バリアフリーニュース 六十五号 令和4年7月1日 記事1 バリアフリー研修 職員向け を開催しました 香川県高松市 令和四年五月十七日火曜日 JR高松駅構内において、 高松市在住の四国運輸局令和三年十月以降新規採用職員と 四国地方整備局職員を対象とした視覚障がい者サポート研修を、 香川県視覚障害者福祉センター、あなぶきパートナー株式会社、 四国旅客鉄道株式会社、ことでんバス株式会社のご協力のもと開催しました。 本研修には職員十名が参加し、視覚障がい当事者講師による講義や、 バス乗り場ではバスを、高松駅構内ではホームや列車を使い、 疑似体験・介助方法等を学びました。 初めに、視覚障がい当事者講師による講義を聞き、日常生活や当事者の方から、 日常生活や公共交通機関等を利用する際の移動について、 どのようなことに困っているのか、 どのような支援が必要なのかお話しいただきました。 参加者は、視野狭窄・白内障状態の疑似体験ゴーグルを着用して 駅コンコースからバス乗り場へ歩きました。 バス乗り場にて、障がい者役とサポート役でペアになり バスを利用する人の介助方法を学びました。 その後駅構内に戻り、障がい者役とサポート役でペアとなってホームを歩いてから、 停車中の車両への乗降体験を行うとともに、 その時に必要な声かけやサポート方法を学びました。 体験して初めてわかる見えにくさ、そこからくる不安。 足元もおぼつかず、腰も引けてしまいます。 声かけや介助が、いかに安心につながるか、体験ではありますが、 参加者は身をもって実感できたようです。 高齢者、障がい者等、移動に困難を抱える方が、 安心して日常生活や社会生活を送ることができるようにするためには、 施設や車両の整備と併せて、自然に快くサポートできる環境づくりが重要です。 サポート方法だけでなく、心のバリアフリーについて考え、 高齢者、障がい者等の困難を自らの問題として認識するきっかけとします。 そういった点でも、本研修は職員が障がい者の不自由さを理解し、 どのようにサポートすればよいのかを学ぶことができ、 実際にバリアフリー関連の業務を担当する職員も多く参加しており、 体験して得た多くの気づきにより、更なるバリアフリー化推進の 重要性・必要性を再認識する良い機会になりました。 記事2 バリアフリー教室・バスの乗り方教室を開催しました 令和四年六月十三日月曜日に四国運輸局と香川運輸支局は、 高松市立亀阜小学校においてバリアフリー教室・バスの乗り方教室を開催しました。 教室には同小学校5年生八十八名が参加しました。 バスの乗り方教室では、校内に持ち込んだノンステップバスを使って、 ことでんバス株式会社からIC乗車券の使い方や 料金表の見方など基本的なバスの乗り方を教わり、乗車体験をしました。 さらに、バリアフリーに対応したノンステップバスの特徴を学び、 車椅子利用者のバス乗降介助の実演や バス内部における固定方法を見学しました。 バリアフリー教室では、全国脊髄損傷者連合会香川県支部の 車椅子利用者講師及び高松市社会福祉協議会職員の指導のもと、 車椅子利用者疑似体験と視覚障がい者疑似・介助体験を行いました。 車椅子体験では利用する人の大変さを実感し、 視覚障がい者疑似体験では目の不自由な方の介助方法を教わりました。 実際に疑似・介助を体験することで、 相手の立場を理解し協力することの大切さを学ぶことができました。 また、各教室では講師の方への質問が相次ぐなど、 小学生のみなさんの熱心さが感じられた教室でした。 記事3 交通消費者行政レポート令和3年度報告を発行しました 令和3年度の交通消費者行政をとりまとめた 交通消費者行政レポートを発行しました。 レポートは、行政相談、バリアフリーへの貢献による四国運輸局長表彰、 消費者行政インタビューの各概要と、 四国における交通バリアフリーの現状、 令和3年度における交通バリアフリー推進の取り組みを 紹介する内容となっています。 なお、本レポートは四国運輸局ホームページに掲載しています。 記事4 移動等円滑化促進方針 マスタープラン と基本構想についての連載 第2回 心のバリアフリー 計画制度と心のバリアフリー 設備などを整備することによりバリアを取り除いている例はたくさんあります。 しかしそれだけでは解決しないバリアもあります。 バリアには次の4つがあげられます。 物理的なバリア・制度のバリア・情報のバリア・意識のバリアです。 今回は意識のバリアについて、心のバリアフリーの説明をします。 国民誰もが、支援を必要とする方々、高齢者、障害者等の自立した日常生活や 社会生活を確保することの重要性について理解を深め、 自然に支え合うことができるようにすることです。 障害の有無に関わらず、お互いの理解を含め、 コミュニケーションを取ることが心のバリアフリーの実践であります。 心のバリアフリー を体現するための3つのポイントがあります。 1障害のある人への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという 障害の社会モデルを理解すること 2障害のある人及びその家族への差別を行わないよう徹底すること 不当な差別的取扱いをしない、合理的配慮を提供する 3自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションを 取る力を養い、すべての人が抱える困難や痛みを想像し、 共感する力を培うこと ユニバーサルデザイン2020行動計画より抜粋 市町村が作成する具体的な事業を位置づけた計画である 移動等円滑化基本構想でいう心のバリアフリーに関する内容は 事業の1つである教育啓発特定事業です。 市町村が面的・一体的なバリアフリー化の方針を示すものである 移動等円滑化促進方針マスタープランでは 移動等円滑化に関する心のバリアフリーの取組内容等は 必須記載事項となっています。 心のバリアフリーや心のバリアフリーの推進の取組内容等、 高齢者、障害者等の福祉に関する計画などで示している自治体もあります。 心のバリアフリーを体現するために 1障害の社会モデルの理解 従来の考え方は次のとおりであります。 障害は、個人の心身機能の障害によるものであり、 障害のある人が社会参加するためには、 自らの努力によって治療や訓練をして社会に適応できるように、 自身の中にある 障害 を克服することが求められる。 一方障害の社会モデルについては次の考え方です。 障害は、社会に多様な人がいることを考えずに作り出された 社会的障壁によって生み出されるものであり、 個人の心身機能の障害と社会的障壁の相互作用によって 創り出されているものであり、社会的障壁を取り除くのは 社会の責務である。 障害のある人が社会参加するためには、 障害を生まない環境づくりが求められている。 2障害のある人及びその家族への差別を行わないよう徹底すること 障害者差別解消法の2点を説明します。 不当な差別的取扱いをしないとは 障害のある人に対し、正当な理由なく、障害を理由として 差別することを禁止していることです。 合理的配慮を提供するとは 障害のある人から、社会的障壁を取り除くために 何らかの対応を必要としているとの意思が伝えられた時に、 過度の負担なく対応することです。 3バリアを感じている人のために自分は何ができるかを考え、 また積極的にコミュニケーションを取ってバリアを取り除くことを実践する 以上1から3が心のバリアフリーを体現するためのポイントです。 心のバリアフリーの理解に向けた取り組み 国民は、高齢者、障害者等の自立した日常生活及び 社会生活を確保することの重要性について理解を深めるとともに、 これらの者が公共交通機関を利用して移動するために必要となる支援、 これらの者の高齢者障害者等用施設等の円滑な利用を確保する上で 必要となる適正な配慮その他のこれらの者の円滑な移動及び 施設の利用を確保するために必要な協力をするよう努めなければならない。 とバリアフリー法第二章基本方針等第七条に示されています。 行動につなげるために幅広い教育活動や 理解を深めるために啓発・広報活動が重要になってきます。 市町村が取組む方法として、心のバリアフリーを 職員全体へ周知のほかに、計画・方針などの策定があります。 そうした取り組みを行うことにより心のバリアフリーに対する 理解が広がり、多くの方の実践に繋がります。 四国地方整備局・四国運輸局における 心のバリアフリー推進のための実施状況 令和3年度から障害の社会モデルについての 当事者によるセミナーを開催しています。 四国運輸局ではバリアフリー教室を開催しています。 四国内の小学校に出向き、講師の先生をお招きして、 車椅子や視覚障がい者の疑似・介助体験を してもらう教室を開催しています。 同時に、基本的なバスの乗り方などを 学習するバスの乗り方教室も開催しています。 四国技術事務所ではユニバーサルデザイン歩行体験を開催しています。 香川県高松市牟礼町にある四国技術事務所では、 車椅子での段差通行や白杖とアイマスクを使った 視覚障がい者体験などのユニバーサルデザイン体験ができます。 実際に、県職員の新採研修で来訪されることもあるそうです。 以上