鉄道部長 永松靖二
令和7年 年頭の辞
あけましておめでとうございます。
令和7年の年頭にあたり、ごあいさつ申し上げます。
鉄軌道、索道事業者の皆様におかれましては、日頃から地域の皆様の通勤や通学など日常生活を支える交通手段として、また、観光振興や地域振興、活性化の観点からも重要な役割を担っていただいていることにつきまして、心から敬意を表し感謝申し上げます。
昨年は、西日本鉄道天神大牟田線及び貝塚線、くま川鉄道湯前線、熊本市電などの線区において開業100周年を迎えられた節目の年でした。長年にわたり地域にお住まいの皆様や国内外からの観光のお客様などの移動手段として、地域交通を支えて来られた関係者のみなさまのご努力に深く敬意を表します。
近年、豪雨や台風などの自然災害が頻発、激甚化し、毎年多数の鉄道施設に被害が発生しております。昨年も、豪雨により複数の線区が被災しました。被災した線区では、一刻も早く、また安全に復旧することを目指し、鉄軌道事業者の皆様をはじめ、関係する皆様のご尽力により、速やかに復旧することができました。
一方、令和2年7月豪雨により甚大な被害を受けたくま川鉄道は、全線での運転再開をめざし、復旧工事が進められております。また、同じく被災したJR九州肥薩線は、昨年4月に開催された「JR肥薩線検討会議」において、鉄道での復旧を目指す方向性について基本合意がなされました。今後は令和6年度末の最終合意に向けて、観光利用、日常利用の施策の具体化、復旧方法及び復旧後のあり方などの課題について引き続き協議を行っています。九州運輸局といたしましては、引き続き関係機関と連携しながら、復興に向けて協議を行うとともに、できる限りの支援を行ってまいります。
鉄軌道を取り巻く環境は、人口減少や少子高齢化、生活習慣の変化などによるご利用の減少、人件費や燃料費、資材の高騰など極めて厳しい状況にあります。このような状況を踏まえ、国土交通省では、地域公共交通の再編に向けた関連法の改正を行い、令和5年10月にローカル鉄道を再構築していくための新たな制度を施行しました。九州運輸局といたしましては、この制度により、地域にお住まいの皆様や、沿線自治体、鉄道事業者など多様な関係者と連携、協働しながら、どのように地域の公共交通を守っていくかという観点にたって取り組んでまいります。
鉄軌道輸送の安全確保につきましては、運輸安全マネジメント評価により事業者の自主的な安全管理体制を構築するとともに、施設、車両の保守管理や運転取り扱いに関する監査、指導を引き続き実施してまいります。併せて、管内の鉄軌道事業者を対象として運転事故の発生状況など、安全運行に係る情報を提供するための「保安連絡会議」を開催するなど事業者への安全意識の高揚と情報の共有化を図ってまいります。そのほか、踏切道の安全対策、橋梁やトンネルなどの老朽化対策、鉄道施設のバリアフリー化などの課題につきましても、引き続き補助制度を活用するなど支援し、対策に取り組んでまいります。
鉄軌道、索道の最大の使命は輸送の安全確保です。各社局におかれましては、より一層の安全対策を講じ事故防止の推進に努めて頂きますようお願いいたします。九州運輸局としましても、安全安心で快適な輸送サービスの実現に向け、皆様のご理解とご協力を得ながら様々な課題に取り組んでまいる所存です。
結びに、鉄軌道、索道事業の益々の発展と皆様のご健康、ご多幸を祈念いたしまして新年のあいさつといたします。