2021年1月1日 更新
令和3年 中国運輸局長 年頭所感
明けましておめでとうございます。
謹んで新年のお慶びを申し上げますとともに、令和3年の年頭にあたり、皆様にご挨拶を申し上げます。
昨年は、東京オリンピック・パラリンピック開催など期待に胸ふくらむ年明けでしたが、春先からの新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界中に大きな影響が生じ、私たちの生活が大きく様変わりした一年でした。11月半ば過ぎから中国地方でも感染者が急増しており、新型コロナウイルス感染症はいまだ収束の兆しが見えませんが、改めまして一日も早く平穏な日々が戻ることを心よりお祈りしております。
それでは、新年を迎えまして、本年、中国運輸局が重点的に取り組む施策について申し上げます。
1つ目は、「運輸の安全・安心の確保」です。輸送の安全確保は運輸局の業務の根幹です。誰もが安全で安心して利用できるよう公共交通の安全確保や防災危機管理の強化を図ります。
2つ目は、「地域公共交通の確保・活性化」です。地域の日常生活に必要不可欠な交通手段である公共交通機関について、MaaSや自動運転といった新技術の活用も視野に入れて持続可能なものとするための取組みを進めます。
3つ目は、「観光による地域振興」です。観光は産業の裾野が広く、地域の多くの分野への経済効果が期待されます。新型コロナウイルス感染症禍による大打撃を受ける中、感染拡大防止との両立を図ります。
4つ目は、「生産性革命による産業振興」です。トラック・バス・タクシー、自動車整備、造船・舶用工業など当局所管業界の深刻な人手不足や将来の担い手不足を踏まえ、生産性の向上、物流の効率化や人材確保・育成の取組みを進めます。
以上を4本柱として業務に取り組んでいく考えですが、特に地域公共交通と観光の分野が、新型コロナウイルス感染症の影響により非常に大きな打撃を受けている状況にありますので、引き続きこれら二つの分野に注力してまいります。
まず、地域公共交通(鉄軌道、バス、タクシー、旅客船)については、新型コロナウイルス感染症禍の前から、中国地方は中山間地や離島が多く、過疎化・高齢化の状況も全国に先行しており、その維持が困難になってきている状況にありましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、更に大きな影響を受けております。一方で、地域公共交通は、緊急事態宣言下においても国民生活・経済の安定確保に不可欠な事業として休業要請の対象にもならず、事業の継続が求められ、利用者の感染予防の観点から減便を最小限としつつ、車内の消毒や換気など感染防止策を徹底いただき、従業員の感染防止策を含め多大なるご尽力を頂いており、改めて感謝申し上げます。
昨年4月以降の各交通モードの輸送人員・営業収入は、5月に大幅に減少した後、徐々に回復してきましたが、「前年度比2〜4割減」と足踏みの状態で推移しています。新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中にあって、今後もこの減少傾向が続いた場合には、便数や運賃、交通ネットワークについて、これまでと同様のサービス水準を維持することが困難な状況になることが見込まれます。
また、現在の新型コロナウイルス感染症禍において、テレワークによる勤務形態や通勤形態の変化、オンラインの活用の普及による個人の移動や生活形態の変化により、ビフォアコロナ時と比較して地域住民の移動需要が変化していくことが考えられます。
このような状況の変化を見極めながら、中国地方の地域公共交通を持続的なものとするため、行政機関と地域公共交通事業者が連携して、地域の事情・ニーズに応じた地域公共交通のあり方を検討してまいります。
昨年末に閣議決定した令和2年度第3次補正予算案等においても、地域公共交通事業者に対する支援を行うこととしておりますので、引き続き様々な方法で地域公共交通事業者に対する支援策を講じてまいります。
加えて、昨年11月末に地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の改正法や独占禁止法の特例法が施行されました。これらの法律により、事業者が共同して路線の再編や運賃の設定等を行いやすくなると考えておりますので、中国地方管内のバス路線を中心として、地域公共交通ネットワークの充実を促進してまいります。
次に、観光については、一昨年は全国の訪日外国人旅行者数が3,188万人と7年連続で過去最高を記録し、「海・島・船」の観光資源に恵まれた中国地方においては、国土交通省が取り組む「C to Seaプロジェクト」の一環として海事・海洋の魅力を発信するなど観光振興の取組みを進めておりましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大により状況は一変し、宿泊業や旅行業をはじめとする観光関連産業は大変厳しい状況に置かれています。
国内旅行者については、旅行控えの長期化や外出自粛の影響により、中国地方の日本人延べ宿泊者数(1〜9月)は対前年比約4割減、外国人延べ宿泊者数(1〜9月)は対前年比約8割減と大幅に落ち込みました。
こうした中、ウイズコロナ時代における「安全で安心な旅のスタイル」を普及・定着させること等を目的として昨年7月にスタートした「GoToトラベル事業」について、中国運輸局では、各県や商工会議所等と密接に連携し、感染防止対策の周知徹底や本事業への参加登録の増加等に努めました。その結果、地域の観光関係者から「観光客や売り上げが着実に増加している」といった声も聞かれ、本事業の効果を実感いただいているところです。
令和3年度においては、本年1月末までであったGoToトラベル事業を観光需要の回復が遅れている地域等への配慮や旅行需要を平日に分散させる仕組みを盛り込みつつ、6月末までの延長を基本とすることとなりました。併せて、「国の支援によるホテル、旅館、観光街等の再生」、「観光地等の受入環境整備」、「国内外の感染状況等を見極めた上でのインバウンドの段階的復活」等の政策を推進していくこととしており、これらの取組みを着実に実行し、中国地方における観光の再生に少しでも寄与できるよう努めてまいります。
中国運輸局としましては、新型コロナウイルス感染症の動向を注視しながら、適時適切な施策を講じるよう努めるとともに、中国運輸局があって大変良かった、おかげで中国地方が元気になったと実感していただけるような政策運営に努めてまいります。
結びに当たり、本年も中国運輸局の業務に引き続きのご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げますとともに、皆様のますますのご健勝・ご発展を祈念申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。