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第2回観光交流促進における九州の物語の活用に関する検討委員会 議事概要

【日 時】
  平成19年12月4日(火) 14:00〜16:00

【場 所】
  博多都ホテル3階 孔雀の間

【出席者】
 [委員]田中委員長、煌竏マ員、三輪委員、レンゾ委員、島津委員、石田委員、 田代委員、橋口委員、砂田委員、町委員、内藤委員(代理・湯本) 秋山委員、中島委員(代理・横江)丸山委員、水嶋委員(代理・村岡)、 吉村委員、徳永委員、大黒委員

【議事概要】
 1.開    会
 2.委員長挨拶
 3.議   事
 (1)「九州物語」の発信力等の評価について(事務局より資料説明)
 (2)「九州物語」の具体的活用方策(案)について(事務局より資料説明)
 (3)自由討議


     委員の発言概要は以下のとおり

九州には地場産業地帯や地域というのが非常にたくさんあるが、例えば焼き物や伝統的な工芸品などはアンケートの設問の中になかったのか。


それに当たる具体的な物語が非常に難しかったので、附属資料にあるように有田の三右衛門という物語を出したが、ちょっと物語としては弱かった面はある。


これはよく調べられていると感心した。何も「まぼろしの邪馬台国」にこだわらなくても、サミットというとオーバーだが、これを機会に宮崎県の高千穂や熊本の阿蘇なども絡めてディスカッションをするとか、九州各県のそういうテーマを出してうまく「邪馬台国」に活用できればいいのではないか。


発表を聞いて非常に感心したが、アンケートだと九州に興味がある人が返信していて数値が高くなる傾向があるので、ちょっと引いて考えないといけない。  記念館にいる立場から見ると、今の観光客は、何か一般的な枠に自分が乗っかっていくような20年ぐらい前の旅行とは違って、自分と関係あるものを好んでいる。例えばうちには最近韓国からの巡礼者が多いが、それは26聖人の丘に韓国人の殉教者もいるということが伝わったからで、自分と九州に何かの関係があると思ったら、東京や京都や大阪からでも人が来るということだ。「見たことがないから」「珍しいから」というよりは人が求めているものに合わせて物語を提供する、あるいは今まで見えていないところを新しく物語として出すということが、この物語の発展にもつながると思う。


アンケートの結果を見た印象で言うと、九州は歴史とか伝統が古く、いろいろなものがあるところなので、全くのフィクションよりも、まず取っかかりとなるものがあり、それをテレビドラマや映画にするほうがほうがわかりやすく、みんなに印象づけられるのかなと感じた。 ほかの地域にいると「サザエさん」と九州はすぐ結びつかないので、もうちょっと九州ということがわかる取っかかりがあるほうが良い。伊藤伝右衛門邸も東京とか大阪ではすぐにはわからないのでキャンペーンをやるとかして育てていかないといけない。 映画もテレビもそうだが、ロケ地というのは後々印象に残るので、そこら辺をうまく活用できれば、永続性という話にも結びつく。  それから、九州はレンタカーとか自家用車がないとすごく不便なところがあるのでこのルートみたいなものをぜひ交通機関と結びつけてやっていただきたい。


この資料を見せていただいて本当によく調べていらっしゃると感心したが、こういう邪馬台国の伝説というのは宮崎の人にとっては意識が薄い気がするので、何か関連性があるようなものを発見するとか、知名度を上げるためのPRをするとか、まずは意識を高めることが必要だと感じた。


「まぼろしの邪馬台国」が映画化されるということを今日お伺いして、驚くと同時に大変うれしい。島原鉄道の島原外港から加津佐までが来年の4月で廃線になるということで、映画化がもうちょっと早かったらと思うと非常に残念だ。島原鉄道は「島原の子守唄」をつくった宮崎康平がやっていた時代もあり、たった一人の人間から物語が大きく広がっていく観光にとっては格好の素材であったのに、今まで生かし切れなかった。  この前、私がこのことで取材に行ったら、島原市内で地元の人に宮崎康平と言っても首をかしげられるような状況だった。我々は知っているのに地元の方が知らないこともあると思うので、そういう素材を交通運輸に生かしたり、観光に生かしたりするという意味では良い物語素材の一つだと思った。


私が東京、大阪、名古屋等で旅行会社の方々を中心にご意見を伺ったときには、九州は知名度はあるものの、1周おくれの観光地という感じでとられていた。そういう意味では、アンケート調査の「ぜひ行きたい」というパーセントが意外と高い感じで、行きたいというのと現実に来たというのは大分ギャップがあるような気がする。  私はハウステンボスに2年間勤めたが、隣町の長崎県波佐見というところに原マルチノの子孫という方がおられた。今は焼き物に携わっておられる方だが、九州にはそういう方がかなりいらっしゃるので、そういった子孫にまた行っていただくということも一つおもしろいやり方ではないか。  また、波佐見は焼き物体験などが結構人気があって、東京や大阪地区等からも人が見える。焼き物は物語にはそぐわないかもしれないが、「故郷忘じがたく候」の沈寿官とか、そういった部分も生かしていただきたい。


観光評価のときに首都圏あたりでは北海道だとか沖縄の評価が非常に高いが、まとめていただいた中身を見ると、九州は相当厚みがあることを実感する。これをきちんと発信していくのは大事なことだと思うが、我々現地で受け入れる立場としても、その期待を裏切らないように、来た人に感動を与える仕掛けを考えていかないといけない。  例えばこの中にある「点と線」で、JRの香椎駅から西鉄の香椎駅を通って香椎海岸を歩いても、現地には「点と線」のかけらもない。そういう中で、現地を訪ねて「ああ、来たな」と思えるようなものの整備も要ると思うが、それは人工的なものや、ちゃちなものになりがちなので、やはり語り部というかガイドというか、そういう人が訪ねて来た人たちにしっかり話をしていただくのが一番いいと思う。それについては長崎の例があるが、なかなかそういう状況までなっていないので、ボランティアでやるにしてもインセンティブ、あるいはボランティアさん自身を磨くなど、仕掛けをうまくしていかないといけない。  それから、九州の交通が不便という指摘について、我々は北海道とか沖縄に比べてそんなに不便なのかなと思っているが、九州の場合は入り口が複雑なので交通機関を使うのが非常に複雑になり、その辺がわかりにくいのだろう。そのあたりのわかりやすい発信を我々がもっと努力しないといけないと思っている。


私どものグループ会社で、最近新しい旅行商品をつくった。これは従来の団体バス等で行くメジャーな観光地とはちょっと違う、例えば波佐見や有田、鹿児島の坊津、高千穂、対馬とかでの体験と、ツアーガイドやボランティアガイドの方の話を聞くもので、少しずつ人気が出てきている。そういう意味でいくと対馬もいろんな歴史があるので、神話や歴史なども旅行誘致への有効性は十分あると思う。  邪馬台国については、私どもも10年ぐらいにわたって九州や関西でシンポジウムを行い、東京あたりからも数百名来ていただいていたが、やり尽くした感があるため今はやめている。12月2日には鹿児島市で西郷隆盛のシンポジウムをやったのだが、東京、大阪からは人があまり集まらなかった。人を動かして来てもらうというのはすごく大変なことなので、そういう面でのインパクトや構えが必要であり、「篤姫」には非常に期待している。


アンケートについて、一般とプロとの違いが少し出ていたが、やはり旅行業者としてはつくりやすい商品や既につくっている商品等が上位に来ていると感じた。  また、産業観光と物語というのはなかなかなじみにくいところがあるかもしれないが、例えば大分や長崎の造船、北九州の鉄鋼関係、また大牟田の炭鉱など、産業観光も入れていただいたらいいのではないか。


私ども旅行業者から見ると、物語だけの旅行ツアーというのは大変組みにくい。やはり現在の観光施設あるいは旅行商品を、物語と一緒にくっつけて考えていかないと難しいのではないか。また、先ほどから話があっているように、物語というのはただ行って見てもわからないので、案内の方の養成が必要だと思う。  それと、今、日本には海外からかなりの方が見えていて、特にお隣の韓国とは相互交流が行われて1日4万人という大変な人数の方が見えているが、そういう方たちに九州の物語をどう理解していただくか。朝鮮通信使が日本に来た道をたどるということもあるし、海外向けの物語を構築していくことも必要だと思う。  それから、物語を持っている各県や市が早くからPRをしたほうがいい。今年7月に鹿児島市内で大きな旅行関係の全国大会があったが、そのときも鹿児島県並びに鹿児島市、指宿市から見えて「篤姫」のPRをされた。今回の調査を見ても、テレビや映画には大変強い影響力があり、ロケ地あるいは行政の方が早くからPRに取り組んでいったところが物語の勝ち残りになると思うので、こういう取り組みをされる以上は、国土交通省関係の方にもぜひ後押し、PRをお願いしたい。


今私どもは、全国の方に九州に来ていただくために、九州まち歩きの素材を商品の中に落とし込んで全国キャンペーンを行っている。その中でどういうツアーに人気があるがというと、やはり「人」で、これは知名度の問題なのかと思うが、例えば北原白秋とか、いわゆる有名な方がかんでいるものがまず興味を引かれる。そして今、お客様の価値観が多様化しているので、みんなが知っている情報以上のこと、私だけのとっておき情報というのを非常に好まれる傾向にあり、そこでしか知り得ない地元ボランティアガイドの方の情報を持って帰るということを最終的には評価いただいている。  100の物語があれば100の人がおり、有名な方から無名な方を含めて、そこで人を表に出すようなPRをやっていけば、全国的にアピールしていくのではないかと感じた。


まちづくりを誘客に結びつけるには、物語の素材ができ上がって最終的にルート化していくのが大きなポイントで、道路事情、アクセス、2次交通の情報、さらに宿泊とか食事、お手洗いなども含んだ上でのルートづくりが必要だ。  また、商品化では、つくった商品をいかに発信し知ってもらうかということで、フィルムコミッションとかロケ地、テレビ等々を含めた部分が、動機づけの非常に大きな起爆剤になるため、そういう一連の流れについてマイルストーンを組んでやっていく必要がある。


旅の動機づけの手法として、テレビあるいは映画、小説というのは非常に有効な手だと思うが、九州のイメージとなると関西・中国地区ではそれ以外にも、やっぱり温泉であるとか、伝統工芸、陶器関係といったものに非常に人気がある。ただし、観光客の主体は個人型になりつつあるので、個人型が受け入れられるような仕組みづくりが非常に大切だ。特に2次交通とボランティアガイドの問題で、お客様のニーズが多様化しているので、ボランティアガイドでは、お客さんがその日の朝になって行きたいと思ったときにも受け入れられるような仕組みづくりが必要になる。


僕の認識では、2011年の九州新幹線開通というのが九州の大きな転換期になる。ここにある観光ルートは、そういう2011年をにらんだ上での九州の文化遺跡の財産目録みたいなものなので、新聞ではこれを土台に幾らでも企画展開ができるだろう。  いろいろ問題点が出ているが、前にも発言したように、これをいかに実施して成果に結びつけるかというのが今後の大きな課題になるだろう。広報としては新聞が第3番目と弱い立場だが、この資料を見て、九州の再評価という意味で全面的に協力して何かを生み出していければという一種の決意みたいなことを思った。


すごいものをまとめていただいたというのが第一印象で、やはり九州にはものすごくたくさんの物語があるということだと思う。ただ、このアンケートは、その中でも限られたものだけがピックアップされているので、九州というのはこういうイメージなんだということで固定化して見られてしまっている。これからは、それ以外の埋もれたものをどう引っ張り出してPRしていくかということが大きな課題になるだろう。  それに関連して言えば、来年の「篤姫」も決まった後に地元の皆さんが勉強し始めたところがあり、あまり知られていなかったという状況だ。物語は埋もれたものがたくさんあるが、地元の人がそう思ってないものもたくさんあるのではないか。これを生かしていくためには、地元側がどれだけそれを意識して、そして行政、民間を含めてどれだけそれを盛り上げられるかが課題になる。  もう一つ、産業観光ということで言えば、今度、経済産業省が全国の近代化産業遺産をピックアップして認定をする中に鹿児島も九州も沢山入っており、これを物語としてうまくPRする必要があると感じている。人を引きつけるという意味では、その遺産をつくった人、活躍した人を絡めたほうが有効になる。近代化産業遺産プラス人という形で展開すれば、観光商品になっていくのではないか。  また、今後こういったものを九州物語としてまとめて定着させていくためには、やっぱり何か組織が必要だ。今後九州広域でこれを運営するときに、だれがどういうふうに展開し、フォローしていくのかということについてもご検討いただきたい。


325件という数字のすごさを改めて感じるが、これにこだわることなく、例えば冒頭に申し上げた焼き物や装飾古墳など、新しい物語づくりに励んでもいいのではないか。これは当然、地域の発展にもつながる話であり、新しい切り口をもってどう見ていくかというのは非常に大事な部分だと思う。  それから、先ほど来、邪馬台国というのが出てきているが、語り尽くされた邪馬台国かもしれないが、そこで問題が途絶えたというのではなくて、そういう中でさらに新しい魅力をどうつくっていくかだ。これは行政にも責任があり、九州という地域全体が邪馬台国にどうかかわるかという構えがない。例えばそれぞれの県に邪馬台国及びそれに並行するような時代の何かがあったら、各県で一斉に1カ月なり2カ月やって、来た人たちはその商品に乗って南は鹿児島から北は福岡まで歩いて見るとか、そういうことを発想したときに、広い意味での行政の協力みたいなものが必要だ。そういうことがあらゆる物語について言えるのではないか。なかなか商品化できそうもない物語もあると思うが、そういう幅広の取り組み方が新しい切り口として今後出てくるのではないかと思う。


ボランティアガイドの養成が必要ではないかというご意見もあったが、私も同感だ。観光案内をするときに、各地の郷土の歴史とかを重点的にお話しされるが、ガイドブックに書いてある一通りの案内だけではなくて、そこでしか聞くことができないようなロマンス、悲恋話、または物語の裏話や、ガイド自身が実体験したこと、つまり、その場に行かないと聞けないような話をすることが大事だと思う。  さらに、その場所に行かなくてもお客様にわかりやすく適切に伝わるようにプレゼン能力を高められるような研修会、おもてなしの最低限度のマナー的な研修会なども必要だろう。ガイドの育成というのはぜひ取り入れていただきたい。


4.その他
  次回の委員会は2月ごろを予定
5.閉会

【主な配付資料】
 ○議事次第  
 ○配席図  
 ○出席委員名簿  
 ○「九州物語」の発信力等の評価について……資料1
 ○「九州物語」の具体的活用方策(案)について ……資料2

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