海事振興部長 青柳 孝次
令和7年 年頭の辞
令和7年の新しい年を迎え、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
海事関係事業者におかれましては、日頃より海事行政の推進に格別のご理解とご協力を賜り厚く御礼申し上げますとともに、昨今の燃油価格及び物価の高騰、深刻化する労働力不足といった厳しい社会・経済情勢が続くなか、国民の暮らしと経済活動を支える社会基盤として事業を継続いただいていることに深く感謝申し上げます。
さて、九州には生活航路としての離島航路や、都市圏とを結ぶ長距離フェリーや湾内バイパス航路、観光コンテンツとしての遊覧航路など多様な旅客船が地域を支える社会基盤として日々運航されています。令和4年に発生した知床遊覧船事故を踏まえた「旅客船の総合的な安全・安心対策」は66項目中49項目の施策が進んでおり、本年には届出事業の登録制への移行や安全統括管理者・運航管理者の試験制度等がいよいよ始まります。安全・安心な船旅を提供すべく皆様とともに着実に取り組んでまいります。また、国庫補助航路の維持・改善に向けた支援やクルーズ船の振興等につきましても、地域活性化に貢献すべく引き続き取り組んでまいります。
また、内航海運は言うまでもなく物流の大動脈であり、環境に優しい輸送機関です。大規模災害時における被災地への物資輸送等においても重要な役割を果たしております。昨年6月、「みんなで創る内航」推進運動を開始しました。「働き方改革」「取引環境改善」「生産性向上」に資する取組を自主的に行うことを宣言された内航海運業者を、国土交通省がホームページ上で公表するという取組を進めております。物流の2024年問題への対応にあたりましても、モーダルシフトのなお一層の推進に取り組んでまいります。
港湾運送事業につきましては、魅力ある働きやすい職場の確保、事業者間の協業を促す制度の活用、人材確保や賃金向上の原資となる料金の適正収受など事業の継続的な発展のために必要となる取組を、港湾関係者と連携しながら推進してまいります。また、名古屋港のターミナルシステムがサイバー攻撃を受けて停止した事案を踏まえ、港湾における事業継続と情報セキュリティ対策の向上が図られるよう取り組んでまいります。
さらに、造船・舶用工業は日本の貿易や経済活動に必要不可欠な海上輸送を支える社会基盤であり、裾野の広い産業として地域経済や雇用にも貢献している重要な産業です。このような産業を支援するため、海事産業強化法に基づく事業基盤強化計画認定制度や、関係省庁と連携した内航船の省エネルギー化を目指す補助金、DX化に向けた技術開発の補助金などを実施しています。今後とも、造船・舶用業界の発展のため取組を進めてまいります。
以上、新しい年を迎えるにあたり各分野における施策、所信の一端を申し上げましたが、海事産業における人材の確保・育成をはじめとするこれら施策の実効性を高めるには、関係者の皆様と一体的な取組を進めることが必要不可欠であります。
今後とも、海事行政の推進に関し、皆様のご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。