すぽっとライト ナンバー五十七 D どんな時も M ものべがわエリアの3市が力を合わせて O おもてなしのこころでお客様を案内する、感動をお届けする 四国運輸局では、公共交通、観光事業者や利用者の方へのインタビューを行い、 貴重な意見や提言をいただいております。 今回は、ものべがわエリア 高知県 南国市、香南市、香美市 の魅力や 観光施設等の情報発信 プロモーションや国内旅行者、訪日外国人旅行者の 誘客のための受入環境整備、観光資源 コンテンツ の造成 磨き上げに取り組まれている 一般社団法人物部川DMO協議会 観光地域づくり法人 DMO  の事務局長 小笠原 由美さんにお話をお伺いしました。 貴法人が設立されるまでの経緯についてお伺いします。 平成二十八年6月三十日に任意団体として発足されました。 発足される前は高知市、南国市、香美市、香南市で構成されていた高知中央広域観光協議会がありまして、 この4市で誘客の取組を行っていましたが、地域経済活性化支援機構 以下レビック  と四国銀行、高知県や高知県のファンドなどが共同して、ものべがわエリアのDMCとして株式会社ものべみらい 以下ものべみらい が設立されました。 これをきっかけに当時の代表者が、ものべがわエリアでDMCとして活動するためには、 より広い視点と公の判断ができる団体 組織が必要であるという考えのもと、 一般社団法人物部川DMO協議会 以下物部川DMO協議会 が組織されました。 ものべがわエリアでは有名な観光スポットも多く、アンパンマンの作者ゆかりの地に建つ  香美市立やなせたかし記念館アンパンマンミュージアム、 日本三大鍾乳洞である 龍河洞、高知県立のいち動物公園 などがあり、 農業も盛んで多種多様なコンテンツを有しています。 そのコンテンツを活用して、自治体や観光協会、商工会、教育機関のほか、 市民、民間企業等をつなげる役割を物部川DMO協議会が担い、 地域振興を活性化させる取り組みを行ってきました。 DMCであるものべみらいとは現在も協力、連携関係にあり、地域の観光振興に取り組んでいます。 貴法人がマーケティング・マネジメントするものべがわエリアの魅力及びコンセプトをお伺いします。 親子一緒 3世代 に、笑顔でまた来たくなるものべがわエリアをコンセプトとしております。 高知県内でも大きな施設が集まっているエリアになっていまして、国の天然記念物である 龍河洞 や、 コロナ前はトリップアドバイザリーで一位になっていた のいち動物公園、やなせたかし記念館、 最近、設立されたものでいえば世界的にも有名な 海洋堂 スペースファクトリー なんこく などが 空港から片道三十分圏内に集約しているので周遊などが楽しめるエリアだと思っています。 物部川DMO協議会がもつ基本理念とは、どんな時も D 、ものべがわエリアの3市が力を合わせて M 、 おもてなしのこころでお客様を案内する、感動をお届けする O です。 これは職員全員が共有している理念です。   親子一緒 3世代 に、笑顔でまた来たくなるものべがわエリアをコンセプトに、 多様な関係者と合意形成を図り観光地域づくりを進められていると思いますが、 合意形成、関係者を巻き込むための取組についてお伺いします。 一般的なものでは、理事会や総会等で取組などを皆さんに知っていただくことです。 観光という面でつながりがあるので、各事業者さんと協力して観光商品を造成し、 観光協会や物部川DMO協議会を通じて販売しています。 観光の仕事プラス、高校や大学など学校関係の方にも会員に入ってもらっているので、 大学生などが授業の一環として、一年間を通してDMOの取組や観光商品をいっしょに造ったり、 地域の課題解決のテーマとして取り扱ってもらったりしています。 地域の住民の巻き込みについても、イベントに参加してもらうことにより知ってもらう機会をつくっています。 さらに、地域の住民の方に観光ガイドになってもらう取組を行っています。 地域住民の方に観光ガイドになってもらう取組についてお伺いします。 観光ガイドは各市の観光協会などがとりまとめを行っているのですが、 その三つの市が情報交換や連携する部分についてDMOが役割を担っています。 また、ガイドの育成にも力を入れており、各市の観光協会さんが新たにガイドを募集するときや、 育成セミナーを開催するときには、物部川DMO協議会も加わり協力しています。 さらに、育成セミナーなどでは各市の情報やエリア外の観光情報等を物部川DMO協議会が提供しています。 その育成セミナーの中で、ものべがわエリアでのユニバーサルツーリズムの取組情報や各観光施設、 宿泊施設等のバリアフリー情報、受け入れ先情報を組み込んでおり、 ガイドさんが実際に対応できるような研修を行っています。 研修資料には、ヤ シィパークの箇所にビーチ開催期間中にユニバーサルビーチの開催時期や 障がい者の方でも楽しめる取組を行っているという情報を掲載しています。 いちご狩りができる施設では、車いすの方でも利用できる等の情報を掲載しています。 バリアフリー化されている施設等の情報発信の取組についてお伺いします。 物部川DMO協議会のウェブページでもバリアフリー対応可能施設を紹介できるようにしていますが、 情報の出し方、方法について、動画で施設を紹介したほうがいいと専門家からアドバイスをいただいたので、 最近では動画を作成して情報公開するようにしています。 貴法人が掲げるコンセプトに対してのユニバーサルツーリズムとの関係性をお伺いします。 もともと、このエリアがファミリー層をターゲットとしていくエリアであったので、 ベビーカーの乗り入れやおむつの交換場所などの設備が整えられていました。 また、私がバリアフリー等の研修で教わった知識からも、このエリアにはハード面において 障がい者を受け入れられるポテンシャルがあるのではないかと感じ、 高知県が行う受け入れ環境の整備事業に参加してきたことがユニバーサルツーリズムに取り組むきっかけです。 また、物部川DMO協議会の基本理念である、 どんな時も D 、ものべがわエリアの3市が力を合わせて M 、 おもてなしのこころでお客様を案内する・感動をお届けする O とも一致していると考えています。 ユニバーサルツーリズムの取組事例についてお伺いします。 造成したコンテンツ及びバリアフリー対策を行った施設等 昨年度からナイトコンテンツの造成にも取り組んでおり、  ユニバーサルビーチ と 祭り を組み合わせた旅行商品を造成しました。 今年の5月から販売予定で、一般の方から現時点で予約も入っています。 ユニバーサルビーチはある程度、受け入れ環境が整ってきたところですが、 昨年度、車いすラグビーの選手の方に協力していただいて、ユニバーサルトレイルという 名前のついた道ができている山 高知県立甫希ヶ峰森林公園 で登山を経験してもらい、 山に登れると思っていなかった、初めてだ という感想をいただきました。 普通の車いすでは難しいですが、アクティビティ用の車いすであれば 登山も可能であることがわかったので新たな可能性を見つけられました。 また、私たちもそのような山があることを去年まで知らなかったので、驚きでした。 いちご狩りなどでもかなり昔から受入れをされている事業者さんもいらっしゃるので、 これからもどんどんエリアの魅力を広報できるように取り組んでいきたいです。 ユニバーサルということで、障がい者のみならず海外の方への対応も必要であると考えており、 特に食のバリアフリーについても取組を昨年度から始めています。 日本食は出汁文化でもあり、ヴィーガン対応には細かなところまで注意が必要です。 カツオ出汁などに慣れている私たちからしたら少し物足りなさを感じて不安になりますが、 カツオ出汁等を使わずに昆布出汁に変更することで、外国人の方の非常に喜んでくれたので安心したことがあります。 また、ちょっとした気遣いが喜びに繋がるという気づきを得られました。 令和2年から現在までのユニバーサルビーチの実施状況及び利用した障がい者の方の感想についてお伺いします。 今年度で4回目の実施になります。 去年は7月十四日のヤ シィパークの海開きの時にマリンフェスというイベントを開催しており、 その開催と併せてユニバーサルビーチを開催できました。 ユニバーサルビーチについては、開催している事業者がいて、 広報用の資料をヤ シィパークさんが作成し、物部川DMO協議会等が広報や当日の運営等を手伝っている形です。 体験した方からは 障がい者になってヨットを一人で操縦する体験ができるとは思っていなかった、 海でプカプカ浮くことができるだけでもほんとにありがたい、など喜びの感想をいただいており、 こちらが気負いして色んな道具を揃えようとしなくとも、今あるもので 工夫をすれば障がい者の方に楽しんでいただけるということが最近分かってきました。 お客様の意見は本当にありがたいと思っています。 実際にユニバーサルビーチとはどのような取組かお伺いします。 砂浜にビーチマットを引いて車いすでも乗り入れできるようにするのですが、このマットが高価なものだったりするのですよ。 当初は何か別のもので代用できないかと検討したのですがいいものがなかったので、そのマットを導入することにしました。 ユニバーサルビーチが始まったきっかけをお伺いします。 まず、目線としては車いすの方がビーチに入ることを考えました。 また、物部川DMO協議会の現在の代表が地域づくりなどに目線がいく人で、 バリアフリーに対する経験や知識、理解を有している方でもあったので、 ユニバーサルツーリズムに取り組む土台がもともとできていたことがあります。 上記の取組にあたってご苦労されたことがございましたらお伺いします。 ハード面に関しては、毎年の実施経験や利用者からの意見を踏まえて少しずつではありますが、 可能な範囲で道具等を揃えてきましたが、何よりも必要なものが当日の人手ですね。 とにかく、体力勝負なところがあるので人手が必要となります。 ありがたいことに、本社が県外にあり、高知県内で事業されている事業者さんなどが ボランティアとして毎年参加してくれるので、非常に助かっています。 物部川DMO協議会としましても、今後さらに参加してもらえる地元事業者さんや 住民の方を増やしていけるように広報等に取り組んでいきたいです。 多様な関係者を巻き込み、合意形成を図りエリアのマネジメント、マーケティングされることが 観光地域づくり法人 DMO には求められておりますが、ユニバーサルツーリズムの取組への各事業者の参入促進、 合意形成などで苦労なされたことがございましたらお伺いします。 各施設の方も当初は、うちでは対処できないかもしれない、など、少し弱気な発言もありましたが、 実際にモデル事業などで障がいのある方に体験をしてもらって、体験者 車いす利用者 の方が、 ここの段差が少し引っかかる、などのつぶやいたことが、次の時には直されていました。 実際、施設の方も少し直しただけという感覚であり、それほど大がかりなことをやったという意識はなく、 ただ、お客様の言っていたことを改善しただけ、という感覚でいると思います。 ただ、課題なのが宿泊施設で老舗であるほどエレベーターがなかったり、お風呂が昔ながらなものであったりだとか、 それはその宿泊施設の味であり、良さでもあるのでなかなか難しいところがあります。 なので、団体の障がい者の宿泊などについては他エリアに頼らないといけないのが現状ですね。 あまり感じたことはありませんが、各事業者さんもお客様をおもてなしするプロの方なので一般の方であっても、 障がいをお持ちの方であっても、お客様のニーズにお応えするということに違いはないと思います。 また、高知県が模擬体験等を含むバリアフリーの研修を毎年行っているので、 その研修に各事業者さんのご参加を促すことで、障がい者の受入れのソフト面での取組を行っています。 物部川DMO協議会としても、高知県が開催する研修に講師として招請される専門家の方と直接やりとりしており、 今年も聴覚障害の方の受入れ対応研修について相談しています。 今後の貴法人の目標、ロードマップ 観光地域づくり、各観光施設のバリアフリー化、 ユニバーサルツーリズムの取組等 についてお伺いします。 支援学校の教育旅行や福祉施設の旅行にも力を入れていきたいとは考えております。 昨年度は2校が当エリアに教育旅行に来ていただけました。 また各市が施設を改修する際には、ヤ シィパークの改修時と同様に、 専門家を繋ぐ立場として参画し、誰もが使いやすい施設になっていけばと思います。     目標実現のために四国運輸局に対して意見、要望についてお伺いします。 高知県では当エリア以外でもバリアフリー推進の取組を行っているので、 各地域の取組についてより多くの方に知ってもらえる、 伝える方法について今後ともご教示いただきたいです。 受け入れ環境の整備は物部川DMO協議会の役割であると考えていますが、 どうしても広報活動については効果的な方法がわからないので、今後とも情報の共有をお願いしたいです。 インタビューを終えて   おもてなしのプロとして、DMOを合言葉にお客様のニーズに応えたいとの思いで、 観光振興に取り組まれ、どのような問題や課題が生じても多様な関係者と 相談、協力、連携してチャレンジされていること、また、資金面などで施設環境 ハード面 の課題に対して、 受け入れ側の気持ち次第で対応できるとの考え、思い ソフト面  のもと創意工夫により観光地域づくり バリアフリー対策を含めて を進められていると感じました。 今後も、ものべがわエリアが観光客の皆さんから笑顔でまた来たくなるエリアとして 選ばれ続けられるように成長し続けてほしいと思います。 インタビュー実施日 令和6年4月二十六日金曜日 聞き手 森 高川 岡田 以上です。