《令和7年 年頭の辞》
新春を迎え、謹んで御挨拶申し上げます。
さて、九州運輸局では「運輸と観光で九州の元気を創ります」のキャッチフレーズの下、「持続可能な地域公共交通の実現」、「運輸の安全・安心の確保」、「観光による地域振興」、「人材確保と生産性の向上」という大きく4つの柱の業務を推進しています。この4つの柱に沿って、年頭の抱負を述べさせていただきます。
まずは、「持続可能な地域公共交通の実現」についてです。コロナ禍の収束に伴い旅客需要は回復しているものの、旅客人員はコロナ禍前まで戻らず、また物価高騰の影響もあり、交通事業者の経営状況は依然厳しい状況が続いております。加えて、運転者不足によるバスや鉄道の減便、廃線等の動きが各地で顕在化しています。そのため、地域住民や観光客がタクシーなどの移動手段を利用できない「交通空白」の解消に向け、国土交通省の総力を挙げて取組を進めてまいりました。また、九州内のローカル鉄道において、地域の関係者による今後のあり方等に関する検討が行われています。
九州運輸局といたしましては、地域が築いてきたネットワークを最大限に活かし、自治体や交通事業者の皆様と連携しながら、地域の移動手段の確保・公共交通の利便性の向上に取り組んでまいります。併せて、運転手が不要となる自動運転レベル4の実現を加速するため、技術的・財政的支援を行ってまいります。
次に、「運輸の安全・安心の確保」についてです。鉄道・自動車・海上交通などにおいては、輸送の安全を確保することが大前提です。鉄道分野については、多発したインシデントを踏まえ事故防止のための啓発活動を促進するなど、 鉄軌道に関する安全意識の高揚と安全運行に係る情報の共有化の取組をすすめてまいります。
自動車分野については、人身事故、死傷者数の削減、飲酒運転の撲滅等について定めた「事業用自動車総合安全プラン2025」の目標達成に向け、関係各所と連帯し取り組んでまいります。
海上交通分野については、段階的に進めている知床遊覧船事故にかかる「旅客船の総合的な安全・安心対策」の2年目の施策として、届出事業の登録制の移行や安全統括管理者・運航管理者の試験制度等がいよいよ始まります。引き続き監査・検査を厳格に執行し、安心して利用できるよう、取り組んでまいります。
次に、「観光による地域振興」についてです。着任して以降、九州各地の豊かな自然・食・文化等、様々な魅力溢れる観光コンテンツを体験いたしました。この素晴しい体験を共有いただけるよう、国内外から多くの観光客に訪れていただきたいと考えています。また、受入環境整備に関する支援とともに、この魅力的な観光資源を活用した取組を、地域の皆様と連携しながら一層強力に推進することで、観光による経済効果が持続可能な形で九州全体に行き渡るよう、しっかりと取り組んでまいります。
最後に、「人材確保と生産性の向上」についてです。九州運輸局では、昨年、関係行政機関等と連携し、運輸分野を紹介する「トラックのお仕事セミナー」、「めざせ!海技者セミナー」、「ジュニアメカニック2024@福岡」、「宿泊業魅力発信セミナー」など運輸・観光関係の雇用の維持・確保に向けた取組を行ってまいりました。本年も、各業界における雇用の状況等を踏まえながら、各業界の好事例の紹介や各種支援制度の一覧などお役立ち情報を提供し、運輸・観光における人材確保・育成に取り組んでまいります。
昨年は石破総理が就任し、「地方創生」を重要政策の一つとして掲げています。安全で、持続可能な地域交通の実現、そして観光振興は地方創生にとって重要であると考えており、関係者の皆様としっかりと連携を取りながら、職員一丸となって取り組んでまいる所存です。
結びに、九州の発展と皆様方の御健勝と御多幸をお祈りして、新年の御挨拶といたします。