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東北運輸局 > バス・タクシー・トラック > 物流の「2024年問題」とは

物流の「2024年問題」とは印刷用ページ

 トラック事業においては、2024年4月から働き方改革関連法施行により時間外労働の上限(休日を除く年960時間)規制等が適用されます。この規制は、「2024年問題」と称され、とりわけ他の業態よりも労働時間が長いとされるトラック事業については、労働時間が制限されることで、@1日に運ぶことができる荷物の量が削減、Aトラック事業者の売上げ・利益の減少、Bドライバーの収入の減少、C収入の減少による担い手不足などが懸念されているところです。

2024年4月から何がどう変わるのか

具体的にどのような問題が起こるのか

  • 物流業界全体に及ぼす影響として・・・
2024年問題においてはドライバー不足や輸送力の低下が懸念されており、2030年には輸送力の供給不足により
「全国で約35%の荷物が運べなくなる」(※1)
と試算されています。
東北地方をはじめとする地方部においてはその影響はさらに深刻です。
東北六県では全ての県において全国平均を上回る供給力不足が予想されており、平均で「約41%」もの貨物が
このままでは運べなくなってしまう可能性があるのです。
(※1:出典 株式会社野村総合研究所「第351回NRIメディアフォーラム」(令和5年1月19日)
「トラックドライバー不足時代における輸配送のあり方 〜地域別ドライバー不足数の将来推計と共同輸配送の効用〜」)

  • トラック事業者の場合・・・
・ドライバーの拘束時間の減少
特に長距離輸送を行う業者では長時間労働が発生しやすいので、今までどおりに物が運べなくなる、もしくは法を遵守した経営を行うことが困難な状況になると予想されます。

・売上、利益の減少
1日に運ぶことのできる荷物の絶対量が少なくなり、利益の減少につながります。運賃を上げれば価格競争に敗れて顧客離れが起こる恐れもあるため、安易に値上げをすれば良いということにもいきません。

・ドライバーの収入減少
残業時間が規制されれば、その分ドライバーが受け取れる残業代も少なくなります。ドライバーが十分な収入を得られなくなって生活に困窮する恐れがありますし、収入減少による離職が起これば人材不足に陥る可能性もあるでしょう。


  • 荷主企業の場合・・・
・物流コストの増大
ドライバー不足を補うために賃金アップが必要となり、その影響から運賃自体を値上げせざるを得なくなるなど物流コストが増大してしまいます。

・長距離輸送の依頼が難しくなる
ドライバーの労働時間削減のため、長距離輸送を受けられなくなるトラック事業者も出てくることが予想されます。そのため、配送ルートの最適化を図るなど、物流の効率化を意識した対応が必要となります。

・輸送スケジュールの見直しが必要となる
ドライバーの拘束時間減少により、これまでどおりの輸送スケジュールでは対応できなくなる場合も出てきます。そのため、荷待ち時間が長時間にならないよう調整を図ることや、配送スケジュールの最適化などが必要となります。



2024年問題を解決するためには・・・

これらの問題を解決するためには、トラック事業者を始めとする関係者の努力だけでは限界があります。
2024年問題で懸念される課題を解決し、社会経済活動に必要不可欠な物流を維持していくためには荷主企業や物流を利用する関係者も一体となって考え、取り組んでいくことが重要です。
物流に関係する全ての皆様の御理解・御協力を御願いいたします。

荷主企業の方へ

2024年問題により不足する労働力を補うためには、物流現場の取引環境や労働時間の改善が必要です。
特に、ドライバーの拘束時間が減少することについては「荷待ち時間の短縮」や「附帯作業の軽減」への対応が急務となります。
そして、これらの問題の解決については荷主企業の皆様の御理解・御協力が不可欠です。
ドライバーの確保と、持続可能な物流の実現に向けて荷主の皆様の御協力を御願いいたします。

トラック事業者の方へ

トラック事業者の方の取組も2024年問題の解決に向けて非常に重要なことです。
代表的な取組として、以下のようなものがあります。

・中継輸送
通常の運送の場合、一人の運転者が一つの行程を担当しますが、中継輸送の場合は一つの行程を複数人で分担し運送します。

・共同輸配送
同じ納品先を持つ物流事業者同士が荷物を持ち寄り、連携して配送業務を行う取組です。これによりトラックの積載効率が高まり、コスト削減を図ることが可能です。

・モーダルシフト
トラック等の自動車で行われている貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用へと転換することをいいます。環境負荷の低減のみならず、ドライバー不足の解消や、2024年問題によりこれまでどおりの運送が困難となる長距離輸送についても対応できるなど、物流効率化等の様々な面から効果が期待されています。

また、トラック運送業は労働集約型産業で、ドライバーの確保ができなければ成り立ちません。
「働きやすい職場認証制度」は、職場環境改善に向けた取組みを「見える化」してイメージ刷新を図り、ドライバーへの就職促進を目的としております。

消費者(物流利用者)の方へ

EC市場の拡大もあり宅配便の取扱個数は増加傾向にあります。
配達員が荷物を持ち帰る「再配達」により、1人が配達できる個数が減り、荷物が届かなくなるかもしれません。
宅配便をご利用の皆様も、再配達削減に向けた取組へのご協力をお願いいたします。