2024年1月1日 更新
令和6年 中国運輸局長 年頭所感
新年、明けましておめでとうございます。令和6年の年頭にあたり、御挨拶を申し上げます。
昨年は、5月に新型コロナウイルス感染症が5類へ移行して、国民生活が徐々に平常に戻り、広島県ではG7広島サミットが成功裏に開催され、国際協調や平和への気運が高まりました。一方、世界的に見れば、ロシアによるウクライナ侵攻は長期化の様相を呈し、イスラエルとパレスチナの紛争も発生するなど、世界情勢はなお混沌としています。あらためまして、一日も早く平穏な日々が戻ることを祈念しております。
本年、中国運輸局としては、
@「運輸の安全・安心の確保」
A「地域公共交通の確保・活性化」
B「観光による地域振興」
C「地域経済を支える産業振興」
を4つの使命とし、運輸行政・観光行政に係る施策を総合的に進めてまいります。
まず、「運輸の安全・安心の確保」について、運輸の安全・安心の確保は運輸行政の根幹であり、最大の使命です。令和4年4月には、北海道・知床半島沖で多くの観光客を乗せた旅客船が沈没しました。また、近年、大型車両の車輪脱落による事故が頻発しております。鉄道、バス、タクシー、旅客船などの公共交通を安全安心に利用していただけるよう、各種規制、運輸安全マネジメント、監査等を通じて、各輸送モードにおける安全安心の一層の向上を図ってまいります。
2つ目は、「地域公共交通の確保・活性化」です。管内では、ローカル鉄道や地方のバス路線など、少子高齢化・人口減少等による需要減と運転者等の人手不足により、地域公共交通の維持が大きな課題となっています。
国土交通省では、昨年、地域交通法を改正し、ローカル鉄道の再構築を目指す再構築協議会などの制度を創設するとともに、社会資本整備総合交付金による交通施設の整備、地域の多様な関係者による共創の取組などへの支援など、予算による支援措置も拡充しました。管内では、JR西日本の芸備線について、改正法に基づく再構築協議会設置の要請があったところであり、中国運輸局では、改正法や様々な支援策を活用しながら、こうしたローカル鉄道の再構築に向けた議論が進むよう、関係者との連携・協議を促してまいります。
他の交通モードにおいても、MaaSや自動運転、自家用有償運送、ライドシェアなど新しいモビリティサービスの動きも踏まえて、持続可能な地域公共交通の構築に取り組んでまいります。
3つ目は、「観光による地域振興」です。観光は地域の多くの分野への経済波及効果が期待される、成長戦略の柱、地域活性化の切り札であるとともに国際相互理解・国際平和にも重要な役割を果たしています。
国土交通省では、昨年策定した観光立国推進基本計画を踏まえ、本年は「持続可能な観光地域づくり」、「地方を中心としたインバウンド誘客」、「国内交流拡大」の3つの分野の取組を強力に推進してまいります。
昨年のG7広島サミットにより広島をはじめとする中国地方に関心が高まったことを好機として、観光産業の高付加価値化、持続可能な観光地づくりなど観光振興を図り、特に他の地方と比べて劣後しているインバウンドの誘客に力を入れます。来年には、2025年大阪・関西万博や瀬戸内国際芸術祭、さらには福山市で世界バラ会議が開催されることから、これらのイベントと連携して、中国地方へのインバウンドの誘客を進めてまいります。
4つ目は、「地域経済を支える産業振興」です。運輸・観光産業が将来にわたって魅力ある産業として発展するよう、生産性の向上、人材の確保・育成、環境対策等の取組を進めます。
中国地方は造船業や舶用工業など海事産業の一大集積地であるほか、バス、タクシー、トラック、旅客船、自動車整備、宿泊業等の運輸・観光産業が地域経済や雇用に大きく貢献しています。しかしながら、少子高齢化・人口減少やコロナ禍に伴う離職等により、人手不足は運輸・観光産業共通の課題となっております。特に、本年4月から自動車運転業務の時間外労働の上限が変更され、輸送力に制約がかかる2024年問題により、バス、タクシー、トラックの運転者不足が深刻化することが懸念されることから、中国運輸局ではバスやタクシーの運賃改定、トラックGメンによる荷主等への働きかけなど、運転者の労働条件改善に向けた取組を進めてまいります。
また、2050年カーボンニュートラル実現に向けた環境対策にも資するよう、トラック輸送から鉄道・船舶輸送へのモーダルシフトを進めてまいります。
その他、事業者による生産性の向上、働き方改革、人材確保に向けた取組を支援するとともに、中国運輸局においても、高等学校等への業界の魅力のアピールや、職業体験会、就職相談会等、人材確保に向けた取組を進めます。
中国運輸局では、現下の社会経済情勢に主体的に対応しつつ、所管する交通行政や観光行政において、適切な事業監督にとどまらず、多くの関係する皆様と連携し、地域づくり、まちづくりに積極的に貢献してまいります。
結びにあたり、引き続き、中国運輸局の業務に御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げますとともに、皆様のますますの御健勝・御発展を祈念申し上げまして、新年の御挨拶とさせていただきます。