2024年4月24日 更新
標準的な運賃及び標準貨物自動車運送約款等について
令和6年3月22日付けで、新たなトラックの標準的な運賃及び標準運送約款を告示しました!
〜持続可能な物流の実現に向けて、取引の適正化・労働条件の改善を進めます〜
トラック運送業は、他産業と比較して、長時間労働・低賃金の傾向にあり、労働条件の改善が喫緊の課題となっており、「2024 年問題」への対応が急がれる中、賃上げ原資確保に向けた取組を早急に進める必要があります。
こうした中、令和 5 年 6 月に「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」でとりまとめられた「物流革新に向けた政策パッケージ」においては、貨物自動車運送事業法に基づく 「標準的な運賃」について、荷主企業等への周知・徹底を強化するとともに、荷待ち・荷役に係る費用、燃料高騰分、下請けに発注する際の手数料等も含めて、荷主企業等に適正に転嫁できるよう、今年中に、「標準運送約款 」や「標準的な運賃」について所要の見直しを図ることとされました。
加えて、同年 10 月の「物流革新緊急パッケージ」においても、現下の物価動向の反映や荷待ち・荷役の対価等の加算による「標準的な運賃」の引き上げについて、年内に対応することが改めて示されました。
こうした問題意識の下、同年8月から、国土交通省、経済産業省、農林水産省等の行政機関、学識経験者、荷主団体、物流事業者団体等を構成員とする「標準的な運賃・標準運送約款の見直しに向けた検討会」を設置し、「標準的な運賃」及び「標準運送約款」の見直しに係る論点整理と方向性について議論を行い、同年12月、[1]荷主等への適正な転嫁、[2]多重下請構造の是正等、[3]多様な運賃・料金設定等を見直しの柱とする提言を公表しています。当該提言を踏まえた告示の見直し案について、本年1月10日付けで運輸審議会へ諮問しました。
同審議会における審理及び2月29日付けの同審議会からの答申を踏まえ、令和6年3月22日に新たな「標準的な運賃」及び「標準運送約款」を告示しました。
今般の見直しは、物流の持続的な成長を確保するため、現行の商慣行を前提とすることなく、これを是正し、実運送事業者が、健全な事業運営のために必要な運賃を収受できる環境整備を目的として実施するものです。
今後は、トラック運送業における取引の適正化を通じて運転者の労働条件が改善され、持続可能な物流を実現できるよう、トラック事業者及び荷主向けに広く周知等を行ってまいります。
※「標準的な運賃」は、実運送を担うトラック事業者が、法令を遵守して健全な事業運営を行っていく際に、自社の適正な運賃を算出し、荷主との運賃交渉に臨むに当たっての参考指標として活用するため、平成 30 年に創設された制度です。各トラック事業者は、新たな「標準的な運賃」を活用して、原価計算を行い、自社の適正な運賃水準を算出の上、荷主との運賃交渉に臨むことが大切です。
※「標準運送約款」は、トラック事業者が荷主等と締結する運送契約のひな形であり、平成 29 年には、運送の対価としての「運賃」及び運送以外の役務等の対価としての「料金」を適正に収受できる環境を整備する観点で見直しが行われ、今回、荷待ち・荷役作業等の運送以外のサービス内容の明確化等が行われました。各トラック事業者が、見直し後の約款の規定を順守するべく、荷主と契約条件の見直しに向けた交渉を行うことが大切です。