左脇に表示することになっている。 ○ 様々な障害特性に応じた分かりやすい乗車位置の表示方法等の記載はない状況。 <情報収集・調査等が必要と考えられる主な事項> ○ 普段の乗車位置の識別の方法、分かりやすい乗車位置の表示方法等について当事者の声をさらに把握 十七ページ目 3.(3)駅構内設備等に関する情報保障等に関する課題 ・ホームや移動経路における障害物、インターホン等へのアクセス性 バリアフリー環境の課題 ○ 駅構内の経路上の障害物の存在や、問い合わせや非常通報用のインターホンが使用できないなど経路上の安全性の確保等に関する意見が聞かれている。 <移動円滑化基準及びガイドラインの記載> ○ 柱等の障害物については、コントラストの確保や、柱などの構造物と干渉しないように配慮して視覚障害者誘導用ブロックを敷設すること、やむを得ず干渉する場合であっても、干渉部分を切り取ることとすること、衝突した際の安全性確保のためにクッションを巻くことが望ましい旨が記載。また、物件等を設置する場合も障害者等の支障にならないようにすることやコントラストの確保が望ましいとされている。 ○ 時間帯無人等の改札口や券売機、プラットホームにおけるインターホン等の設置が記載されており、障害者等が使用しやすい構造、分かりやすい案内表示等が求められているが、具体的な仕様等について記載がない。 <情報収集・調査等が必要と考えられる主な事項> ○ 経路上の障害物の状況、インターホンへのアクセスの支障事例について当事者の声をさらに把握 十八ページ目 3.(4)輸送障害や施設不具合等の事態が発生した際の情報提供等 バリアフリー環境の課題 ○ 視覚障害者や聴覚障害者をはじめ様々な特性の当事者から、輸送障害や設備の不具合等が発生した場合において、文字・音声情報による運転再開予定や代替ルートなどの情報提供の充実を求める声が多く聞かれている。また、実際に災害等が発生した際に状況の把握が出来ず、取り残されないか、不安な状態に置かれているとの声も聞かれている。 <移動円滑化基準及びガイドラインの記載> ○ ガイドラインにおいては、緊急時に、視覚障害者や聴覚障害者にも配慮し、緊急事態の情報を音声・文字表示によって提供できることが望ましいこと、車両の運行の異常に関連して、遅延状況、遅延理由、運転再開予定時刻、振替輸送状況など利用者が次の行動を判断できるような情報を提供することとされている状況。エレベーターについては、かご内の故障している旨の表示、外部連絡のための非常ボタン等の設置が望ましい内容として記載。 <情報収集・調査等が必要と考えられる主な事項> ○ 当事者にも配慮した輸送障害等に関する情報提供の状況、考え方、分かりやすい情報提供や当事者の判断に資する参考事例 ○ 輸送障害や施設の不具合等の事態が発生した場合における情報提供やコミュニケーションのポイント、課題 十九ページ目 3.(5)その他のバリアフリー環境の向上について頂いた御意見 バリアフリー環境の課題等 ○ 前述の課題のほか、乗継ぎの際のバリアフリールートの整備などバリアフリールートの拡大・複数化など今後の更なるバリアフリー環境の向上のための意見が聞かれている。 ○ 様々な特性の当事者が障害のない人等と同じように動ける・生活できるように、引き続きより望ましいレベルのバリアフリー環境を目指していくことが重要。 ○ これらの課題については、当事者の声も踏まえながら、事業者の整備の考え方や駅の敷地の大小、物理的な構造、整備の経緯等を踏まえた上で、今後、整備の水準や普及・啓発の内容を検討していく必要。 現地調査における当事者の声について ・バリアフリールートの整備について ・<エレベーターの整備について>(好事例)ストレッチャーの利用も考慮した大型・貫通式の例 ・バリアフリートイレの複数設置の好事例について(好事例)複数設置の例 (それぞれ写真を掲載) 二十ページ目 4.今後の進め方 今後のスケジュール等 ○ 今後、下記のとおり情報収集や整理を進め、令和5年度末頃までに最終的な取りまとめを行う ・ 課題ごとに事業者の整備状況や考え方等に関する基本的な情報収集、ヒアリング、意見交換等を実施 ・ 当事者の声をさらに把握する必要があるものについては、ヒアリング等を実施 ・ 利用者のニーズや、当該取組による移動円滑化の効果、対応の困難度等も考慮しながら、課題の優先順位や対応の方向性を検討  (「インターネットやICTによる情報提供」、「改札口、券売機、運行情報に係る情報保障」などを想定) 地域分科会の活用 ○ 当事者参画の促進に資する観点から、本中間整理を基に、試行的に特定の地域分科会において、事業者の協力も得ながら、施設の整備状況の確認や参考となる事例の収集等を行う機会の設定も視野。ここで得られた知見についても、必要に応じて、最終的なとりまとめに盛り込む。 テーマ別意見交換会の活用 ○ 対応の方向性や優先順位の検討に当たり、当事者の意見の更なる把握や意見の隔たりが大きい場合においては、認識の共有や適切な解決策の検討を図るため、テーマ別の意見交換会等を活用。 (資料おわり)