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第1回観光交流促進における九州の物語の活用に関する検討委員会 議事概要

【日 時】
 平成19年7月23日(月) 14:00〜16:00

【場 所】
 博多都ホテル3階 孔雀の間

【出席者】
 [委員]田中委員長、古川委員、煌竏マ員、佐木委員、梶尾委員、三輪委員、
      レンゾ委員、島津委員、石田委員、田代委員、橋口委員、納富委員、
      砂田委員、坂梨委員、町委員、内藤委員、秋山委員、中島委員、
      丸山委員、水嶋委員、吉村委員、徳永委員、大黒委員

【議事概要】
 1.開会
 2.九州運輸局長挨拶
 3.委員紹介
 4.委員長挨拶
 5.議事
   (1)設置趣旨、検討内容、スケジュール等について(事務局より資料説明)
   (2)観光の現状、物語の観光における役割について(事務局より資料説明)
   (3)物語を活用した観光交流促進における主な課題について(事務局より資料説明)
   (4)自由討議
      委員の発言概要は以下のとおり


私の『復讐するは我にあり』は観光資源になりそうにないが、物語の主人公が長崎県五島の中通島出身の復活キリシタン云々で、この春に中通島に行ったら、関東、関西あたりからの観光客が増えていた。世界遺産として長崎県内の教会に光が当てられたこととも関係があるだろうが、多少救われた思いがした。
また、私は北九州市門司区に住んでいるが、九州の観光というときには関門海峡、下関、山口県抜きでは語れない。例えば壇の浦の平家滅亡の物語や、巌流島の物語、維新戦争において外国船に大砲を撃ったとかいろいろなことがあるので、ぜひ関門ということで頭の中に入れておいていただきたい。


九州で『海賊八幡船』という映画をつくったときに青島でロケをやったら、大川橋蔵のファンが観光バスで毎日3万人も来た。『佐賀のがばいばあちゃん』の例でもわかるように、映画というのは、やり方によって非常に媒体としての効果がある。
また、一昨年の『男たちの大和/YAMATO』は広島で、その前の『ホタル』は鹿児島で、それぞれ県を挙げて協力をいただいたことが大変なヒットにつながった。映画の場合は、地元の方と制作サイドが一緒になって同じ情熱で動けば必ず成功すると思うが、しっかりしたものがなければ一過性で終わってしまうことにもなる。


私は九州脊梁の山を舞台にした話も書いているが、こういうものは映像化が伴わないと世間の認知が高まらない。ブレークさせたいということであれば、ある程度大きなプロジェクトにすることが必要だ。
この九州物語委員会の存在意義は、一つ一つの物語がブレークさせるに値する価値があるものか、それが相乗的に観光客を呼べるものに育てていけるかどうかという可能性まで含めて考えていくことである。


おかげさまで『佐賀のがばいばあちゃん』はメディアミックスでうまく展開しているが、『がばいばあちゃん』の場合はまさに物語が先にあり、ソフト優先という意味で非常に恵まれている。しかし一方で、物語を形で覆おうとしても何も残っていないので、これからどのように形をつくっていくのかということが求められている。例えば、そこに行けば「がばいばあちゃん」的な話をしてくれる人がいるとか、貧乏だった時代の何かを懐かしむことができるようなものを準備するようなことが必要になるだろう。
九州というのは、古代から、また近世・近代にかけていろいろな場面で日本史や世界史の中で意味のある経験をしているので、そのおもしろさを伝えるツールさえあれば何とかなると思う。新しく大きな箱物をつくることで人を引っ張ってくるのではなく、それを語る人を準備することによってお客様に魅力を感じてもらうという、今までの観光に全くなかったものを提案することが形につながっていくのではないか。 この委員会で何か新しく共通でまとめられて、そのツールを使って一人でも多くの人に来ていただけるようになればいいと思う。


近ごろの観光客は、テーマ性を求めて動く部分があると思う。例えば九州では焼き物という大きなテーマがあるが、焼き物だけではなくて、陶石はどこでとられているか、絵の具はどこでつくっているのか、柿右衛門さんの筆はどこでつくっているのかという、焼き物を支える裏方の部分、黒子の部分にまで多くの観光客が来ている。私はこのようなあり方を応用して博物館で見せていこうという取り組みを考えている。
私は世界遺産の特別委員会の委員もしているが、今回の長崎キリスト教遺跡は熊本天草などと一連性があるにもかかわらず両者の行政の連携がとれていない。観光や集客におけるマイナス面が大きいと感じる。行政同士がしっかりとした連帯性を持って提案していくことも非常に大切だ。この九州の物語づくりの中でも、同じようなテーマがあれば、それについて各地域が協力しながら一本化していくような取り組み方が必要である。


例えばバスガイドが説明するような話ではなく、その地域の人々が話しているストーリーを聞きたいというような非常にローカルな話が魅力を持つ時代になっており、不便なところであっても人は求めてわざわざ見に来たりするという、以前にはなかった流れができているように感じる。こういう人が何を求めているかというと、テーマ性や、いやし、あるいは宗教の歴史であり、九州の歴史にはキリスト教の関係が非常に強い。
九州のそれぞれの場所で、ここにしかないもの、そこまで行かないと聞けない、そこまで行かないと体験できないものを探し出すとともに、そのつながりがわかるように、それらを連携させていく必要がある。


私自身、今現在「九州の100冊」という連載をやっているが、皆さんの話を聞きながら反省したのは、物語を個別に書きながらも、それをつなげる作業をやってこなかったことだ。今この委員会がやるべきことの一つは、そういったたくさんの物語をさらに物語化していくことだろう。それとともに、やはり最後は、例えば高倉健に「檀一雄物語」をさせるようなことを東映に働きかけるなど、「形」をいかにつくるかということもかなりシビアに考えていくべきだと思う。せっかくこれだけのメンバーがいるのだから、そういうこともやっていいのではないか。


筑紫委員のメッセージのように物語に関して申し上げたいことは山ほどありますが、旧伊藤伝右衛門邸は、筑豊のイメージを変えるために頑張りたいという地元の女性たちの運動の中から出てきたものだ。これを形にしていく段階では、ディスプレーの仕方、建物の中の文物の見せ方、宣伝のやり方も含めて砂田委員にお願いしたところ、休日には3,000人以上も入るほどブレークした。また、メディアミックスということで、活字媒体はもちろんドキュメンタリーや映画の制作を模索しているところです。
私は、地域というのはイメージが最大の勝負だと思っているが、今回のブレークによって、嘉穂劇場とあわせて、飯塚はもっと文化の懐が深い地域でありロマンあふれるストーリーが存在したということを全国的に発信できる仕掛けができた。何もないと思われてきた地域で文化の掘り起こしをやろうという地元の人たちの思いを形にしていくお手伝いがしたいと思う。


私がお客様をご案内する際には、それぞれの県に残っている物語などをお話しする機会がたくさんあった。必ずご紹介するのは知名度の高いものが多く、鹿児島では桜島の概要や西郷隆盛の話、宮崎では神話の国というキャッチフレーズもあるように、神様の話やどうして宮崎が新婚旅行のメッカになったのかという話などをして、最後に物語にちなんだ情緒豊かな歌を歌って好評をいただいていた。
また、例えば鹿児島や長崎では戦争の悲惨さをお客様にお話しするが、そのようなメッセージ性というのもポイントだろう。


来年のNHK大河ドラマ「篤姫」は、鹿児島県知事を会長とする誘致の会をつくり、47万人の署名を集めたりしたことで、地元の熱意が伝わって実現した。新たな資源が増えたので、今後につなげていけるのではないかと思う。
また、現在、九州の近代化産業遺産の世界遺産登録について各県が一緒になって推進しているが、1カ所だけの近代化遺産では非常にスケールが小さい。近代化というのは、一つの流れの中で日本が近代化していった大きなストーリーなので、九州全域を結ぶことによって壮大なスケールのストーリーになるだろう。また、このときに遺産だけではなくて、その遺産をつくった人たちの情熱を伝えることによって、より価値の高い、人を呼べるものになるのではないかと思う。そういった人や情熱についても、この委員会の中でテーマとして取り上げていただきたい。


九州のことを九州で放送するのはわりと簡単だが、九州のことをどう全国放送に乗せていくかは、一ひねりが必要となる。大河ドラマや朝ドラは観光的にもかなりインパクトがあるが、九州が舞台になることは十何年に一回程度だ。全国的に“物語を意識した旅を”というムードを高め、歴史や伝統のある九州の地域的な優位性を生かすような形で、全国放送する際に取り上げやすくするという観点も必要だ。
それから、先ほどからお話に出ている「最後には形に」という話でいうと、例えば東京から九州に来ればそれなりにお金がかかるので、せっかくなら三、四泊してあちこち見て歩きたいというのがみんなの気持ちだろう。そこで、こういうところをこのように回ればいろいろと見て回ることができるという、何かアクセントのついたコースをうまく呈示することも考えていただきたい。


運輸局と一緒に九州遺産のプロジェクトをやっている中で、近代化遺産の背後に必ず人が見えるということがすごくおもしろかったので、今それを追いかけるような形で毎週一人ずつ調べている。例えば九州で反射炉というと薩摩と佐賀のものが有名だが、実は安心院にも賀来惟熊(かくこれたけ)という人が個人でつくった反射炉がある。しかし、これは地元でもあまり知られておらず、掘り起こしの必要性を感じる。彼のいとこに当たる賀来飛霞(かくひか)の功績も南方熊楠や伊藤若冲と比較できるほどのすごい価値を持っているのにまだ光が当たっていない。人物という特定のテーマではあるが、まだまだたくさんあり、しかもそれは有望だ。


 6.その他
  次回の委員会は11月ごろを予定

 7.閉会

   【主な配付資料】
   ○議事次第  
   ○九州物語委員会委員等名簿
   ○委員プロフィール
   ○設置趣旨、検討内容、スケジュール等について (資 料)1
   ○観光の現状(観光の動向) (資 料)2-1
   ○観光の現状(観光施策の動向) (資 料)2-2
   ○物語の観光における役割 (資 料)2-3
   ○物語を活用した観光交流促進における主な課題(案) (資 料)3

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