2019年3月14日 更新
平成30年度 交通実践セミナーin広島
近年、大規模災害が多く発生しており、災害時にどのように移動手段を確保していくか、平時からどのように 備えておくかということは重要な課題です。このたびの災害での取組等を踏まえ、災害時における対応や災害への 備えとして必要な公共交通サービスについて考える契機とすることを目的として、平成31年2月12日シェラトングランドホテル広島において、 「交通実践セミナーin広島」を開催しました。
当日は、管内の地方公共団体や交通事業者など全国から約140名の方々にご参加いただきました。
中国運輸局では、今後もこのようなセミナー開催を通じ、地域の皆さまとともに課題解決に取り組んで参ります。
〇プログラム(83KB)
《事例紹介》「平成30年7月豪雨災害における渋滞・交通対策」
呉市都市部交通政策課 橋村 隆彦 課長
災害発生直後には、呉市内の幹線道路ネットワークが完全に寸断され、広島方面への向かう唯一のルートにおいて 大渋滞が発生する事態となりました。市民生活や経済活動の復旧に向け発足した「呉市渋滞・交通対策チーム」によって実施された、 交通供給容量を拡大する交通システムマネジメント(TSM施策)と交通需要を抑制する交通需要マネジメント(TDM施策) について説明いただきました。
《事例紹介》「平成30年7月豪雨災害におけるバス輸送の取組み」
広島電鉄株式会社バス事業本部業務課 奥田 雅史 課長
被災直後、広島市東部から呉方面にかけては土砂崩れにより道路が寸断されてしまい、当初バスの運行は困難な状態でした。 バスの運行再開後、道路渋滞により定時通りの運行ができない中、臨時ダイヤに対応した災害時特設ページの開設や 地域公共交通情報ポータルサイト構築など情報発信に取り組まれたことについて紹介いただきました。
《事例紹介》「平成30年7月豪雨災害における広島地区の鉄道代行輸送の取組み」
西日本旅客鉄道株式会社広島支社営業課 阿津地 忠 課長代理
中国ジェイアールバス株式会社運輸部営業課 淺原 賢二 課長
豪雨災害により、広島地区の鉄道では山陽線の海田市以東、呉線、芸備線の全線で長期運行不能となる 広域の被災を受けました。このような中活躍した、緊急輸送バス・鉄道代行バス・JR西日本宮島フェリーによる 緊急輸送船・山陽新幹線による代替輸送についてご説明いただきました。なお、バス輸送においては、 中国地区のほか北海道・関東・関西・九州にわたる全国各地の事業者の支援を頂き、過去最大規模の 鉄道代行輸送が行われたことが説明されました。
《事例紹介》「平成30年7月豪雨災害における旅客船輸送の取組み」
瀬戸内海汽船株式会社航路事業部 内堀 達也 部長
呉〜広島間の主要な移動手段であるJR、バス路線が土砂災害により運行不能となったことから、代替ルートとして活躍した 海上輸送について紹介いただきました。
緊急輸送に係る各公共交通モードによる輸送力供給の調整を一元的に行う組織整備、 災害時の各輸送モードの運行(運航)状況を一元的に把握・発信するシステムの構築などを 今後の課題として挙げられています。
《講演》「災害時こそスマホで知りたい!公共交通情報発信の現状と広島での挑戦」
東京大学生産技術研究所瀬崎研究室 助教 伊藤 昌毅 氏
公共交通の情報化などを専門とし、オープンデータやMaaSなど様々な分野で国土交通省と関わってこられました。 豪雨災害時には、JR呉線の代行バスの位置情報をネット検索できるサービスの提供にご尽力いただきました。 セミナーでは、普段からWebやオープンデータなどを発信する体制づくり、全国でノウハウを共有しあうネットワークづくり、災害時にも情報を検索できる技術開発などを 今後の課題として挙げられています。
《講演》「大規模災害に"めげない"公共交通サービス〜平成30年7月豪雨の経験から考える〜」
呉工業高等専門学校 教授 神田 佑亮 氏
公共交通利用促進や観光活性化などを専門とし、中国地方を中心とした多くの地域公共交通政策に携わって来られました。 豪雨災害時には、災害時BRTの運行、代替バス運行の情報提供やマイカー相乗り促進など様々な活動にご尽力いただきました。 広島県は交通途絶のリスクが高いことを踏まえ、他機関も含めた公共交通BCPを意識するなど事前の備えが重要であることを 解説していただきました。
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